竜の神様、離ればなれ。
誕生日は控えめに言って最高だった。空の旅も、なんて事ない言葉も嬉しくて‥、昼にお肉を多めに出したら、オミさんの目がキラキラするので、またストライクが入った。
どんだけ好きにさせれば気が済むのだろう、この神様。
夜はバーベキューにする事になった。だって冷蔵庫を開けたら美味しそうなお肉が入ってるし‥。オミさん、見つけちゃったし。夕方になった途端に、コンロを出して火を点け出すし‥。
じわじわと絶妙な火加減で焼かれているお肉をじっと見つつ、
ちょっとため息を吐く。
「明日からまたバイトかぁ〜」
「お前、そんなバイトして体大丈夫なのか?」
「‥いや、葉月さんのバイトはそんなハードじゃないですから」
「その割には帰ってくると、クタクタしてんだろ」
まぁ、多少は‥。
でもその他にレポートとか、課題もやっておかないといけないんだよなぁ。テストもすぐあるし。嗚呼、現実はなかなか手厳しいぜ。
「オミさんも明日からまた修行ですか?」
「おー、蛇神が楽しみだってメールしてきた」
「‥蛇神様、本当にすごい」
一体どんな修行してるのかな?
見学とかしてみたいなぁ。
そう思って、オミさんに聞いてみたら「あぶねーからダメだ」と言われた‥。え、そんなオミさんが危ないって言う修行大丈夫なのか???
「おら、肉焼けたぞ」
「あ、ありがとうございます‥」
「「うむ!!わしも貰おうかの!!」」
お肉を受け取ろうとして、横を向くと蛇神様がニンマリ顔で立っている!え??いつの間に??!
「へ、蛇神様??いらっしゃい??」
「うむ、よきに計らえ!誕生日プレゼント持ってきたぞ!」
あ、やっぱり知ってたんですね。
私が微笑むと蛇神様はニヤッと笑う。
「‥何がよきに計らえだよ‥。勝手に来やがって‥」
ジロッとオミさんが睨むと、蛇神様の後ろからシキさんがぴょこっと出てくる。
「本日はA5ランクの牛肉をお持ちしました」
「「オミさん、今すぐ椅子を用意して差し上げて!!」」
はぁあ?!!ってオミさんは言うけど、私と一緒に椅子を用意して早速焼いて食べた牛肉に黙った。無言で咀嚼して、
「何だこれ?」
「それが高級なお味です」
「人間界すげぇな‥」
「分かって頂けて何よりです」
私がなぜかドヤ顔して蛇神様が面白そうに笑ってた。
すみません‥つい、誇らしくなって。
蛇神様もお肉を食べて「やっぱり牛肉はこれじゃの〜」って言うけど、良いもの食べてるんだなぁ‥。別荘から帰って、グラム108円の食べられるかなぁ〜。
「そうじゃ、ルディオミ!言い忘れておったがな、お前明日から違う世界に修行に行くぞ」
「「はぁああ??!!」」
「なので青葉、しばらく竜の子とは離ればなれじゃ」
え??!私は驚いて目を丸くする。
離れちゃって平気なの??!蛇神様はニヤニヤ笑いつつ、
「お前さんバイトに行ってた時と同じ原理じゃ。契約していると離れられないからな。まぁ薄い壁を隔てて側にいるようなもんじゃな。違う空間にいるだけで実質離れてはいない。ただ時間の流れは違うから竜の子は1年くらい離れる事になるがな」
1年!???
時間の流れが違うの??2週間くらいなのに?
「へ、へぇええええ??」
「お前さんには、まるとふわがいてくれる事になったから安心しろ」
「「ええええ??!言の葉の神様のお使いが二人も?!」
「だって、うっかり捕まったら死んじゃうぞ?お主」
‥っく!!!
うっかり死んじゃうとか、怖い。
私は頷いて「よろしくお願いします」そう言うと、蛇神様はニンマリ笑って私の頭を撫でる。
「命は大事にしろ、青葉」
「…はい」
「ルディオミも心配で泣いてしまうからな」
「「泣いてねぇだろうが!!!」」
すかさず突っ込むオミさん。
そうですね、泣く姿とか想像できません。
そっか‥、でも修行とはいえ長い間離ればなれになるのなんて初めてだから、ちょっと、いや大分寂しいな?ちくっと痛む胸を抑えてオミさんを見上げると、オミさんも私を見ていた。
「‥寂しくて泣くなよ」
「‥ゲームでコテンパンにできなくて、悔しくて泣きそうです」
「「お前なぁあ!!!」」
オミさんに突っ込まれて、すかさず蛇神様の後ろに隠れると「あ、ずりーぞ!!」って言われたけど、今ちょっと顔が赤いんで顔を出すのは無理ですね。
急にそんな事言われたら、照れるし、嬉しいだろうが!!
蛇神様がチラッと私を見て、ニヤニヤ笑う。
‥あの、黙っておいて頂けると‥、そう思って目配せしたらウィンクしてくれた。うん、大丈夫そうだ。




