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スカーレット・デヴォンシャー(前編)


 私の名前は、スカーレット・デヴォンシャー。この国有数の金持ちであるデヴォンシャー公爵家の娘である。


 父であるデヴォンシャー公爵は寄付金をちらつかせながら、王家に迫り、娘であるスカーレットと、この国の王子で眉目秀麗の評判をほしいままにしているルーカス様を婚約させた。


 スカーレットの容姿に目を向けると、濃い金色のゴージャスな巻き毛も、エメラルドのような緑の瞳も、全てのパーツが整った顔立ちも、その立場に負けない鮮やかな美しさである。しかし、微笑んでいても、目元は人を見下すようで、形よく閉じられた唇は開けば、嫌味が溢れそうで、一目見るだけで、意地悪そうな印象を与える。


 ――全て、それもそのはず。私はこの世界の悪役令嬢だ。




 私がこの世界の悪役令嬢であるという事実に気が付いたのは、幼い頃、ふんぞり返り過ぎていて、足を滑らせ、頭を打った時。


 頭への強い衝撃と共に、突然、頭の中を見たこともない景色が駆け巡った。混乱しながら、三日三晩うなされながら、それは、前世の自分の記憶らしいと気が付いた。そして、信じがたいことに、ここは「秘密の学園生活~世界に一つだけの愛を君に~」という、とある西洋風世界の国一番の名門の学園を舞台にした乙女ゲームの世界だった。




 乙女ゲームのヒロインはひょんなことから男爵家に引き取られた、ピンクブロンドの髪に柔らかな水色の瞳をした、平民出身の可愛い少女だ。ヒロインは貴族の子弟が集まる学園に入学すると、華やかな世界に身を置きながら、心の傷や満たされなさを抱える攻略対象ヒーロー達と知り合い、彼らにとって、なくてはならない存在となっていく。


 金満公爵家の長女で、ルーカス王子の婚約者であるスカーレットは、王立学園に入学し、ゲームが始まると、平民だったのに、学園で活躍し、どんどん存在感を増していくヒロインに嫉妬し、意地悪をする。例えば、お金に物を言わせ、攻略対象との待ち合わせを邪魔したり、取り巻きと共に陰口を言ったりして、ヒロインを虐めた。そして、ヒロインが攻略対象との恋を実らせると、散財を咎められ、公爵家を追い出され、退場するというしょぼい悪役令嬢(※個人の主観です)だ。なお、決め台詞は「私を誰だとお思い? スカーレット・デヴォンシャーですわよ!」。




 この真実は、私にとって、天地がひっくり返るようなものだった。


 贅沢し放題も我が儘し放題の今の生活も、いずれこの世界のヒロインがハッピーエンドを迎えるための舞台装置に過ぎなかったのだ。しばらく、この事実に落ち込んだ後、断罪される未来を受け入れた。


 ゲーム通り、悪役令嬢として断罪されたら、悪役令嬢と並んで、前世の大人気ジャンルである『森の一軒家でカフェを開いて、もふもふと一緒にスローライフ』にジョブチェンジですわ!という目標を立て、きちんと悪役令嬢の役割を果たすことにした。


 ――しかし、このところ、どうも周囲の様子がおかしい。




 ◇◇◇◇◇




 私がこの世界の悪役令嬢だと気付いてから、数年経った。今日は学園に入学して、つまり、ゲームが始まって、最初の休日だ。


 王都の一等地にある豪華な屋敷の敷地内にある離れの応接間で、紅茶を優雅に飲んでいると、ドアがノックされた。


「どうぞ」


 私が入室の許可を伝えると、異母弟であるヨハンが部屋に入って来た。三歳年下のヨハンは乙女ゲームの攻略対象で、来年、飛び級して、王立学園に入学予定である。ヨハンは、私と同じ金色の髪と緑の瞳だが、義母譲りの優しげで中性的な雰囲気で、人に与える印象は、私とヨハンで大きく違う。


 ヨハンは、ゲームでは父親の溺愛を受け、散財三昧の異母姉であるスカーレットを嫌悪していた。しかし、目の前のヨハンは、眩しい笑みを私に向けた。


「おはようございます、姉様」

「おはよう、ヨハン」

「姉様が学園に通うようになって、平日は家にいなくなったから、寂しかったです」

「……そう」

「僕、今日は一日ここにいていいですか……?」

「…………構わなくてよ」




 この世界の真実を知ってから、デヴォンシャー公爵家を見てみると、アカンやろ……という状況だった。


 私が二歳の頃、スカーレットの母で公爵夫人は帰らぬ人となり、妻を愛していた父は悲しみに暮れた。なのに、跡継ぎの必要性から、嫌々ながら、王命により年若い新たな妻を迎えることになった。


 父の新たな妻となった女性は公爵家より格下の伯爵家出身で、二十歳で、更に気の弱い女性で、公爵家の一人娘として、周囲にかしずかれて育ってきた私に、完全に縮み上がっていた。怯える義母の姿を見て、私にも母ができ、甘えることができるかもしれない、と心の奥底で抱いていた期待が裏切られたように感じ、私は義母を逆恨みした。


 その翌年に、父と義母の間に跡取りとなるヨハンが産まれたが、最愛の妻を亡くした辛さを消化できない父は私だけを溺愛した。とはいえ、父は公爵として多忙であるので、私には金だけを与えるだけだった。結果として、私は義母とヨハンに冷たく当たり、孤独を埋めるように、散財三昧の日々を過ごしていた。




 この世界のことや私の行く末を理解し、現状を見つめ直し、私がしたことは、与えられた有り余るお金を使って、王都の広い公爵家の敷地に、自分専用の離れを建てることだった。


 私が離れを建てると言い出したことに皆が戸惑い、私を止めようとしたが、ゲームの決め台詞である「私を誰だとお思い? スカーレット・デヴォンシャーですわよ!」の一言で黙らせた。


 悪役令嬢の決め台詞は便利ですわね! 断罪されるまでの期間限定ですけれど!




 これまで、父が偏愛するため、何となく私が屋敷の女主人のように振る舞っていたが、女主人の役割は義母に任せ、私自身は離れの建設に邁進した。ゲーム開始までの私の役割は散財して、金遣いの荒い令嬢として名を轟かせるのだから、この世界の理にも合っているし、断罪後の『森の一軒家でカフェを開いて、もふもふと一緒にスローライフ』の肩慣らしにもなりそうだと考えた。


 勧められるままに散財することはあっても、将来のことを考えながら何かをするのは初めてで、離れを建てるのは楽しかった。夢中になって、少し前向きになってきたところで、領地から血相を変えた父が帰って来た。私が離れに住む必要はないことを滾々と説き始めた父に、堪えていたものが爆発して、生まれて初めての親子喧嘩をした。


「言わせていただきますが、お父様はいつまでもお母様の後ろ姿を追ってばかり! いい加減にこの家の当主としての役割も果たしてくださいませ。今のままでは、お義母様が公爵夫人、ヨハンがこの家の跡取りとしてまともな経験が積めませんわ」

「だ、だからといって、お前が本邸から出て行かなくてもいいだろう……。そうだ。彼女とヨハンのことを思うなら、スカーレットが本邸にいて教えてもいいじゃないか」

「……無理ですわ」

「何故だ?」


 私は言葉を詰まらせるが、父はこちらの気持ちなどさっぱり分かってくれなくて、どうしても言わざるを得なかった。


「だって、私、嫉妬してしまいますもの! お義母様とヨハンが羨ましい! 私だって、傍にいてくれる優しい家族が欲しいのです!」

「スカーレット……」


 視線を感じ、振り返ると、義母とヨハンが驚いた顔で私達を見ていた。ああ、散々気取って、冷たく当たっていたのに、こんな姿を見られて、みっともない……。




 その後、離れが完成し、二年ほど離れで過ごした後、私は風邪をひいてしまった。回復したものの、父と義母とヨハンから、私が嫌な思いをしないよう約束するから、本邸に戻ってくるよう言われた。私の状況を心配したのだろう……。


 とはいえ、義母もヨハンもこれまでのことを飲み込む決意をしてくれて、父も改心し、これから何とか前を向こうとしている。そう考えると、私だけ意地を張り続けるのも気が引け、離れには休日だけ行くことにして、私は本邸に戻った。本邸では、父だけでなく、義母とヨハンも温かく迎えてくれた。






 再び、離れの応接間がノックされ、入室を許可すると、メイドのアンナが入って来た。アンナはヨハンを見るなり、『シスコンが過ぎる……』と目だけで考えていることを露わにしながら聞いた。


「ヨハン様、またスカーレット様のお部屋にいらっしゃっているのですか?」

「家族だからね」


 ヨハンはさも当然のように答えたけれど、今のヨハンと私の関係が普通の姉弟よりは密であることは、私も自覚していた。


 本邸で再び暮らすようになってから、全てを水に流すと決めたらしい義母とヨハンは、私に対して、温かく接してくれた。嫉妬を抑え込んでみると、私とは違い、義母もヨハンも控えめで芯が強い性格であることに気が付いた。そして、そんな優しい二人のことを、私はどうしようもなく好きになってしまった。


 更にその後、私の実母の実家の侯爵家が、父でもヨハンでもなく、私をデヴォンシャー公爵家の傀儡の跡取りにして、デヴォンシャー公爵家を意のままにしようとしていることに気が付き、家族で一致団結して対抗したりしているうちに、デヴォンシャー公爵家の結束は強くなった。


 学園に通い出した私は、学園寮もあるのに、父、義母、ヨハンに「いないと寂しいから」と求められ、断り切れず、家から通学している。当然、記憶にある乙女ゲームのイベントは進まない……。




「まあ、スカーレット様が輿入れされるまでの時間を惜しまれる気持ちは分かりますけど……」


 呆れを滲ませた声でアンナが言うのに、ヨハンがムッとした声で言葉を返した。


「別に姉様は王家に輿入れなんてしなくていいんだよ。姉様だって、ハッキリとは言わないけれど、あの王子に嫁ぐのは気乗りしないんでしょう?」

「ヨハン、不敬ですわよ!!」


 とんでもないことを言い出したヨハンに、悲鳴交じりで言った。前世の記憶を思い出して以降、ルーカス王子に嫁ぐとは思っていないが、向こうからの婚約破棄とこちらからの婚約破棄では、デヴォンシャー公爵家への影響が天と地ほど違う。


 しばらく頭を抱えた後、顔を上げると、アンナがここにいるのがおかしいことに、ハッと気が付いた。


「というか、アンナ、何故、今、ここにいるの? 私の学園生活に、毎日、付き添ってくれているのだから、今日は休暇のはずでしょう」

「休暇など不要です。私は、スカーレット様の下僕ですので」

「もう許しません。止めなさい!」

「いいえ、止めません。スカーレット様が仰ったことでございます」


 アンナに言われ、再び、頭を抱えた。これも、数年前、記憶を取り戻した直後の私のやらかしが原因だった。




 もうすぐ十歳になるという頃だった。私は、ある日、家庭教師から授業を受けていると、メイドのアンナが必死な様子でこちらの様子を窺っていることに気が付いた。注意して見るようになると、アンナは、その後も、私が授業を受ける度、理由をつけ、私の部屋に来ては、耳をそばだてているようだった。


 気になって、デヴォンシャー公爵家の雇用記録を調べたところ、十五歳のアンナは、元々お金持ちの商会の娘だったが、親の事業失敗により、没落して、公爵家に働きに来ていた。


 これは学問に興味があるに違いないと思った私は、ある日、「下僕になることを条件に、学校に行かせてあげてもいい」とアンナに切り出し、アンナは悩んだ末に、私の提案を受け入れた。


 金に糸目を付けず雇っている、私専属の一流の家庭教師を融通したことも奏功したのか、驚くことに、アンナはめでたくこの国一番の名門であり、乙女ゲームの舞台ともなる王立学園に入学し、更に、首席卒業まで果たしたのだった。




 微笑みながら、アンナは過去を振り返った。


「裕福な商会の跡継ぎどころか王侯貴族の子弟が通う王立学園へ、受験することすら躊躇していた私に、スカーレット様が仰った力強い言葉、今も思い出します。『アンナ、これから誰の下僕になると思っているの? 私を誰だとお思い? スカーレット・デヴォンシャーですわよ!』」


 アンナの言葉に、さらに深く頭を抱えた。アンナが言うことは、まさにその通りだった。私は、悪役令嬢であることを受け入れた後、しばらく、自分を鼓舞するために、ゲームでの悪役令嬢スカーレットの決め台詞を連発しながら、散財していた……。


 アンナは思い出を噛み締めるよう、万感の思いを込めて続けた。


「だから何だろうかと、スカーレット様が何を言っているか意味は分からなかったですが」


 意味は分からなかったんだ……。


「スカーレット様の勢いに背中を押されました」


 名前でも身分でも高貴さでもなく、勢いなんだ……。


「でも、結局、学園生活では、ワガママ公爵令嬢のコネだって、色眼鏡で見られたのを知っていますわよ」

「……あれは、悔しかったです。絶対に実力だと認めさせると誓ったものでした」

「その結果、首席卒業をキメるってとんでもないですわね……」


 フフッと満ち足りた笑顔で私を見て、アンナは言った。


「そんなわけで、私は生涯、スカーレット様の下僕です」

「だから、やめなさいと――」


 そこで、ベルが鳴る音がして、アンナは私に背を向け、ドアの方に向かった。


「お客様のようですね。応対してまいります」




 休日にも関わらず、当然のように来客の応対をするアンナの後ろ姿を見ながら思う。


 信じてもらえるだろうか。本気でアンナを下僕にするつもりはなかった。国一番の名門校の受験に躊躇していたアンナに、悪役令嬢スカーレットっぽいセリフで後押ししてみただけ。


 アンナが平民でありながら、この国一番の名門校を首席卒業をしたことは、周囲に衝撃を与えた。アンナは王宮、学園の研究部門などからスカウトを受けた。『これは、公爵家でメイドとして働くのを止めると言われても仕方ない』『元気でね、アンナ!』と覚悟したにも拘わらず、アンナは私の下僕だと言って譲らず、今も私の世話を焼いている。


 完全に誤算だ。軽い気持ちで進学を勧めたつもりだったのに、相手が義理堅かった……。国一番の学校を首席卒業した才媛を下僕にしているとか、悪役令嬢の面目躍如というのかもしれないけれど……。






「画家のピエール様がお越しです」


 アンナがノックと共に、私の部屋のドアを開け、アンナに案内された画家のピエールも私の部屋にやって来た。ピエールは、二十歳半ばの押しも押されもせぬ新進気鋭の画家である。


「やっほー、スカーレット様。新作、見てくれた?」


 ピエールに軽く言われ、離れの応接室にある、事前に送られてきていた絵に目を遣った。


「よく分からないけれど、綺麗な絵でしたわ。色は美しく、前衛的。そして、高く売れそう……」


 雑な私の感想だったが、ピエールが胸を張った。


 しかし、若手人気画家であるピエールの絵は「数億でも買いたい」という人が少なからずいる。部屋にあるだけで、正直、怖い。


 溜め息交じりにこちらからもピエールに聞いた。私からも聞きたいことがあった。


「で、どうなさるおつもり?」

「何が?」

「絵を誰に売るかですわ」


 徐に、机の上にピエールに絵を描いてほしいという依頼の手紙を並べた。


 でも、ピエールはそれに一瞥もせず答えた。


「いつも通り、どの依頼を受けるか、適当にスカーレット様が見繕ってよ。僕、スカーレット様の専属だもの」


 私はまたも頭を抱えた。確かに、私は、ピエールのパトロンになっている。しかし――


「もう売れたんだから、独立なさい!」

「ヤダ」


 単刀直入に切り出しても聞く耳を持たないピエールに、ますます頭を抱える。ピエールはあっけらかんと言った。


「僕は画家だよ。誰の依頼を受けるとかそんなのに煩わされないで、『デヴォンシャー公爵家のご令嬢スカーレット様の言う通りにしています!』という建前で、のびのびと自由に描きたい」




 新たな画風を確立したピエールは、この国で一番注目されている画家と言って過言ではなく、ピエールの絵画は、大枚をはたいても買いたいという人が山ほどいる。十分に独立する力がある。ピエールにとっても、学園卒業後の二年後に断罪される悪役令嬢についていたっていいことなんてないし。


 どう言えば説得できるのか頭を悩ませている私を、おかしそうにピエールが見た。


「スカーレット様ってば、僕に『貴方が描きたいのは、本当にこんな絵なんですの?』『私に絵を売りたいなら、貴方の好きなものを描いて持って来なさい!』『私を誰だとお思い? スカーレット・デヴォンシャーですわよ!』と命令してきた時の勢いはどうしたの?」


 その言葉に、羞恥に包まれ、頬に熱が籠ると共に、再び、記憶を取り戻した直後の悪役令嬢になりきっていた頃を思い出した。


 ある日、散財令嬢として名を轟かせていた私に、ピエールがもみ手をしながら、肖像画を売りに来た。試しに、目の前でピエールにラフ画を描かせた。見ると、私は美しく描かれていたけれど、それは表面的だけで、内面の空虚さを目の当たりにした気がして、頭に来た。肖像画を売りに来たのだから、売り手を美しく描くのは当たり前なのに、随分と好き勝手を言った。


 ピエールはクスクス笑いながら、おかしそうに過去を振り返った。


「面白かったな。最初は『何を言っているんだ、こいつ』って思った」


 アンナだけじゃなく、ピエールも『何を言っているんだ、こいつ』って、思ったんだ……。


「でも、スカーレット様があまりにも力強く『好きに描け』って言うから、好き勝手に描いてみたら、『いいじゃない!』と大絶賛」


 決意する決め手になったのは力強さなんだ……。




 とはいえ、ピエールが自由に描いた絵を初めて見た時の衝撃は、今でも覚えている。


 写実的な美しさはありながらも、依頼主の意に沿うように描かれる肖像画が主流である中、ピエールが私に持ってきたのは、薄い水色の背景に何色もの明るい絵の具を重ねた光のきらめきのような絵だった。


 何を描いたものなのかは分からなかった。でも、明るさと希望を感じさせ、美しさだけで全てをねじ伏せるような強烈なインパクトがあった。




 初めてピエールの絵を見た時の感動を思い出し、うっかりジンとしていると、ピエールは、私の方を向き、パッと笑った。朗らかな表情に軽い雰囲気なのに、その眼はぎらついていた。


「スカーレット様は、誰も認めてくれなかった僕の絵を綺麗って言ってくれたし、良心的な価格で買ってくれるし、王宮まで持ち込んで名前も売ってくれるし、お人好しで僕を騙そうとすることもないし。絵を描くなら、スカーレット様以上のパトロンなんていない」


 ピエールのキッパリとした宣言に、今日も説得できないことを悟る。絶対に良質のパトロンを逃がさないという画家としての執念を感じる。


 こちらが何も言えなくなったのを見て、にんまりとピエールが言った。


「そんなわけで、この絵の売り先と、次に受ける依頼の検討、よろしくね。スカーレット様のさじ加減でいいからさ」

「次に受ける依頼の検討まで……? することが増えているではありませんか!」

「はは。あと、最近取った弟子もいい絵を描くんだよ。次、連れてくるからよろしく。面倒みてやって」

「だから、サラッと更に仕事を増やすものではありませんことよ!!」


 私の悲鳴も虚しく、言いたいことを好きに言って、軽やかに去って行くピエールの後ろ姿を見ながら思う。




 これも完全に誤算だ。売り込みに来た画家に、好きに絵を描かせてみたら、相手が才気溢れていて、更に神経が図太かった。まさかこんなことになるとは……。


 今、私が建てた離れはピエールの絵画置き場となっている。ピエールの絵画に価値が出て、ピエールの画廊に置くのでは、盗難の心配があるからだ。公爵家の警護なら間違いないが、ますます私のお抱え感が増している。


 アンナが貴族や事業家の関係を分析し、父が助言をしてくれているから、辛うじて何とかなっているものの、国一番の新進気鋭の画家の仕事のマネージメントなんて、私には荷が重い。更に、ピエールはその弟子の世話まで私に任せる気なのかと考えると、緊張で胃が痛くなる思いだ。






 胃を押さえていると、再びベルが鳴って、アンナがドアを開け、私に言った。


「スカーレット様、ご学友のシャーロット様とクランベル様がお越しです」


 ドアの方向を見ると、執事に連れられた私の友人二人がいた。一人は、社交界の花と呼ばれる、華やかな雰囲気のシャーロットで、もう一人は、騎士を目指す男装の麗人であり、凛とした気配を漂わせたクランベルである。それぞれ美しい二人を見て思う。


 ――スカーレットの取り巻きの個性、こんなに強かったっけ?




 淡いピンク色のドレスをまとったシャーロットが私に駆け寄り、嬉しそうに私に抱きついた。


「スカーレット様、御機嫌よう! お会いしたかったですわ!」

「ええと、昨日、学園で、一緒に授業を受けたばかりですわよね……?」


 私を抱き締めるシャーロットの腕は華奢で、朝露を乗せたバラのような香りがふわりと漂った。同性でも、ドキドキしてしまう可愛らしさだ。


 キラキラした琥珀色の瞳で、私を覗き込みながら、シャーロットが言った。


「全然、足りませんわ。学園に入学すれば、寮に入って、ずーっとスカーレット様と一緒にいられると思いましたのに……。スカーレット様ったら、お屋敷から通われるというのですもの。あの、シスコンめ……」


 うっかりその可愛らしさにボーッとしてしまっていると、異母弟のヨハンの声が響いた。そういえば、部屋にはヨハンがいた。


「誰のことかな」

「あら、ごめんなさい。ヨハン様ったら、また、スカーレット様のところにいらっしゃっているの?」


 何故か一触即発の雰囲気となったシャーロットとヨハンにヒヤヒヤしていると、紺色に金色の刺繍が入ったジャケットとズボンを着たクランベルが、私の手をさっと取り、口付けた。


「ご機嫌麗しゅう、スカーレット様」


 クランベルを見ると、黒い瞳の切れ長の目は凛々しく、まっすぐな黒い髪は後ろで束ねられ、キリリと伸ばした背のどこをとってもイケメンそのものだった。やはり同性であっても、ドキドキしてしまう。


 クランベルと私のやり取りを見たシャーロットは、ヨハンにくるりと背を向け、私の元にやって来て、上目遣いで悪戯に笑った。


「うふふ。ちょっと取り乱してしまいましたわ。今日は、ルーカス殿下は外交先から帰国する日で、すぐにここには来られない。更に、クランベル様の兄君のフェルディナンド様と私の友人のカールに、ルーカス殿下の王宮への足止めを頼んだので。ルーカス殿下にスカーレット様を取られることなく、スカーレット様とずっと一緒に過ごせますわ」


 シャーロットの言葉に耳を疑った。更に、ルーカス様というと、私の婚約者の王子だけど、ここに来るのを止めているの……?


 なお、クランベルの兄のフェルディナンドは、王立学園卒業後、騎士として働いていて、次期騎士団長とも噂される。カールは私たちの代の王立学園の首席入学を果たした秀才で、宰相を目指しているとか。そして、共にゲームの攻略対象だ。


 信じられず、クランベルを見たが、微笑み、頷いた。どうやら真実らしい。シャーロットは、いつも人前で見せる、可憐ではありつつも気品ある姿ではなく、少し頬を赤らめ、恋する乙女の表情で言った。


「そんなわけで、今日は幼い頃のようにたっぷりお喋りしましょう。スカーレット様は私の王子様ですから」


 そして、シャーロットは過去をうっとり振り返るように目を閉じた。


「今でも思い出しますわ。『お姫様のような貴女が、簡単に泣くものではありませんわ』と声を掛けられ、戸惑う私に『信じられませんの? 私を誰だとお思い? スカーレット・デヴォンシャーですわよ!』と颯爽と仰ったスカーレット様のこと……」


 今度はシャーロットの口から出てきたスカーレットの決め台詞に、羞恥に顔を覆う。それと共に、シャーロットと出会った時のことを思い出した。




 この世界がゲームの世界で、私が悪役令嬢であることに気が付いて間もない頃、コーディアル伯爵家の令嬢達にお茶会に呼ばれた。それはいつものことであったが、この世界でやがて私が断罪される未来が待っていると思うと、私より年上の令嬢達が私におべっかを使うのをはじめ、周囲の全てが気持ち悪くなり、吐き気を催した。


 憚りにと一人で退席すると、伯爵家の中庭に向かうと、木の下の片隅で小さくなっている同じ歳くらいの少女を見つけた。それがシャーロットだった。


 私と一緒で気分でも悪くなったのかと思って、声を掛けた。ビクリと震えたシャーロットを覗き込むと、掌の中に傷付いた小鳥がいた。


 シャーロットと傷付いた小鳥と共に、お茶会の場所まで戻ると、伯爵家の令嬢達が妹であるはずのシャーロットを嘲笑った。どうやら、姉妹らしいが仲が良くない、というか伯爵家の姉達はシャーロットを嫌っているらしい。


 鳥を守ろうと一生懸命になる少女に、姉達は小馬鹿にするように笑った。その様子に、埒が明かないと思って、公爵家で小鳥を手当てすることを決め、小鳥を抱いた少女を公爵家の馬車に乗せ、公爵家に向かった。


 馬車の中で、必死で泣くのを耐えるみたいに、シャーロットは鼻を小さくすすった。シャーロットを間近で見ると、俯きがちで、泣きそうな表情をしていたから、気付かなかったが、シャーロットは、キラキラした瞳の可愛らしい顔立ちの少女であることに気が付いた。


 そんなシャーロットに、少しでも安心してほしくて、確かに、シャーロットの記憶にある通りの言葉を言った。




 その後、金を使って、探偵に調べさせたところ、四姉妹の末子だったシャーロットは、父や姉達とは異なる繊細な美しさで、自分の子か疑う父とその美貌を妬む姉達に虐げられていた。


 それを知り、私は、シャーロットを勉強会、お泊り会という名目で公爵家の離れに呼びつけるようになった。取り巻きにしたと言っていい。


 楽しかったけれど、私の断罪後、シャーロットは悪役令嬢の取り巻きとして冷遇されてしまうだろう。なので、せめてもの罪滅ぼしに、私が失脚してもどうにか生きていけるよう、一緒に一生懸命、勉強した。


 その結果、私の心配も何のその。私と一緒にしっかりとした教育を受けたシャーロットは、深い教養と気品、何より、どん底から這い上がった逞しさを身に付けた。歴史、外国語、マナー、刺繍など、多くの教師のお気に入りとなり、一目置かれた。更に、今では、社交界で見事な立ち回りを見せ、裏では、社交界の若き生き字引と呼ばれている……。




 私達の様子を見ていた、クランベルがクスッと笑って言った。


「シャーロットの気持ちは分かる。私も何度も思い出す。『私も剣を学んでみたいわ。仲間に入れてくださる?』と声を掛けられ、戸惑う私に『あら、いけませんの? 私を誰だとお思い? スカーレット・デヴォンシャーですわよ!』と不敵に仰ったスカーレット様のこと……」


 今度はクランベルの口から出てきたスカーレットの決め台詞に、再び羞恥に顔を覆う。それと共に、クランベルと出会った時のことを思い出した。




 この世界の筋書きを理解した後も、私は断罪を受け入れ、貴族社会から追放されることまでは覚悟したが、決して今後の人生を諦めたわけではなかった。


 新たに目標として定めた『森の一軒家でカフェを開いて、もふもふと一緒にスローライフ』を送るとしても、年若い女性一人では、きっと防犯上の危険がある。どうすればいいかと考えていたある日、代々、優秀な騎士を輩出する武家の名門に、女性であっても剣を練習しているクランベルという名の令嬢がいる噂を聞き、接触してみることにした。


 クランベルが通うという剣術教室に乗り込み、傍で見たクランベルの剣捌きは鮮やかだった。何より、剣に向き合う真摯な姿勢が美しかった。


 だというのに、女性ながら騎士を目指すクランベルを馬鹿にする人間が多かった。腹が立って、金にあかせて、女性向きの剣術指南所を作った。その頃、悪役令嬢としては散財不足でしたしね!


 シャーロットが剣術用品をファッションに取り入れる流行を作り出し、女性の剣術へのハードルを低くし、アンナが王立学園に通うエリートを誘ってくれ、更に指南所に試しに足を運んだ女性の多くがクランベルの魅力に惹かれて、立ち上げは上々。なお、これら全て、私も金だけは出した。


 更に、これまで他に女性が体を動かす場がなかったが、実際に剣術を始めた女性達が、体を動かすことの健康や痩身への効果に気付き、評判は瞬く間に広がった。


 そんなわけで、理由はそれぞれだが、今では数多くの女性が剣術指南所に通っている。




「女性であっても、騎士を輩出する家に生まれ、剣への憧れを持ち、剣を手に取る私を、変わり者だと周囲は嘲った。

 そんな中、スカーレット様は、興味を持って、一緒に剣を手に取ってくださった。公爵令嬢であるスカーレット様が剣を取られたことで、周囲は何も言えなくなった」


 クランベルは美しい思い出のように言うが、みるみる腕を上げたクランベルに対し、私は才能がなかったのが明らかになっただけ。数年、クランベルと共に剣の腕を磨いてみた後、クランベルや同世代の騎士志望の少年達と比較し、自分の剣への限界を感じた。これ以上頑張っても、辺境の地で一人暮らしするだけの防犯力は身につかないという結論に達し、私は剣を止めてしまった。


「今も腕を磨いているクランベルと違い、私はもう剣を折ってしまっていましてよ……」

「それでいいのです。スカーレット様は公爵令嬢で、未来の王妃という尊き御身」


 ヨハンとシャーロットが口を挟んだ。


「姉様は、これからも、公爵家を盛り立てたっていいんだよ。僕と共に」

「王妃とならずとも、この国の女性の光となる道はありますわ。私と共に」


 二人に苦笑してから、クランベルは私を見た。


「いずれにしても、スカーレット様のことは、私がお守りします。スカーレット様は私の主ですから」




 私は近い将来断罪予定だが、私のことを主人扱いするクランベルが心を痛めないか、胸を押さえる。


 こちらの内心も知らず、シャーロットとクランベルはうっとりと会話を続ける。


「また、あのスカーレット様のお言葉聞きたいですわ」

「シャーロット、あれは、自信を失っている人間を鼓舞するための言葉。もう、我々に掛けてもらえるものではない」


 ち、違う……。あれは、身分を笠に着た傲慢を示す悪役令嬢の言葉……。


「確かに仰る通りですわね、クランベル様。スカーレット様に、次にあの言葉を掛けていただけるのは誰なのか。羨ましいですわ……」


 次はヒロインをいじめて、高らかに決め台詞を言う予定だ。でも、ゲームでのスカーレットの決め台詞が、私にとって、ゲーム開始前に黒歴史になってしまっている。ヒロインの前で、恥ずかしがらずに言えるだろうか……。






 途方に暮れていると、執事が自室をノックした。


「ブルックリン商会の若旦那がお越しです」

「あら、そう。入ってもらって」


 私がそう言うと、焦げ茶の巻き毛に、緑の瞳の垂れ目で、何処か気だるげな男性が入って来た。この色っぽい男性が、新進気鋭のブルックリン商会の若旦那である。若旦那とは、剣術指南所を作る際に知り合い、その後、辺境の地で、一人で生きていくだけの剣の腕は持てそうにないと断念し、断罪後の市井の暮らしや長閑で治安のいい地方を学ぼうと色々聞いているうちに、仲を深めた。


「やあ、久し振り。スカーレット様、学園生活はどう?」

「まあまあですわ」

「そっか。頑張ってね~。ところで、敵対的買収を仕掛けられちゃった鉱山があってさあ」

「不穏な気配しかない話の切り出し方ですわね……!」


 話の続きをビクビクしながら待つと、若旦那があっけらかんと話した。


「いやあ、ガードナー伯爵領の燃料石の鉱山の権利の一部が相続のドサクサでヴィシラ商会の手に渡ったみたいで。うちのブルックリン商会を流通から除外しようとしているんですよね。ヴィシラ商会って独占した商品の値段の吊り上げ方はえぐいし、人の使い方は評判も悪いでしょう? デヴォンシャー公爵領でも、ガードナー伯爵領から燃料石を買っていましたよね。これから冬が来るのにマズいのではないかなと思いまして」

「……教えてくれて、ありがとう」


 平民の生活について調べたから、私はもう知っている。これから冬が来るのに、暖を取るのに掛かる費用は人々の生活に大きく関わる。


「公爵家で案件の精査をするわ。ヨハンは私を手伝って。アンナはヴィシラ商会とガードナー伯爵家の財務状況の取りまとめをよろしく。シャーロットとクランベルはヴィシラ商会がガードナー伯爵領の燃料石を独占したら他に困りそうな貴族家や、ヴィシラ商会の弱点になりそうな噂話があったら教えてくれると嬉しいわ」


 私の言葉を聞いて、若旦那がホッとしたような表情になった後、笑って続けた。


「うん。よろしく。許容できそうな案件なら、公爵家から資金援助をお願いしたい。それで、当面の鉱山の独立運営に、十億レリゼほど欲しいんだけど。スカーレット様、なんとかお金作ってくんない?」

「無茶言うわね! そんなにすぐに金になるものなんて……」


 勢いよく言ったところ、ふと何かを思い出し、私も皆も、この部屋の一点を見た。そこにはピエールの絵がある。シャーロットがポツリと言った。


「ミナス夫人なら、ピエール様のこの絵を、政治的な意図なく、十億程度でも買い取ってくださるでしょうね」

「……シャーロット、ミナス夫人に当たってみてくださる?」






 そして、夜になった。今日できる調査を終え、父への相談の手紙を書いているところで、義母と共に、ヨハンが現れた。


「姉様、お疲れ様」


 手紙を書く手を止めて、義母とヨハンに向き直った。


「ヨハンも今日はお疲れ様。手伝ってくれて、ありがとう」

「ううん、勉強になったよ」


 義母が温かいスープと彩り豊かなサンドウィッチを出しながら、言った。


「差し入れを持って来たわ」

「ありがとうございます」


 むずがゆい気持ちで、義母に渡された差し入れを受け取った。食欲をそそる匂いに、義母の温かさを感じる。


「今日は騒がしい休日にしてしまったわね」

「仕方ないよ。でも、姉様ともっとゆっくり過ごしたかったな。明日は殿下が来る予定か……」


 ヨハンから最後に舌打ちが聞こえたような……。気のせいだよね……?


「姉様?」


 怪訝に思っていると、ヨハンが甘やかな優しい笑みを浮かべ、こちらを見たのに、先ほどのことは聞き間違いだろうと思い直す。そんなことするはずがない。ヨハンは可愛い弟だ。


 そういえば、ゲームでは、スカーレットに怨みを持ったヨハンは、スカーレットに似た年上の女性を相手に、とっかえひっかえ男女交際をしていた。ヨハンが私の前でそんな姿を見せたことはないが、どうなっているのか探りを入れるつもりで聞いた。


「ええと、ヨハンには、婚約者はまだいないけれど、どういう女性がいいとか考えていることはあるの?」


 ヨハンは驚いたように目を瞬かせ、考え込んだ後、答えた。


「そうだね。僕も、いつか恋人ができるなら、姉様みたいに豪快にお金を使える人がいいな」


 ヒエッと変な声が出そうになった。ヨハンは女性を傷付けるような男性には育たず、私も仲良くできているのではないかと思っていたが、やはり、ゲーム通り、付き合う相手にはスカーレットに似た女性を望むくらいには、拗らせているようだ。




 ヨハンの内心は量るべくもないが、ゲーム通りなら、ヨハンは、拝金主義のスカーレットとは全く異なり、清貧を生きるヒロインに心惹かれていき、そこで気持ちも昇華されるはずだから……。それまで何とか頑張って……。


 ヨハンに背を向け、父への手紙に再び向き合うことにした。


「で、では、父への手紙の続きを書くわ」


 私がそう言うと、ヨハンと義母が部屋を出ながら、優しく声を掛けてくれた。


「分かった」

「あまり遅くならないようにしてね」






 夜遅くになって、手紙を書き終えた。皆で考えたが、やはりガードナー伯爵領の燃料石の独占は公益に反すると考え、ヴィシラ商会による独占に介入を依頼する内容になっている。


 書き終えた手紙をしげしげと眺める。この手紙を送り、父が私の依頼を認めれば、過去最大の私から父へのおねだり額となるだろう。




 ゲーム通り、父のお金を使っている。取り巻きもできた。ヨハンもスカーレットにただならぬ感情を抱いているようだ。


 でも、何かが違うような――


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― 新着の感想 ―
[一言] 良かろうが悪かろうが気前よくお金使ってくれる人はいい人だ!!特に庶民にとってはね。 シンパたくさんいる主人公の最大の難関は婚約者ではなかろうか。こんな有能な部下と凄い画家と目端の利く商会持っ…
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