竜の神様、同じ色。
結局、蛇神様の持っていた自撮り棒まで使ってしっかりスマホで写真を撮って、オミさんとも写真を撮ってもらった。
加工アプリまで使いこなす蛇神様。
私よりずっと現世慣れしていると思う。
シキさんに、以前行った日本家屋の一室に通されて、縁側で私とオミさん、蛇神様でお茶を飲んで一息ついてから唐突にお化け屋敷に長谷君を置いてきてしまった事を思い出す。
「「し、しまったぁあああ!!!長谷君置いてきちゃったし、友達に何も言わずにここに来ちゃってる!!!」」
慌てて立ち上がった私にオミさんが、お茶を飲みつつ、
「適当に記憶消しておいたから、大丈夫だろ」
「えええ??ほ、本当に??」
「多分」
「多分じゃダメですってばぁああ〜〜」
でも、さっき蛇神様とスマホで写真を撮った時に、特にメールが来てなかったから大丈夫なのだろう‥。多分。
お茶を飲んで一息ついた蛇神様も頷きつつ、
「そうそう、多分大丈夫じゃろ。ああ、青葉これを」
呑気に答える蛇神様を見て、縁側に再び座ると小さな長方形の箱を渡される。
「蛇神様、これは?」
「先ほど話した護符じゃ。早うつけてみろ」
「あ、ありがとうございます!」
箱の蓋を開けると、金の細いチェーンに、小さな赤いキラキラとした石が輝いているネックレスが一つ入っている。
ネックレス???
んん???護符は???
なんか筆で達筆に何か書かれた紙とか、神社のお守りでないの??私が不思議そうな顔で蛇神様を見ると、二マリと笑って、
「あんな紙切れでは、気分も上がらないだろう?」
「‥蛇神様のそういうとこ、嫌いじゃないです‥」
小箱から、ネックレスを出して早速つけて‥みようと思うけど、
汗で手が滑ってうまく着けられない〜〜。
「あ、あれ??手が滑る‥」
「なんじゃ、おい、竜の子つけてやれ」
「あぁ??ったく、しょーがねぇなぁ」
オミさんが茶碗をそっと置いて、私の手からネックレスを取ると「後ろ向け」って言うので、着けやすいようにちょっと首を傾ける。
「‥‥動く、なよ」
「あ、は、はい」
首の前にシャラっと小さな音がして、赤い石がキラリと光る。
なんか、オミさんの髪の色みたいだな‥。
そんな風に思ったら、なんか途端に恥ずかしくなって、俯いたまま動けなくなってしまう。
オミさんの熱い指が首の根元に触れて、体が揺れてしまう。
う、うわぁあああああ!!!は、恥ずかしいんですけど!!!
ギュッと両手を握って、早く着けてくれ〜〜!!!と、祈るように念じていると、チャラッと音がして、ゆっくりオミさんの指が首筋に触れる。
「出来たぞ」
「あ、ありがとうございます…」
そう言ったけど、顔が上げられない!!
だって、多分、なんていうかよく分からない感情で頭が一杯で、顔が真っ赤だと思うんだ。オミさんは普通に隣に座って、またお茶を飲んでいる気配がするけど‥。
いかん、落ち着け私。
ネックレスをただ着けてもらっただけだ。
小さく息を吐いて、そろっと顔を上げると、
蛇神様がめっちゃニヤニヤして私を見ている。
‥とってもいいご趣味ですね??
私がジトッと蛇神様を見ると、ニンマリ笑って、「綺麗な色じゃろ?」って言うのでそこは同意しておいた。
「赤は魔除けの色だしのう。突然、神域に飛び込まん限り連れて行かれる事もこれでないだろう」
「あ、そうなんですね。確かに鳥居も赤ですもんね」
「あと竜の子の色だ」
すごくいい笑顔で、蛇神様が言うと横でお茶を飲んでいたオミさんが勢いよくお茶を噴き出した。
「「てめっ!!!何を‥!!!」」
「おんやあぁああ??わしはただ、お前の髪と同じ色だと言っただけだぞ?何か照れる理由があるのか??んん???」
‥蛇神様、絶対オミさんが照れるってわかって言ってるなぁ。
私を挟んで言い合いをしている二人を見つめてから、私は遠くの夜空を見つめた。‥いつになったら、平穏無事に暮らせる日が来るのかなぁ〜‥と、思いつつ。




