竜の神様、誕生日プレゼント。
まさかの占いをしたら、今日が私の誕生日だった。
いや、バイトに勉強、そして夏休みを満喫しすぎてて‥。うっかり忘れちゃうんだよね〜〜。
オミさんは信じられん!って怒ってるけど、そんな怒る事ではないと思うけど‥。
今日はバイトもお休みの最終日なので、オミさんとゲーム三昧だ。
うん、これはこれで最高の誕生日かもしれない。だって好きな人と一緒にお祝いできるとか、割と憧れてたし‥。
車のレースでは圧勝だったけど、体操の試合ではボロ負けして、思わず床に倒れ込んだ。は、ハードすぎる‥。
「もっ、ちょ‥タイム〜〜!」
「なんだ、もうへばったのか?」
「お、オミさんの体力と、比べないで、下さい!!」
あ、ダメ‥。
ゼエゼエ言って、うまく話せない。
赤い顔でオミさんを見上げると、私の横でしゃがんでニヤニヤ笑って見ていたオミさんの体が一瞬、強張る。
「?オミさん?」
「なんでもねぇ!!水、持ってくる!!!!」
「声、でっか!あ、ありがとうございます?」
体を起こそうとすると、オミさんが私の手を握ったかと思うと、グイッと引っ張って体を起こしてから、キッチンへ水を取りにズンズンと歩いて行ってしまった。
‥優しいんだけど、分かりにくいオミさんの行動に小さく笑う。
ソファーに座って、今度はなんのゲームしようかなってソフトを見ていると、オミさんが水の入ったグラスを持ってきてくれたので、有り難く受け取ってお水を飲む。あ〜〜、五臓六腑に染み渡る〜〜!
「ぷはーー!美味しい!」
「‥そうかよ」
オミさんはちょっと横目でこっちを見つつ、同じように水を飲み干していた。
‥なんか、二人きりなので急に照れ臭くなってしまう。
蛇神様にでも声をかけようかな。
でも、もうちょっと二人きりでいたいしなぁ。
思わず黙ってしまった私をオミさんがチラッと見る。
「‥青葉」
「は、はい?!!」
「‥誕生祝い、やるから外に来い」
「え、ええ??」
外に??
オミさん、特に何か用意してる素ぶりなかったよね?
っていうか、そもそも知らなかったし‥。
不思議に思いつつ、別荘の外へ出ると、オミさんに「そこでちょっと待て」と玄関口で立っていると、
少し離れた場所にオミさんが歩いて行ったかと思うと、一瞬で大きな真っ赤な竜の姿に変わる。
「わ、りゅ、竜!!??」
思わず声が出て、竜の姿になったオミさんを見上げる。
鱗はキラキラとお日様に当たって輝いて綺麗だし、大きな翼や手足はどうみてもファンタジー漫画で見たものよりずっと迫力がある。
口をポカンと開けて見上げると、竜のオミさんの口がニヤリと片方上がる。
「どうだ?」
「か、格好いいです!!!本当に、竜だ〜〜!!!」
私が素直にそういうとオミさんがちょっと目を丸くする。
え、そこ驚くの???
オミさんはちょっと横を見つつ、私の足元にそっと手の平を差し出す。
「‥前、乗せてやるって言ったろ。神域なら誰にも見られねーし、乗せてやる」
つまり‥、それが誕生日祝いって事かな?
オミさんの気持ちが嬉しくて、私は頬が緩む。
「えっと、じゃあお願いします」
「おう」
オミさんの手の平にそっと足をのせると、両手で私を大事そうに持ち上げる。
一気に視界が高くなって、それだけでもワクワクする。
「オミさん、視界が高い!!すっごく周りがよく見えます!!」
私がそういうと、オミさんがまた片方の口端が上がる。
「‥もっと見える」
「え」
オミさんが言った瞬間、一気に空高く飛ぶので私は慌ててオミさんの竜の指にしがみついた。い、いきなり飛ぶんじゃない〜〜!!!!
顔を上げて文句を言おうとすると、顔に風がぶわっと当たって、下の景色がうんとよく見えた。湖に、山、遠くには海が見えて、地平線が丸く見える!!!
「もっと見えた‥」
私がボソッと呟くと、頭の上でオミさんの笑う声がよく聞こえた。




