俺の匂いは、時代劇の斬られ役に抜擢されるほどやばいんですか!?
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「……し、慎之介様。どうして、ここに?」
しっかりと鼻栓を着用しているモブっぽいイケメンを見ながら、櫻子が歓迎していなさそうな声音を出す。
慎之介と呼ばれたイケメンはキザったらしく前髪を掻き上げると、白い歯を光らせた。
「櫻子様。そんなつれないことを言わないでください。僕は君のお婿候補の一人なんだから、君に会いたくて駆けつけてもなにもおかしくはないだろう?」
「お、お婿候補!?」
「櫻の!?」
驚きの声を漏らし、お嬢様とイケメンの顔をまじまじと見比べる沙雪と美鈴。
やっぱり、女の子だとそういう話題には敏感になるらしい。
にしても、お婿候補ねえ。
あのキザ男は、いわゆる許嫁になるかもしれない相手ってことだ。
隣の席でいつも笑っているから忘れがちになるけれど、やはり櫻子は住む世界が違う人なんだなあと、あらためて実感というか思い知らされた気がする。
……なんで少しムカッとしてるんだ、俺は?
「は、はい。あくまで、たくさんいるうちのお一人ですけれど」
「ふっ。あなたの夫に相応しい男なんて、この世には僕以外にいませんよ。きっと、近いうちにあなたは僕を選ぶことになるでしょう」
「うっげー。キモすぎて、胃の中の機内食吐き出しちまいそう」
俊介。その感想には完璧に同感だが、それは機内食とともに腹の中に収めてな。
今は自分の世界に入り込んでるから気づいてないみたいだけど、聞こえたらめんどくさいことになるからな。
あいつの立場がすごかったら、めんどくさいどころかエンドくさいことになるかもしれんしね。人生的に。
櫻子はトリップ気味のイケメンに呆れの視線を向けると、ため息を隠しもせずに盛大に吐く。
それで気持ちを切り替えたのか、今度は貫禄たっぷりの老人へ向き笑顔の花を咲かせた。
「お爺様はどうしてこちらに?」
「がっはっは。櫻子がこの別荘に桜を見に来ると報告を受けたからな。無理やりスケジュールを変更して、おまえに会いにきたんだよ」
「まあ。私もお爺様にお会いできて、とても嬉しいです」
「そうかそうか。……まあ今日来た目的は、それだけではないんだがな」
寸前までの優しそうなまなこから一変。
厳しく見極めるかのような視線を俺たち、……というか主に俺に向けてくる。
「櫻子が友人を連れてくると聞いたからな。一度会っておかねばなと思ったのだよ」
「そうだったのですか! 私もいつかお友達をご紹介できればと思っておりましたので、早くもこのような機会に恵まれて嬉しく思います!」
「がっはっは。そうかそうか。では、さっそく紹介しておくれ」
「はい!」
櫻子は、はにかむと俺たちに手を向ける。
「私と同じクラスで、同じ部活にも入っているお友達の皆さんです!」
「は、初めまして! 橘純一です」
「中島俊介っす」
「し、進藤美鈴です!」
「朝霧沙雪です。今日はお招きいただき、ありがとうございます」
俊介以外は、頭を下げて自己紹介。
頭を下げてない親友はというと、にかっと笑いながらピースサインを作っている。
というか、俊介。おまえの度胸はすげえよ。
「うむ。最低限の礼儀はあるようで、なにより。わしは、貫地谷大吾郎という。……して、橘少年。なぜ、その桜に近づこうとした?」
ひときわ増幅した気がする威圧感。
冷汗が垂れることを抑えることができない。
……な、なるほどー。
なんか俺に一番目を光らせている気がしたのは、それが原因だったんですね!?
この感じだと大吾郎さんにとって、とても大切な桜ということなんだろう。
俺はビリビリと感じるプレッシャーを生唾とともに飲み込むと、緊張気味に口を開く。
「じ、じつは、この桜なんですけど――」
「だ、大吾郎様! この桜の木、弱っているように見えます!!」
「――えっ!?」
「……なにぃ? この桜が、弱っているだと!?」
元気がないように見えると伝えようとしたところで、同じような内容を先に言われてしまう。
自分の世界から舞い戻った、あのモブイケメンだ。
いちいち前髪を掻き上げるな。鬱陶しい。
「はい。僕には、そのように見えます」
「岳山のせがれよ。ちゃんと説明せい」
「じつは僕、こういうことを見抜くことに長けているのです。一目見て、相手が元気かどうかなどを見極められる。きっと、貫地谷家でもお役に立てるかと」
「……ふむ。それが本当ならば、たしかにすごいが。……わしをたばかってはおらぬだろうな?」
先ほどまで俺に向けられていたものよりも、さらに厳しさを増す双眸で睨まれるイケメン。
なんとか何事もないように振る舞おうとしてるけど、足が微妙に震えている。
普段から、こういう人たちに囲まれているだろうあいつでもこうなのだ。
やはり大吾郎さんの覇気は、ものすごいものなのではなかろうか。
「……と、当然でございます。ですが、念のために確認をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「確認だと?」
「はい。本日僕が連れてきた御付きなのですが、樹木医の資格を持っておりまして」
「ほう? いいだろう。呼ぶがよい」
「はい。それでは、……渡辺!」
「はっ!」
廊下の奥から声が聞こえたかと思えば、三十くらいの男が素早く駆け付ける。
御付きといってたから望月さんみたいな登場なのかと身構えてたんだけど、あんがい普通に現れたから拍子抜けしてしまった。
まあ、あのスピードでここまで来たのに、足音をまったくさせてない時点でこの人もじゅうぶんすごいんだけどね。
「岳山慎之介様付き、渡辺ともうします」
「うむ。では、桜に触れることを許そう」
「はっ。光栄にぞんじます」
渡辺さんは膝をついて丁寧に挨拶をし、許可を得たところでゆっくりと桜に近づいた。
幹を確認するように触りながら、ぐるりと回っていく。
「……ぐぅっ!? こ、これは……!?」
太い幹の裏側に差し掛かったところで、渡辺さんは下を凝視して喉でも詰まったかのような声をもらす。
顔は驚愕に固まり、青ざめていた。
「どうした? なにか見つけたのか?」
「は、はい。あ、いえ、その」
「なんだ!? はっきりせんか!!」
「はいぃいいいっ!? す、少し慎之介様とお話しさせていただいても……?」
「先に主に報告か。……まあいい。はよせんか」
とてもご老人とは思えない迫力に、渡辺さんの声も震えまくる。
何回もペコペコ頭を下げながらモブイケメンの元まで戻ると、俺たちから少し距離を取ってなにやらこそこそと話している。
……いや、これは話してないな。スマホかなんかで、筆談みたいにやり取りしてる。
(希!)
(了解でーす!)
いくら声を潜めようとも会話なら、俊介に聞き耳立ててもらおうと思ったけど、あれだと無理だ。
ということで、こういう時に頼りになる相棒の背後霊を二人のところへ派遣する。
(『なんでこんなことしたんですか!? 弱らせ方にも限度があるでしょ!?』)
(『そんなの僕に言われても知らないよ。澤井がこういうのの専門の知り合いがいるっていうから、必要経費だけ渡して全部任せただけだし』)
(『あ、あのアホに全部任せたんですか!? 無謀すぎるでしょ!!』)
(『……澤井は僕が最も信頼している御付きだ。馬鹿にすることは許さないよ』)
(『し、失礼いたしました』)
(『それで? この桜は、どれくらいで元気にできそうなんだい?』)
(『……無理です』)
(『……は?』)
(『無理ともうしました! 最初にも言いましたが、あの桜にはクビアカツヤカミキリが寄生しております。しかもぱっと見ただけでも、何か所も穴が開けられてました。それこそ、念入りといった感じで。おそらくですが、伐採以外に手立てはありません!!』)
(『ば、バッサリと伐採かい?』)
(『そうです。バッサリと伐採です』)
希が読み上げてくれた筆談の内容からするに、どうやらあのイケメンが桜をわざと弱らして、それをあの渡辺に治療させていいところを見せようとしたってところだろうか?
だけどなにかの手違いで、渡辺が対処できないようなかなり不味い方法を使ってしまったみたいだ。
この感じだとさっきアピールしてた、見ただけで相手の様子がわかるみたいなことも眉唾だな。
婿候補の一人って言ってたし、なんとかしてほかの候補者よりも有能なところを見せたかったってところかもしれない。
……たしかクビアカツヤカミキリ、だっけ?
モブたちのやり取りで出てきた気になる単語を、スマホで検索してみる。
その結果出てきた内容は、かなり厳しい内容だった。
簡単に説明すると、こいつの幼虫が樹木を食べて最終的には枯らせてしまうらしい。
そして今の時期に活動しているのは、成虫ではなく幼虫だけ。
成虫には効果のある薬があるけど、幼虫に対してはいまだお手上げとのこと。
幼虫は地道に潰すしかないけど、樹木の奥深くで成長していくので基本届かない。
成虫にになった時に外に出てくる穴が全部見つかればそのタイミングで補殺を狙えるけど、希からの報告を聞く限りどうやらそれも難しいらしい。
よって今現在考えられる対応方法は、周辺へ被害を広げないためにこの桜は諦めて伐採、焼却しかないということだ。
――でも、俺ならもしかしたら。
……いや、きっと!!
「……岳山のせがれよ、報告はまだか?」
スマホをポケットにしまって、櫻子のお爺さんに桜への接近の許可をもらうことを決意した刹那、苛立たしさをこれでもかと乗せた声が響く。
いつまでたっても御付きとこそこそやっているモブに、ご老人のギロリとした鋭い眼光が突き刺さる。
たぶんだけどオムツーズがここにいたら、失禁は避けられないんじゃなかろうか。
そのくらいの、圧倒的威圧感だった。
「だ、だ、だ、大吾郎様。……わ、渡辺が確認した限りですがこの桜、ある害虫に侵されているようでございまして」
「なんだと!? この桜は一か月に一度信頼のおける庭師に手入れさせているが、そんな報告は上がってないぞ!?」
「だ、だとするならば、前回の手入れ後に虫が寄生したのではないかと」
「……な、なんということだ」
なにが寄生したのではないかだよ!?
おまえの手引きなのに、よくもまあぬけぬけとそんなことを言えたもんだな。
……まあ、ここで俺が暴露するとなると、希の存在に気づかれる危険性があるからできないけども。
せめて、この桜だけでも救いたい!
「……それで、その。どうやら渡辺の見立てでは、伐採しかないのではないかと――」
「それは駄目です!!」
モブの発言を遮ったのは、櫻子の力強い美声。
席替えの時に待ったをかけた声色よりも、必死さというか信念を感じさせるものだった。
「で、ですが櫻子様。このままですと、ほかの桜にも被害が出る危険性が――」
「この桜は、特別なんです! 特に、お爺様にとっては――」
「櫻子、もうよい」
「お、お爺様……?」
詰め寄りそうな勢いだったお嬢様を制したのは、老人の覚悟を感じさせる悲哀の声。
大きく息を吸って吐くと、悲しみと優しさの入り混じった瞳で孫を見つめた。
「もうよい、櫻子。どんなものにも、永遠はない。いつか終焉や、別れが来るものだ。この桜は、今がその時だったというだけだ」
「で、でも、この桜はお爺様とお婆様の――」
「諦めるのは、まだ早いと思います!」
いっせいに、全員の視線が俺に集まる。
俺はあえて明るい声で、しかも堂々とした態度で、なんでもないといったふうに立っている。
ここでおどおどしたり、自信がなさげでは、きっとチャンスすらもらえない。
この俺がこの桜を救うんだ。絶対に!
「あ、諦めるのは早いだって!? 君、僕の御付きの判断が間違っているとでも言いたいのかな?」
「間違ってはいないですよ。常識の枠内に限定すればですけれど」
「……橘少年。もしも君がこの場を変に波立てたり、あるいはわしをからかっているのだとしたら、この場からすぐに立ち去ってもらうことになるぞ」
「お爺様! 純一さんはそんな人ではありません! それに先ほど桜に近づこうとしたのも、なんだか元気がないように見えるとおっしゃってのことなんです!」
「この少年がか……?」
「ありがとう、櫻子」
「ちょ、ちょ、ちょっと待ちたまえ。君今、櫻子様を呼び捨てにしなかったか……? そ、それに、純一さん? さん呼び?」
「ああ。櫻子から、そう呼んでくれと頼まれた」
「な、なんだと………………」
「し、慎之介様ぁ!?」
魂が抜けたような顔でへたり込むモブは気にも留めず、すごいプレッシャーで待ち構える大吾郎さんに歩み寄る。
一歩足を踏み出すごとに、彼からあふれ出る圧力で押し返されてしまいそうになる感覚。
……本当に、この人お爺さんなの?
それでもなんとか目の前まで到達すると、これでもかと頭を下げる。
「どうか、俺にこの桜を助けるチャンスをください! お願いします!!」
俺の目に今映っているのは、自分の足と地面だけ。
それでも、感じてしまう。
大吾郎さんの貫くような視線が、俺の全身に注がれていることを。
どのくらいの時間が経ったのだろうか?
もしかしたら数秒かもしれないし、はたまた数分かもしれない。
そんな体内時計の感覚が狂うほどの緊張状態に、足元に汗の染みがこれでもかとできていた。
ようやくそんな俺に、老人が口を開いた。
「橘少年。頭を上げてくれ。おまえが本気であるということは、よく伝わった。わしもできれば、この桜とは別れたくない。もしも手があるというならば、お願いだ。助けてやってくれないか?」
「はい! 自分の全力を持って、あたらせていただきます!!」
もう一度頭を下げると、桜に向かってダッシュ――
……ん? なんだ?
その時、ポケットのスマホがメールの着信を知らせてくる。
送り主は、……沙雪。
嫌な予感しかしない。
『どうやって桜を救うのかはよくわからないけど、やっぱり体臭は使う気なんだよね? なら行動開始の前に、ちゃんとパンツマスクかぶってよね!』
やっぱりかああああああああああああああああっ!?
なぜ? なぜそうなるんだ沙雪!?
必要か? 本当に、今必要なのか!?
『なんでだよ!? まさか桜の木が擬人化して、女の子になる可能性とか考えてないだろうな!?』
『さすがにそれはないけど、この別荘って美人の人たくさんいたでしょ! もしかしたら急に変質者でも現れて、救いに行くパターンもありえるよね』
『ないだろ! むしろ俺が変質者扱いされて、警備の人に追われる未来しか見えないぞ!!』
『……もう、しょうがないなあ純一君は。ちょっと、わたしのほうを見て』
『なんで?』
『いいから、見て』
沙雪の指示どおりにスマホから、本人に視線を移す。
そこには笑顔の美少女がたたずんでいた。
笑顔のはずなのに、なぜか恐怖という感情しかわいてこない。
有無を言わずにいうことをきけと、彼女の顔は主張していた。
『理解できた?』
『……はい。おおせのままに』
蛇に睨まれた蛙とは、きっとこういうことをさすんだ。
蛙な俺は、桜からもう一度老人に向き直る。
「すみません! この桜を救える人を、今すぐ連れてきます!」
「……なんだ? わしは、おまえがやってくれると思ったんだが」
「え、えーと。……お、俺よりもさらに上手くやれる知り合いが、近くに来ていることを思い出したんです! なので、すぐに呼んできます!」
「……まあ、よい。すぐにつれてきてくれるか?」
「はい! 少々お待ちを。行くぞ、俊介!」
「がってんだ!!」
……おい、俊介。
俺がおまえに声かけたのは、手伝い兼道連れって感じなのに、なんでそんなに乗り気なんだよ!?
おまえ今から、おっさんのパンツマスクかぶるってわかってるか?
まさかおまえ、すでにパンツマスクも悪くないなとか思い始めてないだろうな!?
おまえが受け入れてしまったら、抵抗勢力俺しか残らないんだからな!?
頼むから、俺の思い過ごしであってくれよ!!
ウキウキ顔の親友の姿に一抹どころじゃない不安を抱えつつも、俺は廊下を走って無作為にふすまを開け放つ。
その和室は無人だったので、ここで装着するかと入室。
沙雪たちからもらった例の迷彩色のリュックから、JKパンツマスクとおっさんパンツマスクを取り出す。
プレゼントされて以降、この二つの呪われしアイテムはここが保管場所となっている。
おっさんパンツを俊介に投げ渡し、自分もかぶる。
部屋から飛び出そうとすると、またスマホにメールの着信音が。
……今度は、美鈴から。
…………よし! 無視しよう――
「純一! 美鈴からメール来て、服そのままじゃバレバレだから、上半身裸に下パンツにしろって」
「ガッデム!!」
いったいなんなの、あの美少女たちは?
パンツマスクだけで飽き足らず、パンツ一丁になれって!?
そんなに俺たちを、夕刊の一面に載せたいの?
「あ、またメール来たぞ。えーと、パンツが嫌ならリュックの両サイドポケットにブーメラン入れてあるから、それ履けば? だってさ」
「ガッデーム!!」
なんなの!?
このリュックに、そんなものまで忍ばせてたの!?
というか、なに!? 買ったの!?
まさか、美少女二人で買ったの!?
ブーメランをレジに持って行って、恥ずかしげもなく店員さんに渡したの!?
だって、そうだよね? リュックは、俺にくれた日にお店で買ったって言ってたもんね!?
ということは、どう考えてもブーメランも同じ日に買ってるよね!?
いやもしかして、ブーメランだけ先にネットで買ってたの!?
二人でキャッキャウフフしながら、ネットで探してポチったの!?
幽霊騒動の日の俺たちの姿を見て、またブーメラン見たいねなんてガールズトークで盛り上がっちゃったの!?
というか、このリュックは呪いのアイテムボックスにでもするつもりなの!?
ほんとに女の子の考え、マジでわっかんねえええええ!!
「純一。なーに頭抱えて、悶えてんだ? 俺はパンツでもブーメランでも、どっちでもいいぞ?」
(希としては、ブーメラン推しです!!)
(黙れ、変態幽霊!)
結局、俺はブーメランよりもトランクスを選択した。
まだ、……ほんのわずかかもしれないけれど、まだ変態性がマシなんじゃないかなあという理由でだけだ。
やっぱりJKパンツマスクにブーメランは、できるかぎり避けたかった。
こうしてJKパンツマスクに上半身裸でトランクスな変態と、おっさんパンツマスクに上半身裸でブリーフな変態が出来上がった。
なんで今日に限ってブリーフなんだと目の前の変態に問いただしたところ、東北は寒い気がしたから股間を冷やさないためとの回答が返ってきた。
こうして見た目は変態、頭脳は高校生な二人のヒーローが現場に駆けつけたところ――
「く、曲者だあああ!! 今すぐ、わしの刀を持ってこい!!」
ですよねえええええええ!?
どうか切り捨て御免だけは、勘弁を!!
桜の木をバッサリさせないために奮闘しようとしてるのに、俺たちがバッサリされそうになったのだった。




