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血吸い鳥vs阿呆鳥

「ほんと渡れる所無いわね」


 川幅はそこそこ広い。所々に大きな岩があるが、濡れているし、ごつごつしている。

 ココからでは川の深さも、流れの速さもわからない。


「川の一部を凍らせたら行けそう?」

「滑る可能性もあるし、下手したら氷ごと流されかねない」


「土魔法とかは?」

「そっちもこんなとことで出したら解除した途端鉄砲水になる可能性が...それにこの川辺付近だけ、魔法の制御が異様に難しい。『火よ』」


 ぼっと、青髪の魔術師ルードの手から巨大な火柱が上がった。娘はそれをみて「ひぅっ」と小さく悲鳴を漏らした。


「あっぶないわねぇ」


「精霊が騒がしい。アイスの時も微妙に言うことを聞かなかったし。この川の付近では魔法を使わない方がいい」


 結局、三日三晩さ迷ってたどり着いたのは、湖だった。


 ◇


「え、っとフラミンゴ?お肉?トリニク?」


 もう、フラミンゴを見て、肉としか認識できない娘に由香里は一抹の不安を覚える。

 食料が少し心もと泣く、砂糖を固まりで買っているとはいえ、そればかりでは心もとない。


「狩りの時間だ!」

「いや、あれは血吸い鳥と阿呆鳥だ。」

「血吸い鳥は今の薄ピンクになっている状態は空腹状態で危険だし、阿呆鳥は鳴き声を聞くと混乱する」

「力だけのばかが突っ込んで行くとやっかいだ」


「力だけの」「バカ」


 一斉に、アレックスに目を向けた。


「私のような魔法使いが「混乱」に陥って、範囲攻撃放った日にはさらに始末に終えない。しばらく様子を見てみよう」


 お腹が空いた血吸い鳥の数羽が、阿呆鳥のひな一羽に襲いかかる。親鳥が猛反撃。そこからはまるで怪獣大戦争だった。


「ア、ホー」「ア、ホー」「アッホゥ」


 阿呆鳥の群れが大合唱をすると、血吸い鳥の群れの中の数羽が仲間に襲いかかる。血吸い鳥の半分は逃げ出し、四分の一は混乱した仲間を容赦なくつつき回し、残りの四分の一は阿呆鳥に反撃した。


「念のためもう少し下がっていよう」


 阿呆鳥は怪我した血吸い鳥を、血吸い鳥は怪我した阿呆鳥をそれぞれ爪でとらえて優雅に飛び去っていく。

 数羽その場で食事タイムを楽しんでいた鳥もクラウスが笛をふくと驚いてすべて飛んでいった。


 飛んでいく血吸い鳥の羽根は、血を吸い取ったかのように真っ赤に染まっていた。


 この間、戦闘が始まって10分ほど。


「ココアできる?」

「うん!バイバイきん」


 ココアが浄化の呪文を唱えると、鳥たちは光に包まれた。


「心愛えらいえらい」


 心愛の頭を撫でてあげる。

 鳥の遺骸に満面の笑みなのには一抹どころかすっごく不安を覚えるが、さくさく処理をしていかないと肉が傷んでしまう。


「血吸い鳥は少々血なまぐさいので、血をよく抜く。栄養価は満点なので、胃、心臓の部分を使ってのブラッドソーセージがおすすめ。よく合う香草はーって、これモンスター図鑑てより、レシピ本よね?」


「ワインと魚醤なら持っている。さっさと作ってしまおう。」


 瞬く間に鳥の一部がソーセージになっていく。


「阿呆鳥の焼き鳥は我を失うほど美味。」

「よっしゃー今日の夕食は焼き鳥だ」、「めっちゃうめー」


 パリパリの皮もジューシーなお肉も、噛むたびに旨味が溢れて、塩も、謎の魚醤だれもおいしい。口の中がこってりしてきたら、ヤシ酒のレモンサワーもどきを飲んで、さいこー。今日だけはお酒何杯でもいけちゃうわ。ついでに今日だけは嫌なこと忘れちゃおう。


「で、この湖が『さ迷える湖』で、このまま東に行けば...『☆』のマークのところにたどりつくのよね」


 ゴーレムが心愛に渡した本には地図が付いていたのだが、縮尺もつけてくれていない不親切な地図で、結局羅針盤がダメなら、太陽で大雑把な方角を知るしかない。湖の名前も嫌なネーミングだ。


 地図を見る限りルーリーとほぼ同じくらい離れている...はず。リズが役に立たない羅針盤を取りだしてー。


「若!羅針盤の針が戻りました」



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