第9話・望月の少女
天文16年(1547)5月18日
■甲斐国 山梨郡 躑躅ヶ崎館 三郎私室
・武田三郎
俺はなんとか鳶加藤こと加藤段蔵を家臣にしたが、まだまだ家臣が少ない。段蔵に頼んで伊賀、甲賀、風魔などの忍びは勿論のこと、武将の青田買いをしなくては、雇わなくてはいけない。取り敢えずスカウトする武将を書いとくか……
ーーー青田買い武将リストーーーーーー
滝川一益・真田幸隆・真田昌幸・真田幸村・
真田信幸・真田信綱・真田昌輝・河田長親・
長野業正・榊原康政・藤林長門守・高坂甚内・出浦盛清・唐沢玄蕃・二曲輪猪助・井伊直虎・井伊直政・加藤清正・福島正則・竹中半兵衛・黒田官兵衛・黒田長政・多羅尾光俊・望月千代女、風磨小太郎、今の所このくらいだ。
「段蔵、仕事を頼みたいのだが」
「………なんでございましょう?」
先ほどまで部屋には誰も居なかったが部屋の隅に段蔵が控えていた。
「忍びとあと一つある武将へと書状を渡して欲しい。段蔵の者だけでは行動範囲も人数も足らなくなることもあるやもしれん、そこで甲賀や伊賀、相模の風魔を雇いたい」
「忍びとある武将ですか?どういった者ですか?」
「忍びは伊賀国の藤林長門守、三河国の服部保長に書状。ある武将は前に武田家を出奔した工藤一族に書状を渡してほしい。できるか?
この書状には雇う内容が書かれている。保長、長門守、丹波の3人を武士並びにこの三郎の重臣にすると伝えよ。一族郎党も足軽を約束しようと」
「はっ!」
段蔵は部屋からすぐさま消えていった。
今のところこれで十分か………
まだ4つなので眠い……
「さま、………郎様………三郎さま。起きてください......」
突然、誰かから名前を呼ばれる。
重たい瞼を開け外の景色を見ると、空が茜さす鮮やかな夕暮れとなっていた。かなり眠っていたらしい。自分の身体に一枚肌掛けが掛けられていたのに気づいた。誰かが掛けてくれたのだろう。
誰だろう?この人いつも居たっけ?
見覚えがない…。
ゲーム機で調べるか。
ーーーーーー望月千代女ーー1540〜1595年
【信濃国望月城主望月盛時の妻、信濃国の滋野氏の末裔であり、戦国時代における武田家の信濃巫の巫女頭とされる人物。 甲賀流忍者を統制する甲賀五十三家その筆頭上忍の家柄甲賀望月氏の出身。甲賀望月氏の本家は信濃豪族の望月氏当主に養子として入った武田信玄の甥に当たる望月信頼(武田信繁叔父上の長男)に嫁いだくノ一である。武田家の情報を担っていた】
………………。えっ⁉︎
望月千代女………。
マジか。伊賀国?ではなく何故此処に⁉︎
もしかして俺を暗殺しに来たとか?
「すまない…起こしてくれてありがとう………、………。ところで君、見かけない顔だけど?何処から来たんだい?」
「………駿河…です」
駿河かぁ…。伊賀国だよな?
「えっと…。多分違うよね?例えば伊賀国とか?単刀直入聞くよ、望月千代女さん、それとも望月千代さんかな?」
三郎がそう述べると、彼女の耳元で問いかけた。少女の身体がビクッと動いた。
「い…いえ、私は確かに千代でございますが…。姓などはもっておりません、…」
しかしその身体は少し震えている。恐らく動揺しているのだろう。
第四次川中島合戦で信頼が討ち死にしてしまい、若い未亡人となるも彼女が持つくノ一の技能は信玄も認めるものであったため、活かしたいと考えた信玄が、甲斐・信濃の巫女の統帥、甲斐信濃二国巫女頭領と任じ歩き巫女の養成を行うため、信州小県郡祢津村(現長野県東御市祢津)の古御館に甲斐信濃巫女道の修練道場を開いて孤児や捨て子となっていた少女を数百人(200 - 300人)を集めて呪術や祈祷から忍術、護身術の他、相手が男性だった時の為に色香(性技等)で男を惑わし情報収集する方法などを教え、諸国を往来できるよう巫女としての修行も積ませたとして有名だ。
一人前となった巫女達は全国各地に送りこまれ、彼女達から知り得た情報を集めて信玄に伝えたと言われており、武田家の情報収集に大きな役割を果し武田家が強くなったのだ。
目の前にいる少女がその望月千代女、ゲーム機でかざしたらそうでていたから間違いない。
確か望月氏って武田に一応臣従したけど、まだ完全には臣従してないんだよね。信濃で反武田を掲げていた国人衆一派の中核だったから、父上にとっては邪魔な存在だと思う…。
史実なら主家である海野家が俺の祖父、武田信虎と北信の雄、村上義清と諏訪大社の諏訪頼重の連合軍に攻め滅ぼされ、近隣諸侯の勢力からの外圧などを受けて衰退したはずだ。
侍女風の姿の少女から殺気が少し出ているんだよな、これが。見た目は可愛らしいけど。
父上の目を見慣れているから平気だが…。
どうせ主家の海野氏の再興が目的なのだろう。こっちから話しかけても良いんだけど。
ゲーム機があるから、この人誰だっけ?と思ってゲーム機を持てば、誰なのか調べる事が出来るので名前を黙っていてもすぐ分かる。
仕方がない、ここは話が進まないので話かけるか。
「千代女さん、あなたが此処、武田家に潜り込んだのは来たのは海野家を再興するためでしょう?」
「…何故そのことを…知ってるのですか?それに私の事も何故…」
少女は少し後ずさり小太刀を懐から取り出し構える。
彼女をよく観察してみると目が少し血走っていて、額に若干の汗が出てる。
「それは…。千代女さんのことが好きだからかな」
「えっ⁉︎」
元服もまだしていない三郎からの突然の告白に、千代女は先程以上に動揺して部屋の外に出て走って行った。
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