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プロローグ(sister side)
私の弟は天使だ。
私には七歳年下の今年十歳になる弟がいる。名前は藤川里央。私はりおくんと呼んでいる。
りおくんは、小柄で華奢な体型だ。クラスの中で(女の子を合わせても)いちばん背が低いと嘆いていた。多分だけど体重もいちばん軽いんじゃないかな。顔立ちは女の子みたい、というか一見して美少女。でも私が、りおくんを天使と称するのは顔が可愛いからだけではない。
家に帰り着いて靴を脱いでいると、タッタッタッと元気のよい足音が近づく。
「お姉ちゃん、おかえりなさい!」にこにこ笑顔で言いながら、抱き着いてくる。
「ただいま」やばい、にやけちゃう。私は緩む頬に力をこめて気持ち悪い笑みから優し気な微笑みへと口元を歪める。光栄なことに、りおくんは私を慕ってくれている。でもそれは、私がりおくんに対する邪念、、じゃなくて、想いを知らないからだ。私がりおくんに萌えていることがばれたらきっと、幻滅されてしまう。だから今日も私は普通の姉を演じるのだ。りおくんを愛で続けるために!