竜の神様、ちょっとだけ。
結局あれから私もオミさんも夕方近くまで眠ってしまい、大慌てで起きた。
‥次からはアラームかけておこう。
夜は軽く済ませて、車のゲームをオミさんに指導したけど、何度も落ちるので私は笑った。これ、本当慣れるまで落ちるんだよね。
「あー、今日すごく面白かった!特にオミさんが」
「‥くそ、次は勝つ」
悔しそうなオミさんにニマニマ笑いつつ、二階に上がったけど‥
しまった!最近は私が先か、オミさんが先か、同時に一緒に寝てないのに今日に限って一緒に二階へ上がってしまった!
もう一回忘れ物したって言って、一階へ行こう。
ドアノブに手を掛けて、私はオミさんを見上げる。
「えーと、忘れ物をしたので、一階へ」
「なんだよ、取ってきてやるけど」
「え!?イヤイヤいいですよ!自分で行きますよ」
「で、何だ?」
「‥えっと、スマホ?」
「持ってたろ」
「そうだった」
ぐぅっ!!痛恨のミス!
手の中にあるスマを見つめて思わず、横を向いた。
照れるんだよ〜〜!!!一緒に同時に寝るとか‥、今までも何度かあったけどさ、恋心とか自覚しちゃったし余計にさ?
チラッとオミさんを見上げると、私を不思議そうな顔で見つめている。
うーん‥、オミさんはなんか一緒に寝るって感じだしなぁ‥。よし、寝付くまでの一瞬を耐えればいい!!頑張れ青葉、女は度胸だ!!家に帰ったら寝袋が待っているぞ!
クルッと後ろを向いて、観念してドアを開ける。
広い一部屋の中を見ると、
ベッドが二つ置いてある!!!
「「あ、あれえええ??!ベッドが増えてる??!!」」
「はぁあ!??」
オミさんも驚いて、私の後ろから確認する。
蛇神様の素敵な采配!?
何にせよ、私は小さい方のベッドに駆け寄ってころっと横になる。
「私、こっち〜!!お休みなさい!!」
「「あ、おい、なんで‥」」
「だって、2つあるんだからいいじゃないですか!オミさんは大きい方のベッドをどうぞ」
掛け布団を被ってオミさんに大きなベッドの方を指差すと、オミさんがぶすっとした顔になる。‥そんな顔をするなよ、勘違いしちゃうから。ちょっと眉を下げて笑うと、オミさんは渋々といった様子でベッドに寝転ぶ。
「‥くそ、蛇神の野郎」
「そんな事言わないー。ゲームもかき氷もお肉も用意してくれているんですからね!」
距離ができてホッとした私は、寝転びながらオミさんの顔を見て話せる。距離って大事だな‥。これは蛇神様に家の方もお願いしようかな。
「明日、何します?」
「ゲーム。まりかーする」
「いいですよ、コテンパンにしてあげましょう」
「‥体操のやつで、コテンパンにしてやるよ」
「次は負けません」
私がそう言うと、「負けず嫌いだな」って言うけどそれはオミさんでしょう。
ああいいな、こんな穏やかな時間。
ずっとこんな時間が続けばいいのにな。
そんな時間がずっと続く訳じゃない。ズキッと胸が痛くなって、私は静かに目を閉じる。
「‥明日、また遊びましょうね」
「おう」
「お休みなさい」
「‥‥おう」
もう少しだけ。
もう少しだけ、側にいさせて欲しい。そう思いつつ、好きな人が目の前にいるのにしっかりと熟睡した私のメンタル。きっと鋼だと思う。
翌朝、私はしっかりオミさんの腕の中にいて
「「いや、何でやねん!!!」」
私の朝イチのツッコミが別荘の中で響いたのは言うまでもない‥。
何のためのベッドだ!!
思い切り叫んだのに、オミさんは眠そうにしてるし‥。
腕は未だ腰に回されている。
‥オミさん、好きな人とかいないのかな。
こんな事してたら、勘違いされますよ〜〜〜?主に私が勘違いしちゃいますよ〜〜?そう思って、クルッとオミさんの方へ体を向けてみる。静かに目を閉じている顔をまじまじと見た。
‥嗚呼、悔しいけどやっぱり好きだ。
口が悪いのに、すぐ殺気を出すのに、子供のような無遠慮な所もあるのに、あの不器用な優しさに、くしゃっと笑う顔に私は本当に弱いんだ。
好きって言えたらなぁ。
声に出さずに、口をちょっと動かす。
「好き」
って、そっと伝えてから私はオミさんの鼻をつまんだ。
「ふがっ」って言って、鼻を摘まれたままのオミさんがぶすっとした顔で目を覚ますと、一瞬目を丸くして私を見る。ちょっとやり返せた気分になって、私はニヤッと笑う。
「起きないと、野菜だらけのご飯にしますよ」
今日はどうしてやろうか‥。
私だって多少はやり返すくらい、いいよね?




