絶望(1)
20◯◯年3月、1年間の浪人期間を経て迎えた2度目の大学受験
、、、全落ちした
そこそこの自称進学校を卒業していた僕に就職や専門学校といった選択肢はなく、2浪という現実が待ち受けていた。夢見たキャンパスライフは手に入れられなかったのだ。友達は多いわけではないが、仲の良い友達が両手の指の数に収まる人数いた。みな、ずっと応援してくれていたが、その期待に応えられなかったのだ。もちろん友達は、小学校からの友達で高校は別で高卒で就職した1人を除き他は大学生だった。2浪、、、
医学部志望や東大京大志望なら割といるだろう。
だが、僕はそこそこの国立大志望の理系だった。
2浪はほとんどいないだろう。自分の不甲斐なさに腹が立って自分のことが大嫌いだった。
1浪目は宅浪で1年間過ごしていたが、2浪目は予備校に行こうとした。家庭環境は劣悪だった。母親は専業主婦、父親は営業マンで両親は別居していた。兄弟はおらず、僕は母と2人で暮らしていた。しかし、母親との暮らしはとてもしんどいものだった。基本、部屋に閉じ込められていて、トイレやお風呂などの水回りは自由には使えず、母親の許可がないと使えなかった。そのため、トイレは2日に1回ほど、お風呂は1週間に1回ほどしか入れなかった。外には簡単には出れず、母親は重度の潔癖症だったため、掃除ばかりしていた。そんな暮らしが億劫だった僕は一刻も早くひとり暮らしをしたかったが、受験に失敗し、家を出るのは1年後となってしまった。
"こんな生活をもう1年するのは死ぬのではないか?"
毎日が不安で苦しい日々であった。
4月、2浪目が始まり本格的に勉強を始めた。今まで理系だったが、数学理科がとても苦手だったため文転することにした。そして、予備校は決まらなかった。家の近くの塾に行こうと考えていたが、優柔不断な僕と急かすだけの父では何も決まらず時間だけが過ぎていった。
5月、毎日毎日苦しかった僕はもう生きる希望をなくしていた。
"自殺"
この2文字はずっと頭の片隅にあったが、実際に計画を立てたのは初めてだった。受験から社会から逃げ、夢を捨てる悲しさと死んで楽になれる嬉しさで頭の中で葛藤が始まっていた。
結論が出るのは早かった。逃げよう。
計画はこうだった。深夜、母親が寝静まった時間に包丁と少しのお金を持って家を出る。そして、死ぬ直前は贅沢がしたいと考えた僕はコンビニでメロンソーダとアイスクリームを買って近くの川の土手で食べてから死のうと。包丁で一思いに。
川を眺めるのは昔から好きだった。穏やかに綺麗な水が流れる様子は見てて心が落ち着く。その日あった嫌なこともふっ飛ぶほど好きな場所であった。自殺を考えた時思い浮かんだ場所はやはり川だった。
◇◆◇◆
5月から計画を練っていつ行くか考え続けていたが
実際に動いたのは8月になってからだった。
8月10日午前3時
黒いリュックにキッチンから奪ってきた包丁と一万円札を1枚入れて静かに家を出た。
鍵を閉めていたら音でバレるので、鍵は閉めずに家を出た。そして、家から徒歩3分のコンビニでメロンソーダ2本とアイスクリームを買った。品物をレジに持って行き、店員さんと目が合った。
この時、僕の運命は変わった。
どうも、作者のりっちーです。
最近ひどく暑い日が続いていますが、みなさんお身体に気をつけてお過ごしください。
いや、暑中お見舞いか!!!
はい、皆さん少しは冷えたんじゃないでしょうか?
オリンピックと僕の作品を見て楽しい夏にしてください。
この作品はフィクションです。これから毎週水曜日に週刊連載していこうと考えています。