2017年6月30日(金)晴れのち雨
2017年6月30日(金)晴れのち雨
たまたまだった。学園祭二日目、プラネタリウムで橘先輩と一緒になった。
最初は、なぜか息が止まるほど驚いたが、先輩の隣で過ごせることに抗えなかった。
ごめんキャプテン。でも、どうして先輩と一緒にいたいと思ったのだろうか?
最終的に橘先輩の提案に頷き、星空の下で肩を並べて座る。暗闇に浮かぶ先輩の横顔は、あの頃と変わらず……あの頃? でもなぜか、その表情が優しくて――思わず心が緩んだ。そのおかげか、こちらも意識がふわふわして、自分でも自分が何を話しているのか分からなかった。でも……本当にリラックスできたと思う。
別れ際、先輩が「またね」と笑って手を振った瞬間、胸の奥で何かがきしんだ。もっと一緒にいたかった。けれど、そう思ってしまう自分が一番危ういのだとわかっている。キャプテンには迷惑をかけられない。
ため息をつきながら、自分の係の展示へと足を運ぶ。雪に押しつけられた先生方の”自分の宝物”の展示。正直、こんな企画誰得だよ……と心の中で思いながらも、教室の扉を開ける。
懐かしい……いや、なぜ懐かしいと思った? どこかで見たような既視感が胸をくすぐる。目に飛び込んできたのは、昨年の野球部の集合写真。高橋監督の展示物だろうか……。そこには、昨年亡くなった輿水大気君が笑って立っていた。
そして、その写真の前に二人の後ろ姿。なぜか見覚えがある。それでも誰か思い出せない。二人の男女の大人が立っていた。
「あ……」
なぜか思わず声が漏れそうになる。
振り向いた女性が、少しはにかみながら言葉をかけてくる。
「あら……あなたも、野球部なの?」
「ええ……そうです。二年の工藤と言います」
喉が詰まり、絞り出すように答える。
男性が写真を見つめたまま、小さく呟いた。
「……大気も、あのとき、こうして笑ってたんだな」
胸に鋭い痛みが走る。自分が大気であったことを忘れているのに、胸の奥が何かを思い出そうとしている。
「もしかして……輿水大気君のご両親ですか?」
すると男性もこちらに振り返り、でも優しい目をしていた。
「ええ。もう息子はいないのですが……高橋監督からご招待いただいて。妻とお邪魔しております。そういえば、夏の大会、もうすぐですよね」
「はい……」
「どうか、頑張ってくださいね」
その男性の声は優しかった。なのに、胸が締め付けられる。二人は静かに教室を後にした。
ドアが閉まる音が、やけに大きく響いた。
足がすくんで動けない。
ふと窓の下から、聞き慣れた声が耳に届く。覗くと、一階の渡り廊下をキャプテンと橘先輩が並んで歩いていた。手には色鮮やかなタピオカのカップ。笑い合う二人の姿は、どこからどう見ても自然で、幸せそうだった。
そして、外では夕立だろうか。遠くの雲が暗くなり、急に稲光が世界をかき消していく。
雨の匂いと、雷の残響が、胸の奥に妙な余韻を残した。




