聖剣ワロス。
何がいかのように笑い物かと聞かれれば、こんな風にとしか言いようが無い。
そう、正にこんな感じ!
「ねぇ、どうしたの?勘違いで特攻して、挙げ句の果てに完全無力化されたような顔してるね。あっ、ごっめーん。本当にされたんだっけ、完全無力化?何それ超ウケるんでけどー?ギャハハハハハハハハハハッ!あれ?泣いちゃった?ねぇねぇ泣いちゃった?それともぉ〜怒っちゃったぁ?ねぇちょっと痛々しい中二魔法少女ちゃん『実力行使です!』とか言って、なんにもできなかった魔法少女ちゃん? NDK?」
「……」
「おーい聞いてる?聞こえてる?『罪科の呪術師(笑)』ちゃん聞こえてる?それとも何?存在しない心のバリアでも張っちゃってるの?ねぇねぇねぇ……」
ニッコリ満面の笑みで言葉攻め&羞恥攻め。少女改め中二魔法少女ちゃんはプルプルと震え耐えている。
こういう女子はいじりがいがあって、本当に面白い。
でもぉ、ちょっと可哀想(嘘)
現在進行形で俺達がお話ししているこの場所は『赤い帽子のおっさん亭』という酒場である(著作権大丈夫?)。亭主は、プレイヤーで名前は『マリオン』だ(もう一度言うけど、著作権大丈夫?)。
俺は、この酒場の亭主とパーティーを組んでいたこともあり、それなりに仲も良い。なので、割引してくれるかなぁ?と思っていたのだが……
「死ね」と言われて突っぱねられたため、普通に金を払うことになった。ちくせう。
「おい、その辺にしておけって……この姉ちゃん涙目になってるぞ」
俺の横に座るミタマがそんなことを言ってくるが……関係ないね!
俺は、この嬢ちゃんを虐めたいだけである。
「お前、最低だな……」
「おい、お前人の心を読めんの?」
「顔に書いてあるよ」
マジか、そんな最低でゲヘヘな顔をしていたのか。
閑話休題。
中二魔法少女ちゃんに事情を説明し終えて、今は夕方。
そろそろ、飯時になる。
この酒場で出される飯は、かなりの絶品だ。亭主自ら食料を狩ってきているので、凄く新鮮で捌くのも亭主がやっている。
そんな訳で、飯が出来上がるのを待っている訳なのだが……
「ミタマ、キング持ってる?」
「はっ。言う訳がねぇだろ」
「あ、持ってるのね。じゃあ失敬〜」
「なぁ!?」
「視線動かしすぎ、取って下さいと言ってるようなもんだぞ?」
「ッチィ!」
「ほれ、次は嬢ちゃんだぞ?」
俺達は、ババ抜きに熱中していた。
現在の戦績は、俺3勝、ミタマ0勝、嬢ちゃん1勝である。
いやぁ、ミタマは相変わらず騙しやすいですなぁ。
「あの……私、メアって言うんですけど……」
「へー。まぁいいや、早く続きやろうぜ」
「えっと、はい……って、ッババ引かされた!?」
「いちいち口に出して言うとか、律儀だなー」
「うっ」
あらま、嬢ちゃん……じゃなくてメアちゃんも騙しやすい。
ババ抜きを続けながら、それぞれの自己紹介的なことをする。
始まりの街では、新人の歓迎会などの場面でトランプを使って親睦を深める。
本当のことを言うと、それ以外にやることが無いだけなのだが……
まぁ、そんな感じである。
「角兎のシチューと、薬草と魔力草のサラダ3人前、おまち」
7戦終えた所で、亭主が料理を持ってきた。
「そう言えば、ジャノメ。お前、武器変えてないのか?」
「ん?」
持ってきたついでに話題も提供してきた。
この話題は振られたくなかったんだけどなぁ……
「あー。とりあえず、この『錆びた大剣』のステータス見てよ」
実はこの『錆びた大剣』にはスキル『偽装』を使っている。
『偽装』スキルを使えば、自分のステータス以外にも武器やアイテムの情報も、偽ることができる。スキル取得に2ヶ月かかった。
そのため、他の人間にはこう見える。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『錆びた大剣』
ATK:30
STR+10
DUR:0/0
効果:無し
【解説】
錆び付いて、使い物にならなくなった大剣。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「これが、どうした?」
「ただの雑魚武器だな」
「ですね」
亭主、ミタマ、メアと、三者三様な反応を示す。
まぁ、普通の反応だし予想通りの反応だ。
それじゃ、偽装を解くとしましょうか。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『朽ちた聖剣』(状態:完全破損)
ATK:30
STR+10
DUR:0/0
効果:〈朽チ果テル〉《復活》〈罰則〉〈無慈悲〉『装備解除不可』
【解説】
初代魔王を倒した勇者の使っていた聖剣。魔王の呪いにより、朽ちて使い物にならなくなっている。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「……」
「……」
「……」
皆、何も言葉を発さない。
うん、絶句ってこんな感じなんだな。
可視化したウィンドウを閉じると、俺は全員に向かってこう聞いた。
「どう思う?」
ヒロインだけど、影が薄い……
ねぇ、どう思う?