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竜の神様と契約しますか?  作者: のん
竜の神様出現。
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竜の神様の小さな願い事。(オミさん視点)


青葉は変わった奴だ。


散々からかっている俺は兄貴が来た時に、契約をさっさと解除させられるんだろうな‥そう思ってたのに、



契約を続行してはダメか?



兄貴にそう聞いた青葉に俺は驚いた。

同時に自分を頼ってくれている事が、ものすごく嬉しかった。



腕っ節は強くても、荒らして、壊して、叩き潰すのが俺だ。

だから今回もきっと怖がられて、嫌がられて、すぐに契約なんて解除するだろうと思ったのに‥。



「ドーナツ3個な」

「自腹で買って下さい」



っていつものように答える青葉が嬉しかった。

雨の中、傘に入って歩く青葉の肩が濡れないように傘を傾けると、「オミさんも濡れちゃう!」って話す青葉に頬が緩んだ。



自分が悪食に襲われて怪我しても、自分の事より人を心配して、怪我がないと知って安心する。俺は何度も自分は神だって言ってるのに心配をする。


あと危機感がない!!

前もないなって思ったけど、本当にない!

スカートが切れた足を平気で見てるし、着物の着付けをする際に帯を結ぶ為とはいえ、体をくっ付けるし、まぁ‥散々ベッドで体をくっ付けるようにして寝てる俺が言えた立場じゃないけど。



危なっかしいのに、手を繋ぐと照れるし、

からかえば赤くなるし、その度に胸がぎゅっと痛む。もっとそんな顔を見たいと思うし、もっと色々な顔を見たいとも思う。




俺にしては珍しくは大事にしている青葉。なのに、はせを助けに行こうと悪食の神域に迷いなく突っ込んで、自分の命を差し出そうとする。


おかしいだろ?!


お前、人間のくせに、弱いくせに、なんでそう自分の命をサッサと人の為にやろうとするんだ??!怒りと、焦りと、寂しさに襲われた。



勝手に死のうとするな。

勝手に消えようとするな。



神域に無理矢理入って、体がバラバラになりそうな痛みに耐えつつ咄嗟に青葉の口を塞いだ。



間に合った時の安心感と、またホロリと涙を零した青葉の横顔を見て、ものすごく心配した。頼むから泣くな。本当に心臓に悪いから。



サッサといつもの日常に戻ろうと思ったのに、結婚すれば力が狙われる事がなくなる事実に呆然とした。



誰かと結婚する青葉を見守るしかない俺。

青葉に気持ちを伝えても、同じ気持ちでなかったら?契約中、一緒にいる青葉が辛いだろう。また兄貴が来たらきっと次こそ契約を解除される‥。



気付いてしまった胸の痛みの正体に、ぐっと奥歯を噛む。



言えないし、

見守るのも嫌だ。

でも離れてしまうのも、もっと嫌だ。



色んな感情でごちゃごちゃしていた自分は、悪食の狐の神を倒した夜‥、倒れるように眠ったけど、青葉の小さくお礼を言う言葉だけは確かに聞いて、少しでも自分の力を強くしようと誓った。



蛇神の修行はそれはキツイし、その間、シキとバイトをしている青葉を思うとそれだけでイライラするけれど。一度守れるように力を得たいと思ったからにはキツイ修行もなんとかできた。



あと帰ってきて、すぐ俺の名前を呼ぶ青葉が嬉しかった。我ながら単純だと思ったけど。そんな些細な事でこんなに嬉しくなるのかと自分で驚いた。



別荘に、まさかファルファラ様が来た時にはもっと驚いた。

‥ずっと小さい頃から世話になってて、少なからず好意を持っていたのに‥兄貴と婚約の話を聞いた時には荒れ狂うような気持ちだったのに‥。結婚の報告なんて聞いたら、もっとショックを受けると思ってたのに‥存外傷ついてなくて、ああやっと自分の心に決着がつけられたんだなって思った。



そしてそれが青葉の存在のおかげだと気付いた。



普通にファルファラ様と話せる自分にホッとしていたのに、青葉の元気がないように見えて心配で、そっとキッチンへ覗きに行く。



もしかして、前夜に首筋にキスをしたのがバレたか?!と思ってヒヤッとしたけれど、青葉はいつも通り笑ったので安心した。けど、ちょっと後ろを見ると顔が曇っているので、アクアパッツァ?余裕で言えるけど、わざと間違えると可笑しそうに笑うので、何度も間違えた。



笑ってろ。

そうやって口開けて、笑っててくれ。

見合いの釣り書きも見なくていい。

誰かの写真なんか見て、未来の青葉の隣に立つ誰かを想像するなんてやめてくれ。



大きな声で言いたいけれど、そんな事言える訳がなくて、

シキと仲良く話しているのを見ているだけで苦しい。



いじけたって格好悪いだけなのに、こっちを見て欲しくてみっともないことを言う俺を可笑しそうに笑いつつ、話す青葉をそっと見てた。



‥あの瞳の中にずっといられたらいいのに。

ずっと側にいられたらいいのに。



叶わない願いを胸に秘めて、静かに昼寝をする青葉の髪を撫でる。

この時だけでも、一緒にいさせて欲しいと願いつつ。




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