竜の神様、一番先にドライヤー。
明日は急遽蛇神様の別荘へ住まわせてもらう事になったけど‥、家賃勿体無い?そう思ったけど、家に帰ったらポストに手紙が入ってて、
『階段を改修するんで不便をかけるから、1ヶ月の家賃は半額で』
って、書いてあった。
えーと、これはいわゆる加護かな??すごいな神様の世界。
服や小物、勉強道具なんかをキャリーケースに詰めていると、オミさんが有無も言わさずドライヤーを持ってきた。‥お風呂に入ったらすぐ使うだろうに。
「オミさん、この後お風呂に入るでしょう?」
「今日はいい。先にしまっておけ」
「‥ドライヤーへの情熱、すごくないですか???」
私が呆れたようにオミさんを見ると、ニヤッと笑って、
「俺への感謝を忘れないようにだ」
「‥ああ、そういう??」
「もっと崇めたてろ」
「ああ、はいはい。オミさん他に持っていって欲しい物あります?」
「お前、人の話を聞けよ?」
いや〜、聞いてますけど、準備で忙しいかな?
結局オミさんは最近読んでいる雑誌を入れておけと、私の頭の上に置いてお風呂に入ってしまった。
「うん、荷物はこれくらいかな」
洗面用具もまとめて入れたし、足りない物があれば蛇神様が届けてくれるって言ってたし。ようやく荷物をまとめた所にオミさんがお風呂から出てくると、髪がしっかり乾いている‥。
‥そんな風に乾かせるなら、自分でやってくれよ。
思わずジト目でオミさんを見ると、ニヤニヤしてる。
「‥本当にオミさんはいい性格してます」
「すげー優しいって事だな?」
「優しいって意味、知ってます?」
「俺のことだろ?」
‥本当にいい性格してるよ。
いけしゃあしゃあと言い放つオミさん。まぁ、確かに不器用だし、分かりにくいけど優しいけどさ‥。なんか素直に認めると、またドヤ顔しそうだしなぁ。
お風呂に入って、出てくるとオミさんはベッドでうつらうつらしてるので、明かりを消した。今日は何やかんやで助けてくれたしなぁ。
お昼を食べつつ蛇神様がこっそり教えてくれたけど、私が走って狐の方へ走っていった後、すぐに言の葉の神様を呼んで神域に飛び込んだのはオミさんだったらしい。その神域に、本来は入れないのに無理矢理体を突っ込んでいったから、相当体の負担が大きいらしい。‥そんな素振り、全く見せなかったので私は本当に驚いた。
瞳を閉じて、すうすうと寝息の聞こえるオミさんの赤い髪を
そっと撫でる。
助けるのを躊躇った自分を反省してたぞと、蛇神様がニヤニヤしながら話していたのまで思い出す。
「‥本当にずるいんだから」
優しさが分かりにくい上に、そういう姿見せないんだもん。
サラサラと指の間を流れる赤い髪をぼんやりと見て、ベッドに頭をそっと乗せて、綺麗な寝顔をまじまじと見る。
「ありがとう、オミさん」
小さく呟いて、目を閉じる。
その途端、体がふんわりと暖かくなる。
あれ?布団もかけてないのに??そう思ったけど、ほかほかと心地いい暖かさにそのまま瞳を閉じると眠ってしまったらしい…。
ええ、スマホのアラームがローテーブルで鳴ったので目を覚ますと、オミさんの腕の中にいたので‥、そこでようやく気づきましたよ。朝陽がさんさんと射し込んで、今日も暑そうだな〜って思いましたよ。
小さくため息をついて、
「また寝てしまった‥」
そう呟いて、後ろからガッチリと抱きしめられて寝ているオミさんの腕の中で一人反省会したけどさ、毎回思うんだ?オミさんはいつの間に起きて私をベッドに寝かせているんだ???
顔だけちょっと動かしてオミさんを見上げると、アラームが鳴っているのにも関わらず気持ちよさそうに寝ている。
‥今日から修行なのに大丈夫なのかなぁ??
オミさんの腕をペチペチ叩いて、
「ほら、オミさん起きますよ〜。今日から別荘ですよ〜」
「‥ドライヤー持ったか?」
「昨日、一番に入れておいたでしょう?」
そうだった‥と、言いつつのっそり起きたオミさん。
そんなにドライヤー大事なの???
思わず笑う私に、オミさんはちょっと目を丸くして私を見た。ん?何かついてた??よだれか?!と思って、慌てて口周りを拭いたよ‥。
こんなドライヤー言ってますけど、書いてる私はいつも適当にしか髪を乾かしません。オミさんの方が女子力高いな〜って思いながらドライヤーを今日もかけない。




