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駆け出し勇者と白銀の魔王  作者: 砂糖人形
旅立ちの時
6/23

シロと約束

〜魔王城〜

執事(ブブ)魔王(シロ)が不在である事を限られた者にしか知らせなかった。何故なら今ここで魔王がいない事が知られれば魔王になり代わろうと下剋上を仕掛けてくる輩は少なくはないからだ。

勿論、ブブも七つの大罪の一人、暴食のベルゼブブである。ある程度のレベルの悪魔を相手にするのは造作もない。

しかし、同じ七つの大罪の大悪魔が相手では勝敗は判らない。もし七つの大罪同士で争えば魔王界での内乱は確実だ。

だからこそ、ブブは密かに魔王を探すべく世界各地に悪魔を送り込み、魔王の手掛かりを探していた。

ただ、探索に当たらせた悪魔の内、誰一人として魔王の姿をその目にした事が無かった。真名や性別でさえも知らされていなかった。

唯一、知らされたことは

< 白銀の髪で黄金の瞳を持つ者 >だけだ。


探す悪魔もこれでは探すものも見つからないと不安に思っただろう。無理もない。それほどまでに魔王とは悪魔達にとって王であり理想であるからこそ、秘密が多いのだ。こうまでしないと魔王の威厳が保てないとブブが判断したからだ。

それを裏付けるのは魔王(シロ)の態度や姿だ。

まず、一人では何もできない。

次に敬語や作法の何もかもを今までやってこなかった。

他にもあるが、一番問題なのは男でないことだ。

魔王は必ず男でなくてはならない。それは決まりごとであって女である事は絶対に許されない事であった。もし女であるとバレれば他の悪魔達から下剋上される事は確実である。だからこそ男である必要があった。

しかし、魔王の父と母はもう亡くなってしまい、跡継ぎは魔王(シロ)ただ一人。ブブは決心した。シロを魔王にする事を。


それなのに、まさに世界征服を遂行している今、魔王が不在である事は非常にマズイ事態であった。このままでは他の悪魔達にバレてしまう。それだけは絶対に阻止しなければならない。

ブブは一人、魔王の部屋で頭を悩ましていた。


そうとは知らず、魔王はごはんの時間を満喫していた…




〜シロとアーサー〜


シロ達はアーサーの故郷を旅立ち、北へ北へとひたすら向かっていた。

(旅に出る前にアーサーは飼っていた牛や鶏達を農家仲間に譲っていた。)

旅の途中、魔物と遭遇することもあったが、基本的にシロが片付けていた。それも一撃でだ。その間、アーサーは後方で身を隠すなどしてほとんどシロ任せになってしまっていた。

シロ任せになっている事はシロ自身、気にしてはいなかったが、アーサーはやるせなさが少しずつ心の中に積もっていた。


歩きながらシロはアーサーに色々な知識を教えていた。悪魔の弱点、人間と悪魔の違い、悪魔の階級、歴史など限られた人間しか知らないような情報をもったいぶらず明かしていく。

シロはアーサーに教えることに夢中になっている一方、アーサーの方は悪魔の事を知らな過ぎていたために悪魔達の事を知れば知るほど悪魔達に勝つ自信を失っていった。


「でね、アーサー、悪魔は人間を襲う事それ事態が目的なんじゃなくて、人間の恐怖や絶望といった負の感情を糧に」


「ちょっ、ちょっと待って、師匠!」


シロのあまりのマシンガントークにアーサーが横から口を挟む。そうでなければ永遠に話し続けらだろうとアーサーが思ったからだ。


「なによ、せっかくこの私が教えてあげてるのに〜」ム〜


シロは急に話を遮られムッとする。


「そんなに沢山、一度に教えられても覚えきれないよ…」


アーサーは頭は悪くない。それでもやはり情報量が膨大すぎた。さらに、シロのマシンガントーク、これでは覚えられるものも覚えられない。


「こんなのまだまだ序の序よ」


シロはサラッとアーサーに告げる。シロはアーサーの顔が青くなるのを見て、体調が悪いのか心配したが、どうやら体調の方ではないようだ。


「………」


悪魔の事を理解するのはまだまだ先のことになりそうだ。


ーーーどれだけ時間がかかろうと、いつか覚えてみせる


アーサーはそう決心した。



「…あのさ、師匠」


ふとシロに話しかけた。


「なに?」クルッ


後ろから声をかけられた。シロは声がした方に振り向く。アーサーは難しい顔をしている。


「人間は悪魔に勝てるのかな…」


アーサーはシロに聞きたかった。勝てる可能性があるのかどうかを。だが…


「さぁ〜ね〜」


なんとも不明確、無責任な返答だ。口には出さないが、アーサーシロのはそういう適当さがあまり好きではなかった。


「えぇ⁉︎それどういう事だよ、師匠!」


アーサーはシロに言い寄った。その答え次第ではアーサー自身のモチベーションにも影響があると分かっていたが、ここまできた以上、後には引けない。

アーサーは覚悟を決めた。


「今のままじゃ悪魔達にとってただの餌だね〜

もしかしたら、このままずっと餌のままかもね〜」ククク


「そんな〜」ガクッ


アーサーの心は絶望の色に染まり始めていた。


「まあ、さっきの私の話を聞いただけでビビってちゃあ、一生かかっても勝てないだろうね〜」


「!」ドキッ


アーサーは気づいた。自分の心の弱さに。戦う前から負けていることを。シロは分かっていたからこそ適当な返事しかしなかったのだ。


「戦う前から逃げ腰じゃあ、勝てるものも勝てないだろうね〜、今からでも遅くないから街に帰れば〜?」クスクス


シロはいつもの調子でアーサーを挑発するような言葉をかける。が、それを聞いてもアーサーには全く悪意は感じられなかった。


「帰らない!俺は悪魔達を倒すって決めたんだから!」


悪魔の話を聞いたからってビビる必要なんてこれっぽっちも無いのだから。


「そうそう、アーサーはそうでなくちゃね〜、

そうでなくちゃ面白味がないからね〜」ニヤニヤ


いつも通りのアーサーを見たシロは安心したように前を向き直しす。


「俺は師匠の玩具じゃないぞ!」プンプン


馬鹿にされっぱなしを癪だったのかアーサーはわざとらしく怒ってみせた。


「反論する元気があるならさっさと悪魔の事を理解してね〜」


「うっ、分かったよ、善処する」


シロは痛いところを的確についてくる。アーサーの反撃はシロの一言で終わった。


「分かったならよろしい」


「あっそうだ!」


シロは急に何かを思い出したようだ。


「もしアーサーが一度でも自力で悪魔を倒せたら、何でも一つだけ言うこと聞いてあ・げ・る」ニコッ


シロは可愛らしく体をくねらせてアーサーに向かって宣言した。

その瞬間、アーサーの頭の中はフル回転していた。世界の時が何秒が止まったかのような感じがした。こんな可愛い幼女が何でも好きなことをさせてくれると言ったのだ、それも悪魔を一回倒すだけでだ。


「そ、それ、マジ?」ブルブル…


アーサーはもう一度、シロにさっきの発言が本当なのか確認した。


「マジだよ〜、ふふ」


余裕綽々に微笑んでいる傍ら、アーサーは震えていた。


「約束だからな!絶対忘れるなよな!」


何故か知らないがアーサーはヤル気に満ちていた。


「う、うん…」


アーサーのヤル気に負け、簡単に承諾してしまった。


「うおーーーーー!!!

やってやる!!!

やってやるぞーーーー!!!!」ゴゴゴゴゴ…


「えー…」


まさかこんなことでアーサーのやる気を最大限に跳ね上げられるとはシロ自身も予想外だった。

正直、シロはかなりドン引きだった。


約束は約束だ。破るわけにはいかない。ただ、シロは確認したかった。


「因みにさ、私に何させる気?」


ゴクリと唾を持ち込んで、アーサーの発言を今か今かと待っているシロの目からは不安しか感じられない。


そんな事は気にしていないアーサーはシロの質問に少し時間をおいて答えたが。


「ふん!そんなの言えるわけないだろ!」


言えないようなことを私にさせる気か…

シロは浅はかな判断で言ってしまった自分に後悔した。


一応言っておくがアーサーはロリコンではない。

ただ、シロのことが好きなだけだ。


まあ、ハタから見ればただのロリコンにしか見えないだろうが…



そんな事も有りながらシロとアーサーは北へ北へと向かって行った。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

もし良かったらポイント評価お願いします。m(_ _)m

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