欲張りな優しさ
朝、とある食卓。
新聞を広げた少年とせっせと朝食の支度をする少女がいる。少年の名は風間れん。新聞を読むのは彼の習慣である。その横で家事に専念する少女は彩科小麦。ずっと一人暮らしをしていた彼女にとって家事はお手の物だった。
小麦の支度が終わった時点で朝食となる。
「これもらうよ」
「えっちょっそれ私が楽しみにしてた・・・」
私の細やかな抵抗をものともせず、ご飯のお供の梅干が奪われてゆく。
「あ~もう~。何で私の食べるの~~~!!??」
「だって小麦は僕のものでしょ?だったら小麦のものは僕のものとなるから」
「何その意味わかんない理由!」
・・・この会話は一体何回目だろうか。私がれんと付き合いだしてからずっとこんな感じ。とにかく彼は私のもの(私を含める?)が欲しいらしい。思うに彼は欲張りなのだ。というか、訳の分からない定理を持ち出す前に”親しき仲にも礼儀あり”という言葉を知るべきだと思う。
・・・まあ、知っているとは思うけどね。彼、頭はいいから。でもでも、ちゃんと認識することは必要だと思うよ!!??
「・・・何さっきからぶつぶつ言ってるの?」
「えっ私口に出してた?」
「内容は聞こえなかったけどね」
「嘘~。もー私ヤダ」
「意味わかんないよ」
夕方、同じ高校に通うため二人は一緒に帰ることが多い。
「あ、今日はこのまま買い物してくるから先帰ってていいよ」
「何言ってるの。僕も行くよ」
「そう?」
「こんなに沢山買ってどうするの」
「う~・・だって安かったんだもん」
「全く・・・小麦は馬鹿だね」
「っ・・いいもん。ちゃんと自分で持ってくもん」
「はぁ・・・これ持つよ」
すっと私の右手から買い物袋が取られた。両手の均衡が崩され、一瞬ふらつく
「えっ別にいいよ。二つ持ってればバランス取れるし」
「・・・僕は欲張りだから」
「はい?」
「っ・・何でもない。早く帰るよ」
れんが私の空いた右手を握り、歩き出した。
ちょっと不器用で欲張りな彼の優しさ。それがれんのいいところ。
「あ」
「何?」
「欲張り自覚してたんだ」
「・・・誰かさんがよくそう思ってるみたいだからね」
久々の投稿!!
なんやかんやでずっと忙しく全然投稿できませんでした。正直今も暇ではありません。来年度はもっと無理だろうなぁ。
しかもこの話いろいろ無理がありますよね。
ダメじゃないか、私。
読んでくださっている方々、ありがとうございます^^