再開と試練
更新遅れてすみません。
今、シロとアーサーは北の街を出て東の方角にある、ゴミ砂漠へ向かっていた。
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昨日はアーサーの旅立ちの安全を祝して宴が行われた。みんなで飲んだり食ったり、騒いで踊った。このひと時をシロとアーサーは楽しんだ。シロはタダ飯をたらふく食い、アーサーは道場仲間と盃を交わしていた。
勿論、シロとアーサーはみんなから二人の関係について迫られたが、お互いにはぐらかして難をしのいだ。
そして次の日、北の街ではアーサーが世話になった街の人たちや道場の仲間にまた戻ってくると伝え、シロとの旅が再開した。
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アーサーの後ろに付いていたシロは森の中を歩きながら考え事をしていた。
ーーー私のいない間、かなり頑張ってたみたいだし…そろそろいいかなぁ〜
お互いに黙ったままひたすら砂漠に向かって歩いていた。
ただ、これはいつも通りの感じだ。アーサーにはこの感じがとても懐かしく、嬉しかった。またこうして二人で旅ができていることに。それはシロも同じでだろう。シロにとって敵になるようなモノは基本、ここらではいないだろうが時々現れる魔物などを蹴散らすのは面倒であった。そんな事があるからこそ、この間までは歩きながら考え事などできなかった。
だが、今はアーサーがいる。だからシロは安心していられる。そしてその安心感はシロにとっても心地いい空間になっていた。
しかし、シロはその静寂を破ってアーサーに話しかけた。
「アーサー、ちょっと…」
アーサーが振り向くとモジモジしながらアーサーに近づき、頭をアーサーのお腹の部分に当ててシロが上目遣いしてきた。その瞳は何か伝えようとしているが、アーサーには何の事かわからなかった。
「ど、どうしたんだよシロ」
ーーーか、可愛い。
そう思ったが首を振り邪念を振り払う。
ーーーって、いやいや、急にどうしたんだ。もしかして何も喋らなかったから寂しかったとか? いや、シロに限ってそんな事あるわけない。前もこんな感じだったじゃないか。けど…この間までは一人で旅してたし、やっぱり寂しいのか…
そんな事を頭の中でフル回転しているアーサーは難しい顔になっていた。そんな様子を見てクスクス笑っているシロがすぐ目の下にいた。
ーーーあー、またか。
「シロー、また俺をからかったなー」
嫌そうに言うが、内面では全く違う事を思っていた。
「はぁ〜、やっぱりアーサーはからかい甲斐があるね〜。反応が新鮮で楽しいよ〜」
「そうですかー、楽しんでもらえて幸いですー」
アーサーはワザとらしく棒読みした。そして二人して笑いあった。
笑い終えた後、シロは言った。
「オシッコしてくるね〜」
唐突過ぎてアーサーは呆れていた。
「そういう事は人前であんまり言うなよなー」
「はいはい、分かりましたよ〜。あっ、覗いたら殺すからよろしくね〜」
手のひらをヒラヒラしながら茂みに入っていく。
「ここで待ってるからさっさとしてこい」
そう言って見送るとシロの気配が消えた。
ーーー気配消すほどかよ…
よほど見られたくないのだろうと勝手に想像していたが、実際は違っていたことにアーサーは全く気づいていなかった…
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ーーーここら辺でいいかな〜
シロはアーサーに気付かれないように魔法を発動する。
その魔法は自分にかけるものでは無い。ただ、魔物を引き寄せるだけのモノだ。何が寄ってくるかはお楽しみだが、これをした事にはちゃんとした理由があった。
そう、シロはアーサーにその魔法をかけた。砂漠に着くまでの間、シロが魔力を提供し続けることで効果が続くように。これもアーサーの為なのだ。アーサーには砂漠に着くまでに少しでも多くの戦闘経験を積んでもらおうと、それがシロの考えた結果だった。この事をアーサーには一言も言っていないし、魔法発動にアーサーは気付かない。
「さぁ、頑張ってね〜、アーサー」
シロは悪戯っぽく笑っていた。
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ーーー遅いなー、昨日の食い過ぎで腹でも壊したか?
そんな事を考えていると何だか森がざわついていた。遠くから何かが近づいてくる感じがした。それを察したアーサーは剣の鞘に手を添え、戦闘態勢に入る。
ーーーこんな時に何やってんだ、シロ
そう思いながら、こっちにやってくる何かを迎え撃とうと待つ。
最近忙しいので時間の空いた時に少しづつ更新してきます。