竜の神様、殺意は多めに。
お祭りが終わったら、夏休み‥!!!
‥の、前に試験である!!
大量のレポートや、ノート提出してねって簡単に言う講師の先生に殺意を覚えつつ、初めての試験にドキドキの私。とにかく単位を落とさないようにしないとだし‥。
ネットからの転載は禁止って言われた課題のために、本日はオミさんと図書館に行って資料を探しに行く。
オミさんは初めての図書館に興味津々だ。
今日は姿を現して、色々な本を読んでいる。楽しそうで何よりだ。
冷房も効いてるし、静かだし、最高だな〜と思いつつ、ノートパソコンを開いてひたすらレポート作成だ。とにかく3つは今日中に仕上げたい!
オミさんはなぜか横で『世界の神様シリーズ』を読んで、ニヤニヤしてる。‥身内ネタが面白いのかな?
「あれ?青葉?」
小さく私を呼ぶ声がして、横を振り向くと長谷君と友達かな?数人で図書館に来ているようだ。長谷君だけこちらへやってくると、隣のオミさんの気配が不機嫌なものに変わる‥。殺気、殺気は収納して。
「この間のお化け屋敷の後、帰っちゃったみたいだったから心配だったんだ〜」
「あ、ああ、ごめんね。お腹が猛烈に痛くなって??」
‥と、いうことにしておいた。
なるほど、確かに記憶は消されていたようだ。
お腹が痛くて‥なんて言った私の言葉に、オミさんが面白そうに笑いを堪えているのが大変ムカつくが致し方ない。あとで脇腹をパンチしておけばいい。
「そっか、なんかあれば今度は言ってくれよ?」
「ありがとう‥。今度はそうする」
狐にまた捕まらなければ‥。
思わず遠い目になったけど、もうそんな事はないと信じたい。
長谷君はチラリとオミさんを見て、
「えっと、友達?」
「あ、ああ。えーと留学生のオミ‥」
「「ルディオミだ」」
‥自分で自己紹介できたんかい。
長谷君は、「ルディオミなんて格好いい名前だな」って笑顔で話すけど、オミさんはにこりともせず「どうも」しか言わない。お、おい、もうちょっと愛想をな??
と、オミさんが長谷君の後ろを指差す。
どうも友達が気にして、様子を見に来たらしい。
「待ってるみてーだけど、いいのか?」
「あ、ああ‥。えっと、青葉、またな」
「うん、またね〜」
私が手を振ると、長谷君も小さく笑って友達の方へ歩いていく。
相変わらず爽やかだなぁ〜と思って、再びノートパソコンに目を向けるとオミさんが私の肩を突く。
「‥なんですか?」
「帰りにかき氷食べたい」
「最近、ハマってますね〜」
「マンゴー美味かった」
「それは同意です。そうですね〜、帰りに食べましょっか」
私がそう言うと、オミさんは嬉しそうにニヤリと笑う。
本当に手がかかるけど、憎めないんだよなぁ。
試験が終わったら、どこか出かけたいなぁ。ずっとあの部屋でダラダラして、バイト三昧っていうのもなんだし。私は本を読んでいるオミさんに小声で話す。
「オミさん、試験終わったらどこか行きましょうか?」
「はぁ?」
「海とか、山とか、せっかくこっちにいるんだし観光とかしません?」
私がそう言うと、オミさんは目を丸くして「‥金、あんのか?」って聞いてくるけど‥。もちろんいける範囲だよ。
「‥ちょっとくらいお出かけしたいんですよ。それにオミさんがいれば安心だし?」
オミさんは私の言葉を聞いてニヤッと笑う。
「‥調べておく」
「じゃ、そっちお願いします。私はレポートと戦ってきます!」
「おう、頑張れよ」
私がノートパソコンに向かうと、オミさんの大きな手が私の頭にずしっと乗せられてちょっと撫でたかと思うと、旅行の雑誌を取りに行ってくると席を離れた。
‥な、なんか今のドキッとしたんだが。
ちょっとドキドキしたのを振り払うように、またパソコンを見てパチパチ打っていると、
瞬間、なんだかぞわりとするような、冷たい空気を感じる。
な、なんだ??
顔を上げて周囲を見るけど、誰もいない‥。
気のせいだったのかな?そう思って、またレポートに向かうけど‥、どこか嫌な感じがする。と、ポンと肩に手を置かれて、思わず体が跳ねる。
「青葉」
「オミさん!い、今‥」
オミさんがぐるっと周りを見る。
「っち、もう逃げたか」
逃げた‥。
それはそれで安心だ。ホッと息を吐くと、オミさんがまた私の頭に手を置く。
「‥次は殺すから、安心しろ」
「「神様、言ってる事がめちゃくちゃ不穏です」」
本当にこの神様の発言ときたら‥。思わず遠い目をした私だった。




