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唯一の愛じゃなきゃお断り! 〜異世界召喚された私、聖女となって幸せになります〜  作者: 香月深亜
第二章 王都

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35. リアムさんの誓い

────聖女お披露目会で魔の森の瘴気を全て浄化するなんていう無茶な約束をさせられてから、二年近くの月日が経過した。


 この二年、魔の森には何度も足を運んだ。

 その度に魔獣をたくさん討伐して、瘴気も浄化した。

 後半はもうこなし作業のようになり、魔獣討伐も瘴気浄化もかなり短時間で終わらせられたのも良かったと思う。


 そうして魔の森に通い続けた結果、ようやく瘴気が発生しなくなり、全てを浄化するに至った。


 まあ瘴気はまたいつ出てこないとも限らないけれど。一旦現時点では全て消せたということで、王様に報告することになったのだ。


 約束した当初は先が見えない条件だったが、なんとか二年で達成できて本当に良かった。

 この世界に召喚された当時は二十七歳だった私も、二年の経過で三十歳を目前にした二十九歳になってしまった。異世界に来たとはいえ、若干結婚に焦る年頃である。

 そのため、この年齢でリアムさんとの結婚話が進められるのはありがたい。



 王宮に戻った私たちは、私とリアムさんでの謁見を王様に申し出て、瘴気浄化完了の報告と合わせて結婚の話をしに来ていた。


「陛下。魔の森の瘴気を全て浄化できました。つきましては、二年前に交わした約束通り、私に聖女様と結婚する権利をいただけますか?」


 スッと真剣な眼差しで王様に真っ直ぐ確認するリアムさんは、カッコよかった。

 それに、二年経っても変わらず、私との結婚を考えてくれている彼の心は純粋に嬉しくもある。


「……まさか本当に、やってのけるとはな」

「聖女様のお力が素晴らしいおかげです」

「ふっ。そうなると益々惜しいではないか」


 瘴気を全て消せたという喜ばしい状況なのに、王様は若干悔しそうだ。

 そして久々に、「惜しい」と言い出されると嫌な予感。


「聖女よ。やはり私の妃に、」

「お断りします」


 私に向かって求婚しようとしてきた王様の言葉を遮って、私は食い気味にズバッとお断りした。

 王様の言葉を遮るのは不敬にあたるらしいけど、このやり取りはもはや鉄板過ぎてついつい即座に断ってしまった。


「ぐ、ぐぬ……」

「この二年でまた何人かお妃様が増えたと聞いていますよ? お子様も順調に生まれているとか。王家が安泰そうで何よりです」


 私は誰かの何番目かにはなりたくない。


 二年経っても変わらない私の考えを改めて、王様へお祝いの言葉を投げているように見せつつ伝えてみた。

 跡継ぎも生まれ安泰な王家に、もう妃はいらないだろうという牽制でもある。

 まあ、私の意図がこの王様に伝わるかどうかは不明だけれど。


 すると、私に言い返せなかった王様は、論点をリアムさんの適正にすり替えてきた。


「だが本当に良いのか? シュナイツ隊長はその歳まで独身の半人前だ。そいつの妻になれば、これから社交界に出るとき後ろ指を指されることになるぞ? それに、王妃になるなら贅沢な生活を保証できるが、たかだか討伐部隊隊長の妻ではそこそこの生活しか送れないぞ? 王妃と隊長の妻ではそなたが得る地位も生活も雲泥の差だろう」


 隣で、リアムさんが拳をぎゅっと握ったのが分かった。王様の言っていることは、彼も気にしているところなのだと思う。


 でも私は、そんなことは全く気にならないから大丈夫。


 そっと彼の大きな手に自分の手を沿わせながら、私は王様に言い返す。


「結婚が遅れて独身の身なのは私もなので、お互い様です。それに私、高い地位も贅沢な生活も望んでいませんから。私はただ、リアムさんと二人で一緒にいられればそれだけで幸せなんです」


 そう言って、私は視線をリアムさんに向けて笑顔を見せた。


「澪……」

「念のため言っておきますけど、本心ですからね? 私はあなたを……」


「だがどうせ今だけだぞ!?」


 リアムさんといい感じの雰囲気になっていたのに、空気の読めない王様はまた水を差してきた。


「この国では妻が三人いてようやく一人前の男になれるのだ! たとえ、今は独身でよく見えていても、この後そいつにも妻は増えるはずだし、そうなれば聖女が嫌がっている誰かの何番目ということになるぞ! それでもシュナイツ隊長が良いと言うのか!?」

「!!」


 ……それは……そう、だけど。


 リアムさんに私以外の結婚相手が現れることを、考えなかった訳ではない。

 以前までは元婚約者のあの子のせいで皆がリアムさんを避けていたけれど、あの後レヴィさんが、彼女が皆にかけていた禁忌魔法を解いたところ、リアムさんの悪評は嘘のように消えて、彼にも少なからず結婚の申し出があったとナディアさんが言っていた。


 でも今までは討伐で忙しいということを理由にどの申し出も断っているらしいとも聞いた。しかしそれは、実際討伐が落ち着いて私と結婚した後ならば、他にも誰かを妻に迎える可能性は十分にあるということになる。

 この国では、男の人は三人以上妻を迎えないと一人前になれないなんて残念な価値観があるから、余計にその可能性は高いと思う。


 ……もしリアムさんが、他にも奥さんが欲しいと言ったら私は……。


 王様から痛いところを突かれて私が黙ってしまうと、リアムさんは掌をくるりと反転させて、私が先ほど沿わせていた手を、指を絡ませながら握ってきてくれた。



「大丈夫ですよ。私が心に決めたのはあなた一人だけですから」

「え……?」



「私は、他に妻は娶らず生涯あなた一人を愛し抜くと誓います」


 ……!?



 彼は真っ直ぐ、優しい目でこちらを見下ろしていた。そんな眼差しで言ってくれたその言葉は、一瞬、何を言われたのか理解が追いつかなかった。その言葉の重みを理解できたときには、恥ずかしくなって一気に顔が熱くなった。

次回最終話!

本日19時過ぎに更新予定です。

最後までよろしくお願いします(*^^*)

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