極振り!
ステータスは、慎重に決めないといけない。
デスゲームになったなら、些細な行動が死を招く可能性が高い。
極振りして、ステータスの数字に0が付くなんて正気の沙汰じゃない。
更に言えば、俺は攻略を目指すつもりだ。
死ぬのもごめんだ。
なら、真面目にステータスを選んだ方が得に決まってる。
さて、ステータスはこうなった。
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STR:0
DEF:0
VIT:0
DEX:140
AGI:0
INT:0
BP:0
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極振りですが何か?
罠でぶちのめそうと思っていますけど何か?
えぇ、正気の沙汰じゃありません。
しかし……
ソレがどうした!
俺は、俺の道を行く。
さて、最後のスキルは……
「ん?」
こんなの、さっきまであったか?
「何コレ?」
思わず呟いてしまった。
スキル欄の一番上に、つい先程まで無かったスキルがあった。
しかし、これ何気に良くね?
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『極振り(DEX)』
DEX以外の基本ステータスが0のとき、DEXを2倍する。
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予想だが、DEX極振りの場合にのみ取得できるスキルなんじゃないかと思う。
つまりこれでDEXは280。
さて、次は職業だが……こんな選択肢が出てきた。
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・戦闘系
・生産系
・その他
・ランダム
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ランダムがある以外は、スキルと同じだな。
さて、戦闘系はスルーで生産系を選択。
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・鍛治師
・裁縫師
・細工師
・薬剤師
……etc
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他にも、絵師、計理士なんてのもあったが、止めておいた。
次は、その他を選択。
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・暗殺者
・呪術師
・霊導師
・予霊師
・除霊師
・罠師
・貴公子
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おい物騒だな。
つか最後の何? 職業じゃないよね?
さんざんツッコミを入れて、罠師を選択。
これで、ステータス設定は終了。
「んじゃ、夢も希望も無いデスゲームへ旅立つとしますか」
ステータス設定を『完了』し、俺は光に包まれた。
「これから、チュートリアルを始めま……どうしました?」
俺は、猛烈に悶えていた。
やべぇ、クソ恥ずかしい。
何が「夢も希望も無いデスゲームの世界に旅立つとしますか」だ!
痛々しいわッ!
馬鹿の所行だよ!
しかも、その後にチュートリアル!
まだ旅立っても無いじゃん!
恥ずかしい! 恥ずか死ぬ!
「あの、そろそろ悶えるの止めてくれます? パン食い競走の餌食にしますよ」
「パン食い競走?」
「『パンダの人食い競争』の略です」
「こえーよ!」
やっと、悶えるのを止めた俺は、目の前にいる少女を凝視した。
「誰?」
「今更ですか……」
青く深い色の髪に、透き通るような肌、そう言うなれば……
言うなれば?
「なんだろ?」
「何気に失礼ですねあなた」
少女は「コホン」と咳払いして話し出した。
「私は、レイラ。キャラクターメイキングとチュートリアルの担当をしているAIです」
「へー」
「あなたには、これから5つのチュートリアルクエストを受けてもらいます」
「ほー」
「取得したスキルによってクエストは変わってきます。戦闘スキルなら戦闘系。生産スキルなら生産系。その他の場合は、それぞれのスキルに適したクエストが用意されています」
「ふーん」
「真面目に聞いてくれます!?」
いや、聞いてるけど。
俺の場合は『罠制作』が生産。それ以外のスキルが全てその他。
結構多いな。
それと、俺の服装が変わっている。
いかにも「村人」な格好だ。腰には剣を携えている。
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『初心の長剣』
ATK:20
DUR:10/10
効果:無し。
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DURは耐久性か……
そもそもデスゲームのチュートリアルって、必要?
「兎に角、これからクエストを開始しますから、ちゃっちゃと終わらせて下さい」
「へいへい」
俺が承諾すると、俺の目の前に透き通ったウィンドウが表示される。
『チュートリアルクエスト 生産編
報酬:1000c
内容:生産』
へぇ。
「これクリアするだけでいいのか」
罠だから、何でも素材になりそうだな。
レイラが手を叩くと、クエスト表示が消えて罠制作をわかりやすく説明したカンペが出てくる。
「この通りにやればクリアできます。頑張って下さい」
うん。頑張るしか無いだろう。
『チュートリアルクエスト 極振り編
報酬:100BP
内容:モンスター討伐』
4つのクエストは全て滞り無く終了し、これで最後のクエストだ。
しかし……極振り編?
「なぁ」
「はい、なんでしょう?」
「このクエスト、何?」
「そんなの、チュートリアルクエストに決まって……って、はぁ!?」
クエストを目にして、レイラが奇声を上げる。
「ご、極振り編?」
レイラは、顔を青くしてガタガタと震えている。
ふと、俺の影が二倍三倍に膨れ上がる。
いや、その表現は正しくない。
俺が、何かの影に入っているのだ。
つまり、俺の後ろに俺の2〜3倍以上にデカい何かがいる。
ギギギと振り向くとそこには……
……醜悪な顔をした緑色の鬼が俺を見つめていた。