美樹のクラスって、どう考えてもやばいんですけどー!!
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本当にありがとうございます!
美樹の名前は、米倉美樹。
今年入学の現役JK。
自分でいうのもなんだけど、美樹はかなりイケてるギャル。
もともと可愛かったんだけど、頑張ってさらに磨きをかけてきた。
この地域のギャルの中じゃ、一番イケてるって自負もある。
美樹にはずっと、どうしても我慢ならないことがある。
それはギャルだからといって、最初から頭悪いとか股が緩いとか決めつけてくるやつら。
たしかに美樹は、馬鹿だった。
でも親に迷惑かけないために、頑張って勉強してチャリで通える距離の公立に受かった。
それでもギャルってだけで、たいていのやつは馬鹿女として扱ってくる。
マジむかつく!
それ以上にむかつくのが、この格好してるだけで簡単にヤレるって勘違いしてる男ども。
マジきもい。
だいたい、美樹はまだ処女だっつーの。
美樹の貞操は、そこらへんのヤリマンみたいに安くないんだよ!
結婚したいと思える相手に巡り合うまで、エッチなんかするつもりないっての!
美樹がギャルやってんのは、これが美樹の生き方だから。
ギャル=ビッチとか、舐めた勘違いしてんじゃねーよ!!
そんな美樹には、最近二つ悩みがある。
その悩みは両方、美樹が通ってるクラスにあるんだ。
入学式の日はクラスの男子がイケメンばかりで、マジで神ってるって思った。
もしかしたら、美樹の王子様……。
いや、未来の旦那様とここで出会えるかもって期待した。
でも、すぐに気づいたんだ。
なんだか教室が臭いことに。
原因はすぐにわかった。
窓際の一番後ろに座ってる男子。
名前はたしか……、立川とか言ったっけ?
顔は嫌いなタイプじゃないのに、とにかく匂う。
聞いた話によると、べつに不潔にしてるとかではないらしい。
清潔にしてるのに、体質によってそういう匂いが出てしまう。
お気の毒だし可哀そうだと思うけど、やっぱり美樹はぜーったいに無理。
だってあの匂いの中心地でファーストキスしようとしたら、臭すぎて100%我慢できないもん!
ムードもなにもあったもんじゃないって。
そんな立川だけど、なぜか女子生徒が集まっている。
しかもいつも周囲にいるのは、このクラスでもトップ3に可愛い子たち。
はっきりいって、なにが起こっているのか美樹にもわからない。
美樹には無理だけど、珍味みたいに嵌まると癖になる匂いなんだろうか。
つーわけで、美樹のクラスの匂いが悩みの一つ。
消臭スプレー使ったりして、すごい気を使ってくれてるのもわかるんだけど、やっぱり臭い。
委員長ちゃんのおかげで廊下側になれたから、窓開けて廊下の空気吸えるようになったけど、やっぱり臭い。
でも立川に罪はないから、美樹も我慢しなきゃと思う。
もう一つの悩みは、立川以外のクラスメイトも変人が多いってこと。
特に一番やばいのは、立川の幼馴染らしい朝霧って女子。
なに考えてんのか机を粉々に壊すわ、シャーペンをバキバキに折るわで手に負えない。
これで美樹のクラスで……というか、たぶんこの学校で一番可愛いのが笑える。
でもいくら朝霧がやばいったって、男子も情けなさすぎ!
だって高校生にもなって、お漏らしってありえなくない!?
いくらイケメンだとしても、ぜーったいになしだわ。
たしかに朝霧のプレッシャー、パねえよ。
前の席に座ってた時は、背中にビシビシ感じてたよ。
だけど漏らすとか、さすがに信じられない!
あと人が変わりすぎちゃった委員長ちゃんとか、言動不審なお嬢様とか、神出鬼没な御付きの人とか!
先生もなんだかあれな雰囲気だし、このクラス変人多すぎ!
つー感じで、美樹はここ数日サゲサゲな毎日を生きていた。
でも、今日は違う!
朝から、ずっとテンションアゲアゲ!
だって入学式以来初めて、学校が別れちゃった親友たちと遊ぶんだ!
「美樹ー! こっち、こっちー!」
「愛ー! 智子ー!」
自転車をかっ飛ばして待ち合わせの駅に来たけど、すでに二人はそこで手を振っている。
スマホに連絡が来てたとおり、本当に午後の授業さぼったんだ。
「お待たせー。でも、二人とも入学早々サボりとかないわー」
「なんか、気乗りしなくて―」
「ミキミキ、真面目すぎ―」
美樹のことを、美樹って呼んでるのが坂下愛。
ミキミキって呼んでるのが、野村智子。
二人とも、オナ小でオナ中。
小学校高学年あたりで仲良くなって、中学に入ってからは完全に親友。
高校では美樹だけ別れちゃったけど、一生付き合っていきたい大事な二人だ。
「で、今日はどーすんの?」
「わたし喉乾いたから、とりあえずアイコでも飲まない?」
「アイアイ、ナイスアイディア! マクっちゃおう!」
マクるとは、この国最大のファーストフードチェーン店『マクダナルド』、通称『マック』に行くこと。
安く腹を満たせるから、なにかとお金のかかるギャルの強い味方。
なんと、アイコはSサイズなら衝撃の百円! 安い!
三人ともアイコのSサイズを頼んで、窓際の席へ。
愛を真ん中にして、並んで座る。
「そういえばさー。美樹がLOINEで報告してることって、どこまでホントなの?」
ロインとはSNSサイトの一つ。
これを使えば、気軽にいつでも友達と連絡を取り合える。
開発した人、マジリスペクト!
……つーか、美樹。さっきから、誰に説明してんだろ?
「全部本当だって! マジでやばいの! 美樹のクラスは」
「ミキミキ、さすがに盛りすぎ―」
「盛ってないから! マジで一回、来てほしいわー」
「じゃあさー、マジで美樹のクラス臭いの?」
「臭い! 超臭い!」
「でもその臭い人、ミキミキのタイプなんでしょ? もったいないよねー」
「べつに、タイプなんて言ってないしー。顔は嫌いじゃないって言っただけだし―」
「それタイプってことじゃね? 美樹、墓穴掘ってんじゃん」
「掘ってないし!」
「ミキミキ、慌ててるー」
「慌ててないし! つーか、その男さ。そんな匂い出してるのに、女子には大人気なんだよ。しかも学校でトップクラスに可愛い子ばっかり!」
「なんか、そいつ弱みでも握ってんじゃないのー? 美樹も可愛いんだから、気をつけなよ?」
「うーん。そんなやつには、見えないけどなー」
春休みに会ってるし、スマホで連絡は取ってるからひさびさってわけじゃない。
でも直接会うと、いくらでも話題があふれてくるのはなんでなんだろう?
超たっのしー!
時間を忘れるほど、マックで談笑。
スマホを確認すると、もうそこそこいい時間になってる。
今日はこのままここで話して終わりでもいいかな、なんて思ってたら愛が急に手を叩く。
「そうだ! 今日は、ひさびさにオケろうと思ってたんだけど。美樹も行くでしょ?」
「カラオケかー。たしかにひさしぶりだし、いいかもね!」
「ミキミキ、ノリいいねー! 行こう行こう!」
マックをあとにして、駅近の雑居ビルに入っているカラオケに向かう。
古い店舗だけど、料金はそのぶん安く反映されてる。
そこもギャルの強い味方。
「あ! 亮介ー!」
「おう! 愛、こっちだー」
「……え?」
雑居ビルの前には、男が三人。
うち二人は顔も知らないけど、一人は会いたくない男ランキング第一位の糞野郎だった。
やつの名前は、菊池亮介。
こいつもオナ中で、美樹に何度も何度も迫ってきた。
体目的バレバレだから普通に断ってたんだけど、懲りずに何度も。
そのあいだ、美樹の友達が何人もこいつに泣かされてるのを知ってた。
それなのに恥ずかしげもなく、「俺は米倉だけだよー」とか言ってくる。
マジで最低最悪な男!
死ぬほど顔を見たくない。
「……愛。どういうこと?」
「あ、言い忘れてたっけー? 今日は、亮介たちも一緒にオケろうと思って。制服見てわかると思うけど、わたしら同じ高校だから。親睦会を兼ねてね」
「だ、だって今日は美樹と――」
「ミキミキ。予定かぶりは、しょーがないじゃん。わたしらにとって、親睦会は大事。でも、ミキミキとの予定も大事。選べるわけないでしょ?」
「……わかった。じゃあ残念だけど、美樹は帰るね」
「ちょっと、待ってよ!?」
「……愛。美樹が菊池のことどう思ってるか、気づいてるよね……?」
「……もち、わかってるよ。でもこれから忙しくなったら、美樹ともなかなか会えないかもしれない。お願い。亮介とは離れた席にするから! わたし、美樹と一緒にオケりたいの」
「愛……」
美樹は菊池のことは大嫌い。
でも愛と智子は大好きな親友。
愛のすがるような顔を見たら、美樹はその手を振り払えなかった。
「……わかった。今日だけだよ」
「やったー! だから美樹のこと大好きなんだよ」
「ちょっと! こんなとこで、抱きつかないでよ!」
結局、愛にほだされた美樹は、菊池たちとカラオケに行くことを了承してしまう。
……つーか、菊池だけじゃなくてほかの二人も美樹のことエロい目で見てるんですけど。
マジ、超キモい。
いくら親友の頼みとはいえ、すでにちょっとだけ後悔。
エレベーターで三階まで昇って、入店。
カウンターで受付してくれたのは、ニタニタとキモい笑みを浮かべる男。
今日は会う男、会う男、最低のやつばっか。
さっきまではあんなに楽しかったのに、どうしてこうなっちゃったんだろうか。
取れた部屋が四階だったため、もう一度エレベーターに乗って上昇。
つーか、一番奥の部屋じゃん。
ドリンク取りに行くの、超めんどい。
気分が乗らない美樹は、一番最後に入室。
なんか、歌う気も起きないなー。
てきとうに流して、終わるのを待とう――
「ウェルカーム、米倉。猛獣の檻へ」
「――なっ!?」
ドリンクバーに行くために立ち上がったのかと思ってた菊池が、いきなり覆いかぶさってくる。
ちょっとボーっとしてた隙に、両手を完全に抑えられてしまった。
「な、なにかってに美樹の体に触ってんだよ!? 離れろ!!」
「ばーか。いくらおまえの気が強くでも、男のパワーにかなうわけねえだろうが」
いつの間にか菊池の連れの体のでかいほうが、ドアの前に立っている。
これじゃあガラスの部分が隠れて、外から見えない。
「あ、愛!? 智子!? は、はやく逃げて! 店員と警察を――」
「あっはっはっはっはっは!! こいつ、ほんまもんのアホかよ!?」
「……えっ?」
個室に響く、耳障りな男の笑いの三重奏。
愛と智子に助けを懇願する視線を向けるが、彼女らは薄気味悪い笑みを浮かべただけだった。
「…………う、嘘でしょ……」
「やーっと、気づいたかよ? こいつらは、ぜーんぶ知ってておまえをここに誘い込んだんだよ。俺たちに、まわさせるためになあ」
「嘘でしょ!? 愛!! 智子!!」
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!
こんなのなにかの間違いに決まってる!
そ、そうだ。きっと愛たちは、なにかで脅されて……。
「あ、愛、智子。こいつらに脅されてるんだよね? な、なら、絶対美樹が守るから。だから、一緒に戦おう?」
そうだよ!
愛たちに立ち向かう勇気さえ与えられれば、こんなやつら――
「――ばっかじゃないの?」
「……愛?」
髪をかき上げて、美樹のことを見下ろしてくる。
その両目には、小馬鹿にした感情と憎しみが揺らめいていた。
「ここまできて、まだわたしら信じてるとか。逆にドン引きなんですけどー」
「愛、なに言って……」
「もう、うざいから。さっさとやっちゃってよ。あの米倉美樹の、ほんまもんの処女レイプだよ。あんたらも、ちゃんと撮影しときなよ」
「やっべー。俺、もうギンギン」
「俺も。米倉っていったら、マジで有名だもんなー」
「……嘘。嘘!! て、店員さん!! 監視してないの!? だ、誰か!?」
……愛も、智子も、本気なんだ。
本気で美樹のことをこいつらに…………。
「ほんとに、おまえ馬鹿だな。俺らがなんの準備もなしに、こんなことするわけねえじゃん。ここのバイト、俺のダチなんだよ。この周りには客いないし、カメラも細工済みだぜ」
…………さっきの、カウンターの男……?
「やっぱ、ギャルって頭からっぽだわー。こんな簡単に、上手くいくとわな」
「……亮介。それ、わたしらのことも馬鹿にしてることになるんだけど」
「愛は違うって。この馬鹿を、はめれるくらいなんだからよ」
「おい、そろそろ始めろよ」
「俺、もう我慢できねえよ!」
「ちっ! わーったって。じゃあ、いっただっきまーす!!」
……美樹。このまま、こんなやつにやられちゃうのかな?
「うっひょー。亮介、はやく俺にも回せよ」
美樹の処女。こんなやつに奪われちゃうのかな?
「ばっか。がっつくなって。あの米倉美樹の処女だぞ? ゆっくり、楽しまねーと勿体ねー」
ファーストキスも含めて全部、未来の旦那様に捧げたいって思ってたのに……。
「それもわかるけど、俺もう興奮しすぎてやばい状態なんだって! マジで、はやくしてくれよ!!」
そう思って、ずっと守ってきたのに。悔しいよ……。
「わかった、わかった。んじゃとりあえず、ディープキスから……」
や、やっぱり嫌だ。絶対嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だあ!!
「た、助けて!! 誰か、助けてえええええええ!!」
「うぉっ!?」
「な、なんだ!?」
気づくと、扉を隠してた巨体が前によろめいて、両手を床についている。
さっきまで、外界と繋がるのが絶望的に思えてたドアが開いていた。
……もしかして、美樹の王子様が助けに来てくれたの!?
ついにその姿を現す、美樹の王子様――
「米倉さんから、さっさと離れろおおお!! この糞変態どもがああああ!!」
そう怒り叫んだ彼は、女の子のパンツでできたマスクをかぶっていた。
どう考えても、この部屋の中でダントツに変態な格好だったのだ。
読んでいただきありがとうございました
少しでも楽しんでいただけてたら嬉しいです
今回はギャル子ちゃん回でした
ギャル語を調べながら書きましたが、読んでわかりそうなものだけ選んで使わせてもらいました
ちなみに念のためですが、アイコはアイスコーヒーです
次はぶち切れ純一のお仕置き回です
次回もよろしくお願いします!




