シロと北の街
シロとアーサーはひたすら北へ向かっていた…
「ア〜サ〜、つ〜か〜れ〜た〜、お腹す〜い〜た〜」グデグデ
シロは駄々っ子全開だった。
「わがまま言わないで下さいよ、師匠。俺だってお腹空いてるんですよ」
アーサーは何とかシロを納得させようとした。
そうでもしなければシロは怒り出すからだ。シロを怒らせばどんな事になるか、想像したくなかった。
「駄々こねても何も出ませんよ。もう水も食料もほとんど残ってないんですから」
「ア〜サ〜、疲れたから抱っこして〜」ふらふら
もしアーサーが元気な状態であったならばすぐにでも実行に移していただろうが、流石にアーサーも限界だったようだ。
「とても魅力的な要求ですが、お断りします。
師匠、それだったら魔法で北の街まで飛んでいけばいいじゃないですか」
「ム〜リ〜、力がで〜な〜い〜」ふらふら
シロは今にも倒れそうだった。
「! 師匠、あれって街じゃないですか⁉︎」
「!」バッ
俯いていたシロは勢いよくアーサーが指差す方向を凝視した。
「ま、街だ!」
「漸く街が見えましたね、師匠!」
そう言うとシロはアーサーの手を繋いだ。
「?」
アーサーがシロの行為に疑問を抱いた時には足元に魔法陣が広がっていた。
次の瞬間、二人の姿は消えていた。
「あれ?ここはどこだ?」
何が起こったのかに気づいた時にはシロの転移魔法でもう街の門の前に来ていた。
「つ、疲れた〜、アーサー、ごはん至急よろしく」
シロは最後の力を振り絞り数十キロもの距離を短縮してくれたのだ。だが、シロはその場に倒れてしまった。
「わかりました、師匠!」
アーサーも最後の力を振り絞り、シロを背負って全力で食事処まで走ら出した。
食事処は案外簡単に見つかったのは幸いだった。
店に入るやいなや、適当に美味しそうなメニューをいくつか注文した。
既に二人のライフはゼロになりかけていた。
「ご、ごは…んは…まだ…な…の?」
「し、師匠、もう少しの…辛抱です」
数分後、料理が運ばれてきた。
「「………………」」バクバクバクバク
お互いにただひたすら運ばれてくる料理に貪りついた。
お腹がいっぱいになり、お会計がとんでもない額になっていた事に気づいた時にはもう遅かった…
・
「今度からは食事も考えていかないとマズイですね、師匠」
「そ、そうだね」
あの会計額を見てからはお互いに外食は控えようと思った。
「ところで師匠、どうして遠い北の街までわざわざ来たんですか?」
さっきの後悔を振り払うかのようにここまで来た目的をシロに聞いた。
「あれ、言ってなかったっけ?」
「言ってないですよー」
「まぁいいや、とりあえずこの街に来た目的は君の体作り兼君に合った武器を見つける事だよ〜
体作りの方はこの北の街まで来るだけで半分以上は出来上がっているけどね〜」
「あとは俺の武器を見つけるだけか…」
「そ〜ゆ〜事〜」
どこへ向かっているのか分からなかったがアーサーはシロの後ろについて行きながら話を続けた。
「師匠、でもどうやって武器を見つければいいんですか?」
「確か文献では、北の街には武器を司る精霊が奉られているらしいから、そいつに会って聞いてみようと思ってる」
「大丈夫なんですか?そんな事して」
「ダメに決まってんじゃん、普通だったらね」
ーーー嫌な予感しかしないんですけど…
アーサーは顔を引きつらせる。
「平気平気、もしなんかあったら助けてあげるから」
そんな事を言いながら二人はその精霊がいると言われている洞窟に向かって歩く。
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