歪
愛情って人それぞれだと思いませんか?
今日、彼女を殺した。
「これで君は僕だけのものだ……」
僕はきっと恍惚とした表情をしているのだろう。
彼女を抱きしめ、意識を手放した。
ピピピピッピピピピッ
いつも通り目覚ましがなる。
彼女を手に入れてから初めての朝だ、この上なく清々しい物になるはずだった。
どこにも彼女の姿が見えない。
「……え?」
困惑する。
彼女は何処へ行った?
血と彼女の匂い、抱きしめた感触。
記憶にはハッキリと残っている。
「…どうなってんだ?」
独り言を言い落ち着く。
考えろ、部屋には一切の痕跡は無い。警察だとしたら僕は捕まっている。
携帯を開き日付時刻を見た。
昨日は九月五日。
今日は九月六日になるはずだ。
しかし、今日の日付は九月五日だった。
「何がどうなってる?」
昨日殺した彼女は消え、日付も戻っている。
日付を勘違いした可能性を考慮し、テレビを付けニュースを見る。
「…これは昨日見たニュースだ」
それは至極当然、同じ日ならば昨日見たニュースが流れている
つまり時間が巻き戻っていた。
有り得ない、こんな事が起こる訳が無い。
頭の中ではそう思っても思考がグルグルと回る。
同じ所を同じように。
だから同じ事をすれば同じように時間が巻き戻る、そう解釈すれば良い。
訳の分からない状況下で僕は結論を出す。
「彼女を確実に殺す…!」
僕の僕だけの愛しい君になって欲しいから。
僕の自己満足の為に殺されておくれ。
僕は彼女を探しに街へ出た。
時間が巻き戻っていたとすると、この辺りに居る。
「……居た」
これで確証が取れた。
時間は巻き戻り僕は記憶を保持している。
となれば、昨日のように行ってはダメだな。
この後喫茶店に行ったから、そこを出た所で路地裏に連れ込むか。
僕は大きめのキャリーバッグを買い路地裏で待機しておく。
一時間程たち彼女は喫茶店を出る。
「さぁ、早くおいで。愛しい君」
純粋な狂気を纏っていた。
程なくし彼女は路地裏前を通る。
昨日つけた時には周りに人が居なかった為、何の躊躇いもなく路地裏に引きずり込む。
首を素早く締め意識を飛ばす
「ふぅ、これでキャリーバッグに詰めれるな」
そして僕は家に帰った。
キャリーバッグから彼女を出し、目を覚まさせる。もちろん手足は縛ってある。
「こんにちわ」
彼女は僕の顔を見、明らかに怯えていた。
「ひっ、だ、誰ですか……?」
「そう怯えなくて良いよ、君を殺して一つになりたいだけだからさ」
彼女はガクガクと震え失禁していた。
「あちゃ、こんな所でダメじゃないか」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「仕方ないなぁ、綺麗にして上げるね」
僕は彼女の服を剥ぎ濡れた部分を拭く。
「これから僕の為に死んでもらうんだから綺麗なままじゃないと困るんだよね」
「……ど、どうして私なんですか?」
「街で見た時にピンと来たからさ」
僕の本心を伝えると彼女は理不尽に苛まれた顔をする。
「い、嫌だァ!何で!何で私なんですか!!街にはもっと美人な人だって居たじゃないですか!どうして私なんかに目を付けたんですか!」
彼女は泣き叫び思いの丈を叫ぶ。
僕は彼女の口を抑え言った。
「君は虫を踏んだ事はあるかい?」
「んん!んんんん!!」
「答えろ、頷くだけで良い」
底冷えするような声で聞いた。
彼女は何度も頷いた。
「まるで自分が理不尽を受けているって被害者面してるけど、虫だって何で私だって思ってたかも知れねぇだろ?」
昨日とは違い恐怖で屈させてから殺す事にした。
昨日は刺殺。
なら今日は撲殺だ。
僕は巫山戯た雰囲気に戻った。
「じゃあ僕の為に死んでね」
そう言い残し僕はひたすら彼女を殴り続けた。
顔以外をずっと、腹を胸を腕を足を腰を脇も、彼女が死ぬまで殴り続けた。
彼女が息絶え、僕は抱きしめた
「あぁ、君の匂いが部屋に充満してる。まるで君に抱かれながら君を抱いてる。」
「永遠に続けばいいのに……」
再び僕は意識を手放した。
ピピピピッピピピピッ
いつも通り目覚ましがなる。
彼女を手に入れてから初めての朝だ、この上なく清々しい物になるはずだった。
どこにも彼女の姿が見えない。
僕は急いでテレビを付けた。
昨日と同じニュース。
「……またか。
また彼女を手に入れられなかった。」
最悪だ!
二度も清々しくなるはずの未来を否定されるとは!!!
「次は絞殺だ…!」
僕は再び街に出た。
彼女が一時間過ごす喫茶店に向かった。
だがそこに彼女な居ない。
「どうなってんだ?」
すっと独り言を呟く。
昨日、初めての時と違う殺し方をしたから未来が変わった?
ダメだ、不確定要素が多すぎる。
次殺して失敗した時に考えるか、今考えても時間の無駄だ。
僕は彼女を探しに出た。
近所の公園、デパート、ゲームセンターなどを見て回ったが何処にも居なかった。
しかし運命とは必ずやって来る。
ましてや二度殺したのだ、来ない訳が無い。
僕の目の前を彼女が歩いて行く。
それを追いかけると自分の家の近くまで来た。
人の気配は無く攫うには絶好の機会。それを逃す事はせず彼女を後ろから殴り昏倒させる。
家に付き彼女の手足を縛り、起こす。
「だ、誰ですか!」
「僕の自己満足の為に死んでくれ」
それだけ伝えると首を締めた。
彼女の顔は真っ赤に、涙を浮かべか細い息が漏れる。
どんどんと白くなり彼女は死んだ。
三度目の抱擁、三度目の殺害、三度目の達成感。
それとは裏腹に意識が突如として消えた。
ピピピピッピピピピッ
いつも通り目覚ましがなる。
彼女を手に入れてから初めての朝だ、この上なく清々しい物になるはずだった。
どこにも彼女の姿が見えない。
「あぁぁあ!!!」
僕は発狂しそうになる。
次こそは!次こそは!!
その思いを胸に何度も何度も繰り返した。
殺す時間、殺す場所、殺し方。
自分で思いつく限りし尽くした。
それでも彼女を手に入れることは出来なかった。
だから、彼女を攫い縛らず、近くに包丁を置いた。
そして僕はいつも通り言った。
「僕の自己満足の為に死んでくれないか?」
彼女は酷く怯えた。
僕は彼女に歩み寄る。
彼女は近くに包丁がある事に気付き、僕を刺した。
「……これで、一つに…なれるかな?」
彼女を強く抱き締め、包丁が身体の深くまで入っているのが実感できる。
彼女は謝り続け、僕は意識を失った。
九月六日
アパートの一室で殺人事件が合った。
これは彼の愛情です。




