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唯一の愛じゃなきゃお断り! 〜異世界召喚された私、聖女となって幸せになります〜  作者: 香月深亜
第二章 王都

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20. 魔力が……ない?

「ちょ、ちょっと待ってください。魔力って……魔力がないと魔法は使えないですよね?」

「はい」

「その魔力が、私にはないんですか?」

「はい。先ほどの魔法は『メジャー』と言って、相手の魔力を測定する魔法なのですが、聖女様の魔力はゼロという結果でした」


 レヴィさんの測定結果が信じられず、本当なのかと確認する。

 慌てる私とは裏腹にレヴィさんは淡々と語ってくれているが、さすがにゼロは有り得ない。


「でも私、何度か『ヒール』は使えましたよ? 魔力がないなんてそんなまさか……」


 それについては討伐部隊の皆が証言してくれるはずだ。特に隊長さんなら、二回も治癒された者として、私が魔法を使ったことを力強く断言してくれると思う。


「ああ、ご安心ください。聖女様が魔法を使えたことは聞き及んでおります。また、一度の『ヒール』でたくさんの方を治癒したというのも。ですから、その話が嘘だとは思っていません。しかし今、聖女様に魔力がないと分かったこともまた事実。……となると」

「となると?」

「まず第一に、聖女様が特定の条件下でしか魔法を使えないということの説明がつきます。魔力がないのですから、いつでも使えるわけがありません。そして第二に、魔力ゼロの方が魔法を使うとするなら、そのときの魔力は外部のものを使った可能性が高いですね」

「外部のもの?」


 内側にないのなら外にあるものを使った。

 その理論は分かるけれど、外にある魔力とは一体どういうことだろう?


「まあつまり、他人の魔力を使ったということですね」


 首を傾げていた私にレヴィさんは簡単な言葉で言い換えてくれた。しかしそれはなんというか。人のものを我が物顔で使っていただなんて、最低ではないか。


「私……そんなつもりは……」

「あ、すみません。そのようなお顔をさせるつもりはなくてですね。……一応仮説として聞いてほしいのですが、聖女様が本当に他人の魔力を使ったとしても、ただ使っただけではたくさんの方の治癒はできていないはずです。もしかしたら聖女様には、他人の魔力を増幅するような力もあるのかもしれません」

「え……」


 ……他人の魔力を、増幅?


 レヴィさんの仮説はいまいちピンと来なかった。

 しかしそんな私を置いてけぼりにして、彼はどんどん話を進めていく。


「まずはどういった状況で魔法が発動したか詳しく知りたいですね。やはり彼を呼んでおいて正解でした」

「え?」


 ……呼んでおいて、とは一体誰を?


 私が考える間もなく、部屋にコンコンとノック音が響いた。


「良いところに来ましたね。すみませんがその方を入れてあげてください」


 扉付近に立っていたハンナさんがレヴィさんの言葉を受けて扉を開けると、部屋に入ってきたのはこれまた予想外の人物だった。


「……た、隊長さん!?」


 私は驚いて、咄嗟に立ち上がる。

 だが、隊長さんを呼んだ張本人であるレヴィさんは冷静なまま、美しい所作で立って隊長さんを迎え入れた。


「お忙しいところ来ていただきありがとうございます。シュナイツ隊長」

「いえ。こちらこそ呼んでいただきありがとうございます。聖女様の魔法については私も気になっていたので問題ありません」


 彼らは簡単に挨拶を交わした。空気と会話から察するに、隊長さんも突然レヴィさんに呼ばれてここに来てくれたようだ。


「そう言っていただけると助かります。ではシュナイツ隊長は……」

「私は聖女様の後ろで立っていますのでお気遣いなく」

「そうですか?」


 きょろきょろ、とレヴィさんは隊長さんが座る場所を見繕おうとしていたが、隊長さんはすかさず席は不要だと遠慮して、私の座るソファの後ろへやって来た。


「また会えましたね、聖女様」

「は、はい……」


 隊長さんの笑顔が眩しい。

 眩しすぎて直視できない。


 次はいつ会えるかと寂しく思いながら別れたのが昨日。昨日の今日で会えるとは思ってもみなかったが、これは嬉しい誤算である。


「それでは役者が揃ったことですし、話を聞かせていただきましょうか」


 私が隊長さんを直視できずにいると、そんなことは気にも留めないレヴィさんが本題に入った。


「シュナイツ隊長。先ほど聖女様の魔力を測定したところ、結果はゼロでした。そのため、聖女様が発動した魔法の魔力は、他の者の魔力だったのではないかと考えています。隊長と聖女様で、当時の状況を思い出せる限り詳しく教えていただけますか?」

「ゼロ……?」


 魔力がゼロという結果には、やはり隊長さんも驚いた表情をしている。魔法を使った私自身も驚いたのだから、実際に『ヒール』を受けた隊長さんも同じ気持ちなのだろう。

 それでも聞かれたからには、レヴィさんに当時のことを事細かに話すしかない。


「一回目……と言うとやっぱり、馬車の中の『ライト』ですかね?」

「はい。私もそう思います」


 私は頭の中で記憶を遡り、隊長さんにも確認しながら、順を追ってレヴィさんに話していく。


 一回目は馬車の中での『ライト』。

 二回目はテントの中で隊長さんの背中の怪我を治癒した『ヒール』。

 三回目は魔獣がたくさん出現した中で隊長さんの毒だけでなく多くの怪我人を治癒した『ヒール』。


「あ、あと瘴気も消しました。クロスボウで瘴気の核と見られる光を討ったんです。あれも何かの魔法だったのでしょうか?」


 ちらっと隊長さんと目を合わせるも、それは隊長さんも分からないようだ。

 しかしその答えは、するりとレヴィさんの口から出てきた。


「瘴気を抹消させるのは聖女様の力。恐らく魔法とは異なるものでしょう。通常、魔法なら『ヒール』のように何かしらの言葉を唱える必要があるはずですが、ただクロスボウを撃っただけなら、そこに魔法は介入していなかったと思いますので」

「ならあれは一体……」

「とある本では、聖女様の力を『浄化』と呼んでいました」

「浄化?」


 これは隊長さんも初耳のようだ。

 二人して首を傾げる。

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