俺の匂いは、小学生に迫られるくらいやばいんですか!?
完全真面目回です
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山下さんのお母さんは、その後もあの手この手で俺を寝室へいざなおうとしてきた。
山下さんのお尻には可愛いほくろが三つ並んでいるだの、凛ちゃんの胸は同級生の中でトップクラスに大きいほうだの。
しまいには自分の性感帯や性癖を暴露してきたが、俺はなんとかかんとか耐えきってみせた。
そんな天国のように見えて、その実地獄な時間が過ぎて、今はお昼時。
俺の前にはホットプレートが置かれ、その上ではお好み焼きがいい音を立てている。
とても食欲を刺激するおいしそうな匂いを漂わせているんだけど、正直俺はこの場にいる気はなかった。
きりがいいタイミングだと思い、この魔窟からの脱出をはかったのだが――
「じゃあ、いい時間なのでここらへんでおいとまを――」
「純一君。せめて、お昼だけでも食べていって?」
いつの間にやら『純一君』呼びになっていた女王に、襟首を掴まれてしまった。
そして俺は、彼女を『早苗さん』と呼ぶように強要された。
まだ娘は彼氏と苗字呼びなのに、なに考えてんだろこの人は。
ということで、今の俺に課せられた使命は早食い。
ぱっと食って、さっと帰る。ただ、それだけだ。
ちなみに気絶したお父さんは、まだ意識を回復しない。
俺も手伝って運んだリビングのソファーの上で、いまだに白目をむいたまま、時たまうなされたりしている。
直接見たわけでもないのに想像だけでこれって、どんだけ苦手なんだよ。
「はい。純一お兄ちゃん。凛がいろいろ、かけてあげるね?」
「……う、うん。凛ちゃんありがと」
サイド側から俺の右隣に席を移した、過剰なスキンシップが気になる妹ちゃん。
そんな彼女が俺の皿に載せられたお好み焼きに、ソースやらマヨネーズやらをトッピングしてくれる。
最後に振りかけてくれた鰹節が、ゆらゆらと踊って美味しそうだ。
箸で切って、口に運ぶ――
「……早苗さん。いったいこれ、なに混ぜてくれたんですか?」
「……な、何のことかしら?」
「なに視線逸らして、音の出ない口笛吹いてんですか!? お好み焼きに相応しくない、青いつぶつぶが入ってんですけど!!」
「……ちっ!」
「舌打ちやめい!」
切ったお好み焼きの内部には、あきらかに普通の食材ではないものが混入されている。
錠剤を潰したようなもので、奇妙な青色を周辺の生地に広げていた。
口に入れてはいけないと、俺の勘が全力で警笛を鳴らしていた。
「お母さん! いい加減にしへぇ!!」
「……わかったわ。これは、あそこで伸びてる人のお昼にしましょう。若い子が食べたらどうなるか、知りたかったのに」
「なに拗ねてんですか! 年齢考えてくださいよ!」
「…………なにか、言ったかしら?」
「……いえ、すいません」
青色のお好み焼きにラップをかけて、新しいものが焼かれていく。
焼きあがったものに、また凛ちゃんがソースなどをかけてくれる。
慎重に中身を確認してから、ゆっくりと口に入れる。
熱々だけどふわふわの生地と、カリッと焼かれた豚バラの香ばしい匂い。それらをまとめ上げるソースマヨの甘辛い味が、口内いっぱいに広がった。
そこからは、そこそこ普通の昼食の時間が過ぎていった。
あくまで、そこそこな。そこそこ。
小学生の娘が同席するお昼時に相応しくない、卑猥な話題が結構出てたからね。
具体的に説明すると、最低でもR15タグつけなきゃいけなくなるから控えるけどな。
それでもそこそこ普通と思えるとか、俺の麻痺っぷりも酷い気がする。
「――やっめろ!? く、来るなゴキブリぃ!! 俺の尻穴は、早苗だけのものだああああっ!!」
そんなそこそこ普通のランチタイムに終わりを告げる、あまり詮索したくない異常すぎる内容な覚醒の咆哮。
冷汗を流してぜぇぜぇと大きく息を切っている父親に、軽蔑の視線を向ける娘二人。
お父さん。早くなんとかしないと、山下家のカーストで最下位になってしまいますよ?
「……あなた。ずいぶんと長いこと気を失ってたかと思えば、戻った途端それですか。今夜はお仕置きね」
「ひいいぃ。さ、早苗。顔が怖いぞ。いったい、どうしたというんだ!?」
夜叉のような妻の表情に、怯えまくりの夫。
あの様子だと、自分が寸前になにを叫んだのかすらもわかっていないようだ。
もとはといえば俺がゴキブリを一掃したのが発端と考えると、ちょっとだけ申し訳ない気もしてくる。
「……まあ、詳しいことは夜話すわ。とりあえず、純一君にお礼を言ったら?」
「さ、早苗。おまえ、呼び方……」
「なによ。彼は、うちから天敵を追い出してくれたのよ。それに、彩の彼氏なんだから。下の名前で呼ぶくらい、普通でしょ」
「て、天敵……? ……そうだ、思い出してきたぞ。た、たしか、た、大量のゴキブリが――」
「あなた。今気を失ったら、離婚よ?」
「たぶんゴキブリは、もう卵以外はいませんから! もしあれなら、また今度ゴキブリを追い出すために来ますから! もう気絶はやめてください!!」
これ以上覚醒のたびに父親の威厳が失われるのは、見るに堪えない。
というか、俺の匂いがきっかけで離婚とか絶対嫌だぞ。
尻穴さんの両肩を掴んで上下に激しく揺すると、向きかけてた白目が戻ってきた。
「――はっ!? なんだか、結婚生活の危機を迎えてた気がする」
「それは乗り切りましたけど、父親としての危機は乗り切れてませんよ! あとは、頑張ってください」
「よ、よくわからんが、君にはいろいろ世話になったようだ。ありがとう」
深々と頭を下げる尻穴さん。
娘の彼氏にいろいろと思うところはあるだろうに、こういうところは立派だと思う。
……でも数分前に尻穴発言を聞いてるから、残念だけどそれによるマイナス分を補えていない。
「い、いえ。頭を上げてくださ――」
「――ただ」
「……え?」
頭を上げた尻穴さんの目は、真剣で迫力があった。
とてもゴキブリで気を失ったり、尻穴とか叫んでいた人と同一人物とは思えない威圧感。
「それと、彩との交際を認めるのとはまったく別の話だ!」
「お、お父さん!? いひなり、なに言い出すの!?」
「彩が君のことを好きなのは、複雑な気持ちだがよく伝わった。でも君はどうだ? とても、彩のことを本当に好きとは思えん。べつに好きでもないけど、可愛いからとりあえず付き合っとくか。みたいな感じなんじゃないのか!?」
す、鋭い!?
さすが父親といったところか。
たしかに俺は、あなたのお嬢さんに対して恋愛感情はありません。
そしてあなたのお嬢さんは、好きというよりも俺に依存しかけています。
体臭にですけれど。
どうする?
彼女のことが大好きですと、感情込めて言ってみるか?
でもそんな口先だけの『大好き』なんて、嘘だってバレバレなんじゃないか!?
「え、えーと……」
「どうなんだ? いわゆる、キープってやつじゃないのか? そんなやつに、大事な娘は――」
「もう、やめて!!」
言葉に詰まる俺に、詰問を続ける尻穴。
追い詰められた俺を助けてくれたのは、瞳にたくさんの涙をためた山下さんだった。
「……あ、彩。父さんは今、この男と大切な話を――」
「それ以上、橘君のことを悪く言わないで! 橘君は、わたしの嘘に協力してくれただけなの!」
「彩。嘘ってどういうことなの?」
ついにボロボロと涙をこぼす娘に、心配そうな顔を向ける母。
尻穴さんは、自分のせいで泣かしたのではないかと思ったのか狼狽してるようだ。
「や、山下さん!?」
「……橘君。もういいの。ありがとう」
彼女は泣きながら俺に申し訳なさそうに微笑むと、母親のほうに向きなおる。
……そういえばだけど、さっきから山下さんの禁断症状が抑えられてる気がする。
顔も入学当初の恍惚感がない可愛い委員長だし、言葉遣いも普通だ。
もしかして、感情が昂っていると抑制効果があるのだろうか?
「……お母さんたちに最近のこと強めに聞かれて、つい彼氏がいるって口から出ちゃったの。それで、橘君に彼氏役をお願いしたの……」
「じゃあ、いったいなにが理由なの? あきらかに、高校に入ってからの彩はおかしいわよ? いきなり変な笑いを漏らしたり、ボーっとしてることも多いし。それにお父さんが言ったように、彩の純一君への態度は好きなように見えてたけど」
「そ、それは……」
委員長は少し言いよどむが、すぐに強い意志を感じさせる双眸で口を開く。
……というか山下さんの尻穴さん。今あなた完全に蚊帳の外ですけど、いいんですか?
「わ、わたし……最近変な感じだったのは、暴漢から助けてもらった時のことを、繰り返し繰り返し思い返してたからなの!! ……そ、それと橘君への態度がそんなふうに見えてたのは、彼がその時助けてくれたヒーローだからだよ!!」
「あ、彩。ちょっと、待って? あなたを助けてくれたのは、通りすがりの知らない人だったんじゃ?」
「純一お兄ちゃんが、助けてくれた人なの?」
「――あっ!?」
山下さんは、はっとしたような表情で両手で口をふさぐ。
俺が望月さんに山下さんの件の後処理を任せた際、彼女のことだけをちゃんとしてくれとお願いしていた。
でも、できるならば、助けた人が俺であることは内密にしてほしいなと思っていた。
それは俺の立場が、この体臭のせいで基本的にはみ出し者となっているからだ。
そんな俺がいくら人助けとはいえ、入学早々揉め事を起こしたなんて知られたら、いったい同級生からどんなふうに思われるだろうか。
最悪俺だけならば別にいいけど、沙雪たちの評判にも直結してしまう。
助けかたが正攻法ならまだしも、どんなに贔屓目に見ても邪道だしね。
だから沙雪たちが考えたマスク作戦は、冷静になってみるとこの面においても有効なのだ。
素材がJKのパンツである理由は、やはりまったくないけどね。
ということで望月さんが俺の意をくんでくれたのか、誰が助けたのかは不明のまま処理されていたようだった。
警察がまったく事情を聴きに来ない時点でわかってたし、今日山下さんのご両親の態度で再度確信できていた。
山下さんも、協力してくれていたということだろう。
「ど、どうしようわたし。秘密って言われてたのに……。橘君が、悪く思われるのを我慢できなくて――」
「山下さん。大丈夫だから、落ち着いて――」
「――はい。大丈夫です」
「………………もう、ちょっと慣れてきたよ」
「光栄です」
「褒めてない!」
(……希も、まったく気配感じてなかったよ。この人怖い)
尻穴さんのもとから山下さんに駆け寄ろうとした刹那、また俺の目の前に彼女が現れた。
そう。望月さんだ。
山下家の人々は突如現れた美人の存在に、唖然茫然といった感じで口をあんぐりと開けている。
「……で、なんでここに?」
「最近のわたしは、橘様のもとに付いているようにと命じられておりますので。あなた専用です」
「そ、そうなんだ」
……どういうことなの?
もしかして、俺の家の屋根裏とかに潜んでないよね……?
希でも気配感じないとか、防ぎようがなさそうなんですがそれは。
でもこんな美人に専用って言ってもらえるのは、ちょっといろいろとこみ上げちゃうよね。
「あ、あ、あ、あなたはたしか、彩が友達から紹介されたって連れてきた弁護士さんじゃ……?」
「お父さん。ごめんなさい。この人本当は、わたしのクラスメイトの御付きの人なの」
「お、御付き!?」
「はい。お父様。貫地谷櫻子様に仕えております、望月ともうします。弁護士資格は本当に持っておりますので、ご安心を」
弁護士資格も持ってるとか、ほんと何者なのこの人?
そのうち医師免許持ってたりとか、薬剤師資格持ってたりとか、温泉ソムリエだったりとかが発覚したりしないだろうな?
「わたしが説明した事件の詳細や、加害者側からの補償などは全部嘘偽りございません。一点だけ、山下様をお助けになったのは、橘様だったということは除いて」
「な、なんで純一君だってことを、黙ってたんですか?」
「それは、そう橘様が望まれているように見えたからです」
ちらりとこちらを見やる、望月さん。
山下家の視線も、それを追うようにこちらに向けられる。
俺は照れくさそうに後頭部に手を置いて、少しばつが悪そうな表情をする。
「ごめんなさい。やっぱり入学早々、あんまり目立ちたくなくて。望月さんに直接頼んだわけじゃないんですけど、気を使ってもらったみたいです」
「ということですので、橘様が助けたという事実を、この場で留めていただければ問題はありません。どうか、橘様のためにもご内密に」
「……そうか。君が彩を……」
「えっ!?」
気づくと、お父さんが俺の両手をがっちりと握っている。
両目から大粒の涙を流して、頭を下げる。
「橘君、ありがとう。本当にありがとう! もちろん君が望むなら、誰にも話さないさ」
「い、いえ。当たり前のことをしただけなので」
「純一君。わたしからも、言わせて。彩を守ってくれて、本当にありがとう」
「純一お兄ちゃん。かっこいー」
「――って、凛ちゃん!? マヨネーズ持ったまま!!」
「へっ?」
そんな俺とお父さんのもとに、蓋の開いたマヨネーズを持ったままの凛ちゃんが飛び込んでくる。
俺に抱きついた拍子に、中身が暴発。
結果、俺と凛ちゃんとお父さんは、白濁まみれとなってしまった。
「うえー。凛べとべとー」
「あらあら。すぐにシャワー浴びてきなさい。純一君と」
「お、俺ですか!? いいですよ! 自転車なんで、帰ってから家で浴びます」
「なに言ってるの! お客様にそんなことさせられないわ。さ、凛。純一君を案内して」
「うん。行こー、純一お兄ちゃん!」
なに言ってるのは、こっちのセリフだっての。
まだ小学生だけど初潮来てる宣言してる女の子と、こんな思春期真っ盛り高校生を一緒に風呂場に送り込もうとかありえないだろ!
凛ちゃんも手をぐいぐい引っ張ってきて、やけにやる気満々だし。
「待って。そんなのだへ……だめだよ!」
「……山下さん」
ここにきて、この場で俺を除けば唯一の常識人のカットイン!
でも真剣な局面が終わったからなのか、表情と顔がえへえへ委員長に逆戻りしちゃってるけどね。
それでも、この人たちよりはだいぶまともでしょ。
ということで、この非常識家族に言ってやってよ!
君が、山下家最後の砦みたいだ!
「橘君は、わたしのお客様なんだから。わ、わたしが、綺麗にしてあへなくちゃ」
……だ、駄目だった。
最後の砦を見つけたと思ったら、それは蜃気楼だったみたいだよ。
もうこの家族、いい加減にしてくれ!
「そうねえ。うん。彩も一緒に入っちゃいなさい」
「そうねえ、じゃない! 俺は、絶対に入りませんよ!」
「……俺は凛とだって、もう三年以上入っていないというのに……。よし、俺が橘君の代わりに入ろうじゃないか」
「よし! じゃねえ、この変態親父! あんたも入らせるわけないでしょうが!!」
「へ、変態とはなんだ!? それに、まだ君の父親になった覚えなないぞ!」
「そういう意味で、親父って言ったわけじゃない!!」
「……お父さん、ほんと最へい最悪」
「さすがの凛も、ドン引きかなー」
「…………ほんとに、最低な父親ね」
「さ、早苗!? か、顔がとんでもないことになっているぞ!?」
「……誰のせいですか? あなたは馬鹿なこと言ってないで、さっさとこのお好み焼き食べちゃって。テーブルがいつまでたっても片付かないでしょ!」
「わ、わかった! わかったから。早苗、その怖い顔をやめてくれ。あと、このままじゃ耳がもげてしまう……」
夜叉に連行された変態は、無理やりダイニングテーブルに座らされると、俺が口をつけなかった青いお好み焼きを食べさせられていた。
「はい。純一君は、さっさとシャワーを浴びてくる。彩と入るのが恥ずかしいなら、せめて凛とは入って。これも拒否するなら、わたしが一緒に入ることになるわよ」
「わ、わかりました! 凛ちゃんと一緒に入ります」
「やったー! 純一お兄ちゃん、こっちこっち!」
「……むー。凛! 橘君に、迷惑かけちゃだへだからね!」
「服はかごの中に入れといてね。洗濯しておくから」
洗濯機や乾燥機などが置いてある脱衣所に入ると、凛ちゃんはわずかの躊躇もなくポンポン脱いでいく。
可愛いイチゴのパンツを披露したかと思いきや、次の瞬間にはプリンとしたお尻が視界に入る。
「あー。純一お兄ちゃん、まだ脱いでない! 凛が手伝ってあげようか?」
「い、いや、大丈夫! 大丈夫だから!」
無邪気に笑いながら、俺のズボンを脱がせようとしてくる小学生女子。
まったく前を隠さないから、全部丸見えである。
……た、たしかに美鈴はもちろん、沙雪の小学生時代と比べても、凛ちゃんのほうが立派に成長――って、なにを考えてるんだ俺は!?
見ちゃだめだ。見ちゃだめだ! 見ちゃだめだ!!
女児の興味津々な視線を感じつつ、俺は凛ちゃんのほうを見ないようにしながら次々服を脱ぎ捨てていった。
さすがに少しためらいつつも、パンツを脱ぐと――
「……わあ。すごくおっきい。お父さんのと、全然違う」
「――ん? って、なに見てんの!?」
凛ちゃんが俺の下半身を凝視しながら、そんなことを呟いていた。
「これは、まだ凛ちゃんには早い!」
「えー。けちー」
慌てて両手でつつむように隠すと、凛ちゃんはほっぺを膨らませて抗議。
というか『すごく、おっきい』って、まさか俺、女子小学生に反応してないだろうな!?
女児からは見えないようにしながらおそるおそる確認すると、ほぼほぼ無反応な状態だった。
……ということは、山下さんのお父さんは……。
「ぶー。もう一回、見たかったのに」
「な、なんでそんなに見たいのかな?」
「たしかお父さんのは、もっと可愛い感じなの。だから、なんかお兄ちゃんのが気になっちゃって」
「そ、そうなんだ……」
お父さん、強く生きてください!
……というか俺、最近クラスメイトの父親のサイズを知る機会に恵まれてるような。
いや、本気で嬉しくない恵まれかたなんだけどね。
(だから希が何度も言ってるじゃないですか。ご主人様のは、ほかの人と比べてものすごいって)
(おまえは、どっか行ってろ!!)
股間狂いの背後霊を怒鳴っていると、待ちきれなくなった全裸の女児が手を引いてきて浴室へ。
よし。とっとと体洗って、出てしまおう。
凛ちゃんは「きゃっきゃ」とはしゃぎながら、俺にシャワーをかけてくる。
……だから、全部見えちゃってるんだけどなあ。
焦点は合わせないようにしてるけどね、うん。
このくらいの年齢の女の子って、羞恥心とかないんだろうか?
早く体を洗ってしまおうと思ったけど、タオルがないことに気づき、手でボディソープを泡立てる。
凛ちゃんは慣れた手つきで、手で洗い始めた。
そういえばタオルは肌を傷つけるから、手で洗うほうがいいなんてことをいつかテレビで見た記憶がある。
小学生といえど女の子だし、もうそういうことにも気を使っているのかもしれない。
「ねえ、背中洗ってー?」
「…………はい?」
「はい? じゃないよー。背中は手が届かないから、純一お兄ちゃんが洗って。いつもはお母さんに洗ってもらってるけど、今日はいないから」
「……な、なるほど」
…………ま、まあ、背中くらいなら。
ちょこんと椅子に座る女子小学生の背中に目線を合わせるため、足を崩して座る。
彼女の肩から泡をすくうと、背中を優しくなでるように滑らせる。
「――ひゃぅっ!?」
「ご、ごめん!? なんか、やりかたおかしかった!?」
「ん、んーん。大丈夫。純一お兄ちゃん上手だから、凛ちょっとぴくってなっちゃっただけ」
「そ、そう?」
女児からお墨付きをもらったので、そのまま続ける。
……それにしても、女の子の肌って本当にスベスベで手触りいいなあ。
みずみずしくてはりがあって、いつまでも触れていたい感じ――
「じゅ、純一お兄ちゃん!? お、お尻は大丈夫だよ!?」
「――え? ……どうわあああああぁっ!? ご、ご、ご、ごめん!! ちょっと、考えごとをしてて!」
「そ、そうなんだ……。てっきり、凛とエッチなことしたくなったのかと思っちゃった」
「な、ないないない! さすがに小学生に、そんなことしないから!」
「…………ふーん。つまんないのー」
つ、つまんないってどういうこと!?
それじゃまるで、エッチなことされたかったみたいじゃないか!?
しばらくの沈黙。
時たまどこかから落ちる水滴の音と、彼女の背中を洗う音だけが聞こえる。
そんな気まずい時間を破ったのは、凛ちゃんの声だった。
「……あのね。凛、最初は純一お兄ちゃんの匂い酷いなって感じてただけなの。それがGを追い出してくれた時に、気にならなくなった。お姉ちゃんを助けてくれたのが純一お兄ちゃんだってわかった時には、なんか好きかもって感じるようになった」
「……凛ちゃん?」
……なんだか、様子がおかしいぞ。
声色も、ちょっと興奮してるように感じるけど……。
「お母さんがセックスしろって言った時も、最初はするわけないじゃんって思ってた。だって凛まだ小学生だし、純一お兄ちゃんとは初対面だしさ。初潮が来てるのは本当だけど、あそこで言ったのはからかっただけ。……あの時は、そのつもりだったのに」
「り、凛ちゃん? ちょっと、落ち着こうか」
だんだんと、切羽詰まった語りになっている女児。
ついさっきまでの、天真爛漫な君はどこに消えたの?
「でも凛、純一お兄ちゃんがヒーローだってわかった時から、本当にセックスも悪くないかもって!」
「だ、だから少し落ち着いて――」
「純一お兄ちゃん! 凛はまだ小学生だから、だめ!?」
「ぶふぉおおおおおおおおっ!?」
急に立ち上がって、俺のほうを振り向く凛ちゃん。
俺は座ったままだったので、ちょうど眼前に小学生の下半身が飛び込んできた。
すぐに視線を逸らしたので、ほとんど見えなったけどな。
ということで、ギリギリセーフだ。たぶん。
きわどい判定だけど、映像確認だけは禁止だぞ!
……というか、凛ちゃんの豹変ぶりはなんなのよ!?
まさか姉を救ってくれたという好印象と、匂いが結びついたとかじゃないよね!?
まさかまさか、子供は体も小さいぶん、少ない匂いでも影響が出やすいとかないよね!?
もしそうなら、俺うかつに子供に近づけなくなるんですけど!?
「ねえ。凛のほう向いてよ! 凛の裸を見れるのは、純一お兄ちゃんだけの特権だよ?」
「その特権、行使したら捕まっちゃうって! 向いて欲しいなら、ちゃんと座って背中をこっちに向けて」
「なんで? 凛が小学生だから対象外なら、べつに裸見てもなんとも思わないはずでしょ?」
「そ、そういう問題じゃ――」
「凛の裸、しっかりと見――きゃっ!?」
「――っ!? 危ない!!」
凛ちゃんはなんとか裸を見せたかったのか、俺の視線の先に移動しようとして足を滑らせてしまう。
このままじゃ床に叩きつけられると判断し、とっさに彼女と床の間に全身を放り出す。
俺の体は勢いよく倒れ、浴室に大きな音を響かせた。
……いててぇ。ちょっと、頭打ったかも。
でも背中には冷たい床の感触で、視界には人体のようなものが広がっている。
なんとか、凛ちゃんのことは守れたみたいだな。
……ん? なんか口に柔らかい感触が……?
「むぐ、ぐぐ?」
「――ひゃんっ!?」
な、なんか凛ちゃんの艶っぽい声が聞こえるんだが……?
いったい、なにが起きてるんだ?
「むふー、むぐー?」
「――あっ。……だ、だめだよ。純一お兄ちゃん。そこに、そんな吸いついちゃ」
とか言いつつ、なんか押しつけられてるんだけど?
……なんだろう?
なんだか、くちびるの中心に段差のようなものを感じる……。
……てか視界の上のほうに見えるのは、もしかしてへそか?
……ということは、……ま、まさか……こ、これは凛ちゃんの栗子さ――
※自主規制※
この作品は、全年齢対象の超健全小説となっております。
よって全裸の小学生女児を全裸の男子高校生が助けるシーンを詳しくお届けすることは、〇グネスによって固く禁じられております。
おのれ、ア〇ネエエエエエエエエエエエエエエエエス!!(血涙)
それでもどうしても見たいというかたは、こちらから有料会員登録をお済ませください。
※この物語はフィクションです。登場するアグ〇ス・団体・名称等は架空であり、実在のアグネ〇とは関係ありません※
「……それへ、本当に事故だったんですね!?」
「だ、だからそう言ってるでしょ! 事故だし、不可抗力だって!」
あのあと、風呂場で大きな音がしたことに気づいた山下さんに助けられ、なんとか俺と凛ちゃんは無事にシャワーを済ませることができた。
その際、バッチリ我が下半身を目撃されたためか、俺を問い詰める委員長はずっと顔を真っ赤にしている。
……死にたい。
ちなみに、山下さんのご両親はここにはいない。
お父さんがあの青いお好み焼きを完食した直後――
「お、お尻がむずむずする! 早苗、二階に行くぞ!!」
と叫びながら、早苗さんを連れて行ってしまったとのこと。
……心から、あれを口に入れなくてよかったとホッとしている。
望月さんも、当たり前のように忽然と姿を消していた。
「でもきっかけは事故だったとしても、凛はもう純一お兄ちゃん以外のお嫁さんにはなれないと思うんだ。……だ、だって、あ、あんな場所を、あんなにペロペロされちゃったんだもん」
「ぺ、ペロペロっへぇ? た、橘君どういうこと!?」
「そ、そんなことしてない!! ちょっと息苦しくて、もごもご口動かしたくらいで――」
「純一お兄ちゃん、本当にしてないって自信もって言えるの? あの時のこと、完全に覚えてる?」
「そ、それは……」
……だめだ。おかしい。
何者かの介入でもあったかのように、記憶に混濁があるというか一部もやがかかっているみたいだ。
……有料会員?
いきなり頭に浮かんだけど、いったいなんなんだこのワードは?
さっきの風呂場での出来事は、なぜか不明瞭なことが多すぎる。
俺は俺の記憶のおよばないところで、ペロペロなんてしていたんだろうか!?
「とりあえず、お姉ちゃんとは恋人じゃなかったんだから、凛にもチャンスはあるってことだよね?」
「り、凛!? な、なに言っへるの!?」
「そ、そうだよ。俺、高校生だし……」
「年なんて関係ないよ! 十や二十離れてる夫婦なんて、べつに珍しくないって聞いたよー?」
「そ、そうかもしれないけど――」
「純一お兄ちゃん。ペロペロしたことをSNSで拡散されたくなかったら、今度凛と遊んでよね?」
「…………………………はい」
とんでもない人質を取られ、退路を断たれた俺は頷くことしかできなかった。
だって逮捕か遊ぶかの二択だぞ!?
考えるまでもないだろ!
SNSなんてなくなっちまえ、こんちくしょー!!
「だ、だめ! 二人で遊びに行くなんて、絶対にだへなのぉ!!」
なんで駄目なのかはよくわからなかったけど、委員長のそんな焦りを帯びた叫びとともに、俺の山下家初来訪は幕を閉じたのだった。
※1-7 クラスメイト概要※
・体臭がキツすぎる男子
・体臭男子の幼馴染三名(うち一名、沙雪様落ち着き中)
・体臭男子に好意的なお嬢様
・紙おむつイケメン三名(田中君新加入。うち一名、佐藤に尿属性発覚)
・体臭男子に近づきすぎると、アへ顔晒しそうになる委員長(妹がライバル化)
・密かに体臭男子の後ろで漂う、ご主人様の股間大好きな幽霊少女
・体臭男子の後ろの席を勝ち取った美少女お漏らしギャル
・俺らの夢と希望を打ち砕くもの 破壊神〇グネス
etc
読んでいただきありがとうございました
少しでも楽しんでいただけてたら嬉しいです
次回もよろしくお願いします!