46
「あの…」
「ん?なに?」
FとEランクの依頼を一つ除いて全て達成して報酬を貰ったので帰ろうとしたら受付嬢の一人に声をかけられた。
「一つだけ…残ってますけど…」
「あー、うん…そだね。だからなに?」
「う、受けないんですか?」
「なんで?」
「あ、いえ…すみません…」
わざわざカウンターのところから出てきて残った最後の依頼書を差し出して来るので俺が理由を聞くと…何故か謝ってカウンターの奥へと引っ込む。
「あの、すみません」
「今度はなに?」
特に気にせず帰ろうとドアを開けると今度は別の受付嬢が声をかけてくる。
「お手を煩わせてしまい誠に申し訳ございません。せめてこの依頼『だけ』を受けない理由をお聞かせいただけますでしょうか?」
「そりゃ内容も分からない上に無駄に高額な報酬って絶対ワケありだし、危なくて受けられるワケないじゃん」
「ああ、なるほど!」
丁寧な言葉遣いで聞いてくる受付嬢に俺が理由を話すと納得したように手を叩いた。
「では依頼内容をお話しいたしますね!」
受付嬢はそこまでして依頼を受けて欲しいのか…ワケありっぽそうなやつの内容を話し始める。
…内容を要約すると『貴族がパーティーを開くのに人手が足りない』っていうやっぱり日雇いのバイトを雇えよ案件。
危険は全く無いからFランクだ、と言われたのでしょうがなく受けて待ち合わせ場所へと向かった。
「…君が依頼を受けてくれたのか?」
「そうそう。一応ギルドから派遣された感じ」
待ち合わせ場所の酒場にいたのはフード付きのマントと仮面で顔を隠した…いかにも怪しい感じの奴。
「…一人か?」
「内容を聞く限り俺一人で十分だから」
「そうか。ではさっそくだが場所を移動しよう…時間が無い。ギリギリだ」
男は腕時計を見ると直ぐに立ち上がって俺を案内するように先に酒場から出て行く。
「…彼が?」
「そうだ」
「分かりました。御苦労様です」
どっかの豪邸の中に入ると燕尾服を着た執事っぽい人が出迎えてくれ、ここからはどうやら人が変わるようだ。
「依頼内容は確認しましたね?給仕の人手が足りません。あなたには各テーブルへの配膳ではなく、厨房からホールへの料理の運搬をしてもらいます」
本当は最低でも3人ぐらいは必要なのですが…と執事っぽいおじさんは仕事内容を説明した後にため息を吐いて呟いた。




