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決着

セトの言葉がアーサーの頭の中でこだまする。永遠にも感じられた十分間の死闘はあっけなく幕を閉じた。


「あと、少しのところだったのに...」


アーサーは悔しくて悔しくてたまらなかった。手に持つ剣の柄を強く握りしめ、今にも泣いてしまうような顔をしていた。下を向いて只々、立ち尽くす以外何もできなかった。


距離を取っていたセトはアーサーのもとに向かって近づいてきた。アーサーにはそれがまるで死刑執行人がやってくるかのような、そんな感じがした。アーサーの立っている場所が崩れ、奈落の底に落ちていくかのような絶望と何もできない自分への失望が混ざり合い、アーサー自身、理性を保っているのがやっとの状態だった。


ーーーシロ、ごめん


ただ、アーサーは最後までシロのことを忘れず、勇敢に戦った。アーサーもそのことに関しては自信を持っていた。だからこそ、自分の死に対して恐れることはなかった。色々な事を考えているとセトはすぐ目の前にいた。セトはアーサーに手を伸ばし、アーサーはそれと同時に思わず目をつぶる。









「我の負けだ、人間」


セトはアーサーの肩に手をかけてそう言った。




「.......はぁ???」


アーサーは素っ頓狂な顔を隠さずにはいられなかった。そして何が起こったのかを理解するのにさえかなりの時間を要した。


アーサーが落ち着きを取り戻し始めたあたりからセトはまた口を開いた。


「あの時、わずかだが貴様の剣が我の頬に傷をつけた。ほれ、これが証拠の傷よ」


セトはそう言って頬を近づけて見せてきた。確かにわずかだが、ちゃんとそこにはアーサーの剣による傷があった。


「...それじゃあ!」


「あぁ、我は貴様らを殺さん。そして、ネフティスに謝罪することを条件に貴様たちのこれまでの非礼を許そう」


アーサーは嬉しさのあまりその場で歓喜し、雄叫びを上げた。さっきまでの疲れが全く感じ無い、いや、疲れを忘れさせてしまう程だった。アーサーのあまりの喜びようにセトは目を丸くし、少々呆れていた。それはセトを負かした相手が幼い少年のように、無邪気にはしゃいでいたからだ。


「人間よ、貴様の名を我に聞かせよ」


アーサーは急に我に返り、顔を真っ赤にして俯きながら名乗った。


「...アーサー・ペンドラゴンです」


「アーサーか、覚えておこう。我に勝利した偉大な人間としてな...」


セトは清々しい顔をしてそう言った。


「あの、あの砂嵐の中からシロを出していただけますか?」


「おっと、あの白い奴のことを忘れていたな。今出してやろう」


セトは合掌して呪文を唱える。すると砂嵐は嘘のようにすぐにおさまり、中から砂だらけになったシロが出てきた。セトがアーサーの横にいるのが分かるとシロは血相を変えて飛んでくる。アーサーは慌ててシロとセトの間に立ってシロに説明するが、、、


「やい、アーサーに何をしたんだ!アーサーに少しでも怪我をさせてみろ、私がお前なんか.....あれ?どういうこと??」


怒りで最初は状況を飲み込めていなかったシロもセトに敵意がない様子を見ると段々と落ち着きを取り戻し、アーサーの言うことに耳を傾けた。そして一通り説明が終わるころにはシロはすっかり上機嫌になっていた。


「いや~、まさかアーサー一人で問題を解決しちゃうとは思ってもみなかったよ~。うん、アーサー偉い!」


ーーーまさか、アーサーがここまで成長していたとは...。私の想像を軽く超えてきたな~


シロはそう言ってアーサーの頭を撫でようと魔法で宙に浮かぶ。しかし、ここで問題が発生する。いつもだったら喜んでしまうアーサーも、この場で幼女に撫でられて喜んでしまうような醜態をさらしてしまえば、セトにドン引きされることは目に見えていた。だが、シロに褒められることなどめったにないからこそ恥を忍んで今の状況を甘んじて受け入れるか、アーサーは葛藤していた。


そして、アーサーは決断した。


アーサーはいきなりシロを抱きしめてた。シロはアーサーの突然の行動を理解できずアタフタしている。シロは自分の小さな体をアーサーに抱きしめられ、発育途中ではあるが色々な女の子の場所がアーサーに密着している。恥ずかしさと嬉しさがごっちゃになり、シロの顔は真っ赤になる。


「え、あ、あああアーサー!?急にななな何するの!?わ、私まだ心の準備が...」


シロは一人で何かぼそぼそと言っていたがアーサーには聞き取れなかった。その代わりにアーサーはシロの耳元で囁いた。


「頭撫でるのは二人っきりになった時に頼む」


シロは予想外のアクシデントに動揺していたが、それを聞いて頭の中がクリアになった。


「アーサー、離して」


シロは冷たい声でそう言い放ち、呪文を唱え始める。


「し、シロ?.....まさか、怒ってる?」


その言葉を最後にアーサーはシロの魔法で数十メートル先まで吹っ飛んだ。


「.....アーサーのバカ」


シロは小さくそう呟いた。アーサーがシロの思いに気付くのはまだまだ先のようだ。


蚊帳の外だったセトはいきなりアーサーが吹き飛ばされたことに驚いていた。アーサーがいきなり抱き着いたのにも驚いたが、まさかこんな落ちになるとは流石の神でさえ分からなかった。


その後、セトは吹き飛ばされたアーサーが戻ってきてシロに土下座して号泣している姿を見てドン引きしていた。結局のところセトにドン引きされ、アーサーは自分の浅はかな考えが裏目に出てしまったことを後悔した。


ーーー貴様たちは仲がいいのか?


セトは首を傾げながらそう思った。

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