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  4 銭湯奮戦記

ケインさんがいれば建設費はかかからないので、浴室と脱衣所を囲む土壁の建物を造って貰った、浴室にはもちろん洗い場を造り、湯と水は俺の知る知識とケインさんの作れる範囲と思ったが、ケインさんはもの凄く器用に大きいめだが前世の蛇口に近い物を作る事が出来た、そうして少人数で入る事が出来る風呂が出来上がった、後は風呂がこの世界の人にどの程度気に入られるかだ

「衛兵連中を連れて来て入ってもらい、感想を聞いて見る」

「私は知り合いの女性達に試しに来ておらおう」

エレンさんにも勿論俺の構想を話した

「夫婦で仕事ができるなんて凄く良いと思う、貴方頑張ろうね」

「おう、そうだな」

ケインさんもすっかりその気になって来た

それから夫婦の知り合いを呼んで体験してもらったが、感想を聞く限り商売になると思われた

「規模を大きくして始めは無料で試してみれば良いじゃない」

「そうだな、俺が手間さえかければ鐘はかからないから良いな、もっと大勢に試して貰えば確実だからな」

大きな公衆浴場を造るのに三日とかからなかった、土魔法恐るべきだ

「番台は此処にこうして」

俺の知識を伝え開業した、最初試験に作った風呂は家族風呂として貸す事になっている、これを機にケインさんの家にも風呂場を造ったので、俺は毎晩風呂に入れる事になった

評判は評判を呼んで試験入浴は大盛況

「衛兵をやってる場合じゃなくなった」

ケインさんは商業ギルドに登録し考案特許のような事には俺の名が登録された、商業ギルドは特許のような事を各国から任せられていて、銭湯は俺の特許という事になり登録されたのだ、商業ギルドのギルド長の言うには

「この世界になかったものはすべて対象となる、これから他国で銭湯と言うものを作るときも貴方の承認が必要になる、勿論使用料として金も払わなくてはならない」

と言う事になるのだ、その他浴槽や蛇口諸々も登録された、製造はケインさんだからケインさんにと言ったのだが

「俺はそんな知識は無い、お前の考えたものだ」

という事で名目上はケインさんが作った物を、俺が買い取り販売という事になっているが、ケインさんが作った製品は商業ギルドに運び、その後の販売などは手数料を取って全て商標ギルドがやってくれる事になった、俺は利用料と認可料を受け取るだけと言う、俺にとっては飛んでもなくお得な事になってしまった

「これじゃあ、俺だけ得しているような事になってしまって」

「お前だけだと、そんな事は無いぞ、俺は土魔法を生かせるようになり金も稼ぐ事が出来る、浴場の利用者は体を綺麗にして気持ちよくなる、それに体を綺麗にしていると病気になりにくくなるそうじゃないか」

「ええ、清潔にしていれば病にはかかり難くなるでしょうね」

「銭湯で関わる人すべてに良い事がある、そんな事今まで聞いた事もない、普通新しい事を始めると誰かが無く事になるのだが、お前は天才だ」

俺が考えたわけでもなく前世の知識をまるまる利用しただけののだが、それを考えるとなんだか気が引けるが、幸せに成る人が増えるのだから良い事かもしれない、銭湯は大盛況で今では健康になったエレンさんも大忙し、店員を雇い掃除の要員を雇い店の運営を切り盛りするのに一生懸命だ

「ハヤトのお陰で忙しくなったけど、ありがとうね、お礼にまた裸見せてあげるからね」

「止めてよ、もうたくさん」

「ハハハは、ハヤトを揶揄うと面白いな、でも見たくなったら言ってね、ケインも隼人なら良いって言ってるから」

「もう二度と見たくありません」

「あら、私の裸はそんなに醜いのかしら」

「そう言う事じゃなくて、もういいです」

俺はあの一軒以来エレンさんと二人だけになるのが苦手になっている、顔を見るとあの時の裸を思い出してしまい、まともに顔を見る事が出来ない所に、それを面白がって今の様な会話になる、いい加減にしてほしい、生まれて以来女性と付き合った記憶の無い俺にはきついのだ、決して嫌いではないがきつい


衛兵は止めて銭湯の仕事に従事するようになりケインさんは忙しかった、銭湯の運営はエレンさんに任せ、蛇口や送水管の製造にかかりきりだったが、噂が噂を呼んで街の各所のも銭湯が出来始めた、ケインさんの家の裏側の土地の権利は銭湯を本格営業する前に、所有者のいない土地は全てケインさん名義で登録が終わっている、タダで広大な土地がケインさんのものになってしまう事になったのだが、街は硫黄の臭いなどで苦情が来て困っていた土地なので、喜んで登録してくれたそうだ、今後大きな温泉街に発展するだろう、その時になって街はどう思うかは知った事ではない

「俺のように土魔法を使えるが使い道が無くて、馬鹿にされ日の目を見れない奴が大勢いる筈だ、そう言う連中を集める事にする」

応募をすると何十人も応募して来たらしい

「弱った、銭湯の道具作りにはもういらないんだが、追い返す訳にもいかないし」

「大勢いるの」

「まだ何十人も来たいらしいが」

「じゃあ、蛇口や管だけじゃなく銭湯の建物から浴槽まで造る商会を立ち上げれば、銭湯ばかりじゃなく風呂付の住宅も作るようにすれば、何百人人いても困らないと思うけど」

「何百人はいないが、それは良い考えだな、経験はあるしな」

困っていたケインさんの顔が変わった

「お前は天才だな、天才と言うより俺にとっては福の神だ、早速商業ギルドに行ってくる」

ケインさんはすぐに商業ギルドに行ってしまった、ギルドで募集をして貰っていたから


その後ケインさんの商会は土木建設業に転じて大躍進を遂げ、土魔法使いばかりではなく錬金術師迄抱え、活躍場所は大陸全土に及ぶ大商会に発展していった、俺はお陰で働かなくても莫大な富を得る事になり、働かなくても暮らせるようになってしまったが、ぼちぼちと依頼は受けて冒険者を続けていた

その日は休みにしてケインさんの商会に遊びに来ていたのだが

「遠くに行く事は構わないが長旅で尻が痛くなるのには泣けるよ」

ケインさんがそんな泣き言を言った、俺は馬車に長距離乗った事が無いので分からないが

「馬車の揺れの事なの」

「そうなんだよ、石や窪みで弾むたびに尻を打って敵わんのだ」

ケインさんは大商会の商会長になっても現場での仕事をしている

「俺は商会長でございますなんて、椅子に座っている事なんて性に会わん」

そう言って現場に行く事を辞めない

「此処には錬金術師もいるよね、居るぞ土魔法だけでは間に合わない部品もあるからな金属の加工が良い例だ」

「ちょっとその人と会わせてくれる」

「何だ、また良い知恵が浮かんだか、そういう時のお前は顔を見ればわかる、iいま連れて来るからめっていてくれ」

そう言ってすぐに錬金術師と言う人を連れて来た、まだ十代と思われる若い人だったが

「ルインて言うんだが、こいつは錬金術の腕が良過ぎてな、何処に行っても先に居た連中から疎まれて其の悪口が変な噂になってしまってな、可愛そうに錬金術の世界じゃ雇ってくれるところが無いそうなんだ、ケツの穴の小さい奴ばかりの職人の世界っていやだよな、自分寄り腕の立つ者は排除する等と、その業界の進歩を止めているという事に気が付かないのかな、そのくらいだから腕はたしかだ」

「そうなんですか、じゃあ、これからはそう言う奴らを見返してやりましょう」

「貴方がハヤトさんですか、会長自慢の」

「さぁ、何が自慢かは分からないけど、ハヤトですよろしくね」

「こちらこそよろしくお願いします」

「じゃあ、これから俺の言うようなものを造れるかどうか、教えて欲しい」

前世の知識でのコイルスプリングの事を説明した、それだけではかえってバウンドが大きくなってしまうのでアブソーバーに関しても説明した、すると

「ちょっと待っていてもらえますか」

そういって部屋を出て行ったと思ったら黒っぽい塊を重そうに抱えて戻って来た、そして俺の前に座ったが持って居たのは鉄のインゴットだった、黙ってインゴットから鉄を少し摘み取り器用に線状に加工して行った、まるで鉄が粘土のように自在に変化している、線状になったものをコイル状にすると上から押し潰すようにして見せ

「こういう事ですよね」

「そう、そう言う事だけどそのコイルが反発して、元に戻るくらいに固く出来るかな」

するとコイルに触り暫くすると押してみて戻る事を確認して

「どうですか」

そう言ってニッコリした

「凄いねそれで良いんだ、それを乗る部分と車輪の間につけて」

「変な方向に揺れないように弾み過ぎないように、これを取り付けるんですね」

さすが才を妬まれるだけあってもう地靴を理解していた、もう完成したも同じだった

「ではさっそく会長の馬車に取り付けてみます」

「そうしてやってください」

俺は商会を後にして家に戻った、そして僅か数日後

「ハヤト、凄いぞ、凄い、あれは素晴らしい、早速ギルドに登録した、あれを取り付けた馬車を作って売る事にした、王様の馬車より俺の馬車の方が乗り心地がずっと良いと思う、凄過ぎる」

ケインさんが興奮していた

「馬車の工場を造るんですか」

「工場って何だ」

「大きな建物に大勢で入って作業する場所だけど」

「その話詳しく教えてくれ」

級に真剣な顔になりそう言った、職人一人に一つの工房を幾つも造って作らせるつもりだったようだが、工場と言うものの説明をすると

「それは良い考えだな、道具も都合しあえるしな、腕のいい職人から技術を教えて貰えるし、若いのの育成にもなる」

「その技術だけど」

「まだ何か考えがあるのか、お前の頭の中はどうなって居る」

前世の常識がこの世界では大発見のようになってしまう


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