8 メイドさん大好き
異世界に来てもう十年は過ぎている、ケインさんのお陰でこの世界に来てから大過なく生きて来られた、神力のお陰も大いにあるが今でも神力の極一部だが知っているのは王様一人だけだ、俺は転生して来た時驚いたのは感覚では中年のおじさんだったのに、姿は二十歳そこそこの若者だった事に驚いたが、そう言う訳でこの世界での自分の正確な歳は分からないが三十としておこう、受付嬢始め仕事の上で知り合った女性はいるが、恐らく前世も同じだっただろうと思える特別な女性と言う人はいない、この世界の人間としては若く見られがちだが、そろそろ愛だとか恋だとか言う歳としては限界に来ているが、今だそう言う縁には恵まれていないが、一年ほど前から気になる女性が現れた、大商会に発展したケイン商会が大陸全土に支店を設ける程の巨大商会に発展してしまっては、流石にケインさん夫婦と俺の三人だけで暮らしていた家と言う訳には行かなくなった、来客も多く何かと不都合が生じるようになり、やむなく屋敷を建て移り住む事になったのだが
「この際、俺も居候ではなく別に家を建てて」
「其れはダメだ、ハヤトと一緒に暮らすから俺はこれまでになれたんだ、離れられたら運が無くなってろくな事にはならない、屋敷内にお前専用の家を建てるからそこに住んでくれ」
という事になり、俺一人にはとてもそぐわない屋敷をあてがわれてしまった、止む無くそこに住むようになったのだが、一人で住むにはあまりに大きすぎる家だった
「俺一人には大きすぎるよ」
すると
「分かってる、メイド二名と執事と料理人に雑用係二名が働くよう手配してある、心配するな」
逆らう事も許されずケインさんの言う通りするしかなかった、そしてケインさんにその人達を紹介されたのだが、メイドとして紹介された二人の内若いメイドさんの美しさに、おおきなショックを受けてしまったのだ、こんな綺麗な人がこの世に居たのかと思うほど美しい人だった、それぞれ紹介されたがその時はその人が気になって何も覚えていなかった、只そんな俺を見てケインさんニヤリとしたのは何故だろう、照れくさくて平静を保つのに苦労したが、それがどういう意味なのか気になったが気持ちはそれどころではなかった、こんなキレな人と一つ屋根の下で暮らす事になるのかと思うと、胸のドキドキが収まらなかった、そのひから俺は
「若旦那様」
と使用人の人達から呼ばれるようになった、ケインさんの仕組んだ事に違いないから逆らう事はしなかったが、一人暮らしに慣れていたので使用人などはいらない邪魔だなどと思っていたが、これはこれで良い事だと思うようになった、美しいメイドはイリアさん二十歳を過ぎたくらいか、そして大分年上のメイドがマリアさんと言うが、俺の身の回りはイリアさんが専門で見てくれたが、マリアさんが何時も一緒に面倒を見てくれたが、何だか俺よりイリアさんに気を使っているよう出不思議に思ったが、イリアさんがまだ新人で教育係なのだろうとその頃はそう思っていた、イリアさんが俺の世話をしてくれるのだが、それをマリアさんがいつも見守っていたので、俺とイリアさんが二人だけになる事は無かったのだが、三か月ほどが過ぎるとイリアさんが慣れて安心したのか、イリアさんと二人だけになる事が多くなった、イリアさんは最初の頃は何だか弱弱しくて世話をしてもらうのに気が引ける気がしたが、今は大分元気になったようで安心した、イリアさんが傍に来ると何とも良い臭い漂う、案となく仕草が平民と違うような気がしたが、それはプロのメイドだからだと思っていた、言葉遣いも仕草も今迄俺の周りにはいなかった独特な雰囲気を感じて居た
近頃は依頼やケインさんの手伝いで外出しても、家に帰るのが楽しみになっているイリアさんの顔が早く見たいと思うのだ、俺はイリアさんにメロメロになってしまっている、イリアさんは俺の事をどう思っているのか凄く気になっているがそれを聞く勇気はない、最近では世話をしてもらいながら嫌われないように気を使い妙な疲れを感じて居る
「俺は何を考えているんだ、あんな美人が俺の恋人に、無理無理、下手な事をして辞められないようにしなければ、結婚してもやめないでほしい、いや、結婚したら俺の世話などしてくれなくなるのだ」
等と俺はおかしくなってしまっている、俺が新居に移って一年ほど過ぎた頃ケインさんが突然
「ハヤト、イリアさんをどう思う」
「どう思うって、素敵な人だと思うよ、あんな人が良く俺のメイドなんかにと思っている」
「口説いて見たか」
「冗談でしょう、俺なんかが口説いたら辞められてしまうよ、そんな事はしない」
「何だ、そう言う方面はダメな奴だな、口説けよ口説いて嫁にすれば良いじゃないか」
「無理無理、そんな事をしたらメイドを辞めてしまうよ、そんな事になったら俺は」
「俺は、なんだ」
「・・・・・・・・・・」
「このままでは何れ彼女はいなくなるぞ、他の男と結婚してな」
「それは・・・そうなればしかたないけど」
「本当にしかたないですむか」
「其れは、正直言って相当ショックだと思うけど」
「全く、意気地がねえな、見ていられねえよ、まったく、出て来て下さい」
すると隣の部屋からイリアさんが現れた
「世話の焼ける奴だ、イリアさんはお前を見て一緒に暮らしてみてとっくにOKだったんだぞ、お前は何時まで経ってももたもたしていて」
俺は茫然としていて言葉もなかった
「それで、お前はイリアさんの事が好きか、それとも嫌いか」
「好きです、大好きです」
おもわず声高に行ってしまった
「情けねえ、此処迄しなきゃ言えねえのかよ」
「私もお慕い申しております」
「はっ、えっ本当に・・・・」
俺は気絶しそうだった、驚きと嬉しさのせいだと思う
「この人が俺と・・・良いのだろうか」
俺が固まっているとケインさんが話し出した
「実はな、王家御用達になって何度か王様と話をしたんだ、謁見の間じゃなくて執務室でだったがな、商人がそんな所に入れてもらう事は無いと聞いていたのに何度もだ、どうしてか分らなかったが俺だけ特別らしかった、その時俺の友人とか同居人とか遠回しにお前の事を聞いてくるので、王様はお前と知り合いなのではないのかと思い、思い切って聞いて見たんだ、最初は困ったように誤魔化していたがやがて認めたんだ、知り合った経緯は本人の許しが無い限り言えないと言われたが認めてな、何とかもっと近い存在になりたいと言うんだ、お前さえ気に入ってくれたら娘のつまりイリアさんを嫁にと、其処迄お前が気に入られている事を知って俺は嬉しかったが、肝心のイリアさんの気持ちが問題だった」
「父上からお話があり、貴方がどんな人か知りたくて私はこの街に参りました、そして遠くからですがあなたのお姿を見させてもらたのです、とっても素敵に思いましたので父上にお願いしたのです」
「という事はイリアさんは王女様」
「そうだ、此のアイロスク王国の第一王女だ」
「そんな、恐れ多い」
「そんな事はありません、父上は何故か貴方の事を神の使いだと固く信じているのです」
「俺はそんんんじゃないんだけど」
「父はそう信じて疑いません」
「王様がそう思うなら何を言っても無駄だ、だからイリアさんと結婚してしまえ、お前は派手な結婚式など望まない事は分かっているから、王女様は体が弱く今まで結婚にしなかったのだが、隣国にでも長期療養に行かせた事にすれば、世間は誤魔化せるからと言う王様の考えだ」
「そこまでして」
「そこまでしてお前と縁を繋ぎたいそうだ」
「其れではおれにだけ都合良過ぎる、イリアさんが可哀想だ、王女と言う位を捨てるようなものじゃないか」
「いえ、王女などと堅苦しい生き方より今の生活の方がずっと楽しいです、私を娶っていただけるならこんな嬉しい事がございません」
「本当に良いの、俺はこれ以上ないくらい嬉しいけど」
「決まりだな、なるべく早く王様に挨拶に行ってこい、二人が夫婦になっても何も問題が起きないように王様が全て手を打ってある」
「俺は王様とケインさんにまんまと嵌められたって事嬉しい事この上ないけど」
「ハハハハ、そうなるな、兎に角そう言う事だ、まったく世話の焼ける奴だ」
何時の間にか使用人全員が揃っていて
「王女様、良かったですね、おめでとうございます」
そう言って祝っていた、知らなかったのは俺だけだったようだ使用人は全員イリアさんの付き人や護衛だったのだ