竜の神様と、お祭り。
あっという間に週末である!!早い!!!
あれからオミさんは自分で浴衣を着る!!と、宣言した通り自分で着られるように練習していた。なんという成長!
一人で着られたぞ!!と嬉しそうに教えてくれたオミさんを見て、
「オミさん、成長しましたね!」
「‥おい、バカにしてんだろ」
「してませんよ!自分でやろうっていう気持ちはとても素敵です」
私がオミさんにそう言って、ニコッと微笑むとオミさんはプイッと顔を横に向ける。
「‥これくらいできる」
「じゃあ、髪も乾かせるし、結べるし、ついでにご飯も作れますね?」
「それは無理だな」
「「いや、なんで!!??」」
そろそろ本当に自立してくれ‥。
げっそりした顔をすると、ニヤニヤ笑うオミさん。
「おら、お前も浴衣を早く着てこい。祭り始まるぞ」
「‥はいはい」
洗面所に行って、手早く着替えようと浴衣を広げる。
白地に赤と黒の金魚が泳いでいて、模様が可愛い!!って思ったんだよなぁ〜〜。赤い帯を付けてから気付いたけど、これオミさんの帯の模様と似てる。
「‥蛇神様、何気にお揃い要素入れてきたのか‥」
ちょっと照れくさいけど、まぁこれくらいならいいか。
髪飾りや下駄、バッグまで入っていて無料。
気前良すぎないか??
ついでに髪も上げて、リップだけ塗った。
「オミさん、お待たせしました〜。じゃ、行きましょうか?」
洗面所から洋服を持って出てくると、オミさんは私を見てすぐ横を向いた。
なんで???
「オミさん?可愛くてびっくりしちゃいました?」
ニヤッと笑って、浴衣の袖を持って笑ってみた。
「んなわけねぇだろ」って言うと思ったのに、オミさんはちらっと私を見つつ「別に」とか言うけど、どっちなんだ??
「‥まぁ、似合ってる、と、思う」
ボソッと話すオミさんに思わぬストライクが来た。
ひ、久々にきた!!!
「‥そ、それはどうも?」
「おう、ほら行こうぜ」
オミさんは玄関へ歩いて行くので、私も下駄を持って慌てて玄関へ向かう。
顔、赤くないかな???そう思ったけど、オミさんを見上げる勇気がなくて、ちょっと後ろからついて行くだけだった‥。
カラコロと音を立てながら商店街まで歩いて行くと、結構人が増えている。
「わ、結構人が多いんですね」
「だなぁ‥」
そっとオミさんを見上げると、いつも通り面倒臭そうな顔をしている。
自分が行きたいって言ったのに、この神様め‥。大勢の人を見て予想通りの顔である。
「‥オミさん、まずかき氷食べましょうか?」
「かきごおり?」
「氷の上にシロップをかけたやつです。ほらこっち」
手招きして行こうとするけど、人が多い!!
進もうとするのに、人に押されそうな私をオミさんがサッと手を繋いで「あっちだな?」って言って、かき氷屋さんの前まで人をかき分けながら進んでくれた。
「‥ブルドーザーオミさん‥」
「あぁ??」
「いえ、こちらの事です。助かりました」
「お、おぉ‥」
そう言いつつ、オミさんはかき氷屋さんの前に辿り着いたけど、私の手を離そうとしない。えーと、もう着いたよ?そう思って、オミさんを見上げると‥、
「どれが美味いんだ?」
「あ、そういう?えーと、さっぱりならレモンとか、甘いなら苺ですけど‥、あ、マンゴーある!!しかもマンゴーのせてアイスまで!?ああ、でも定番なら苺かなぁ。オミさんどっちがいいかなぁ」
オミさん、初かき氷でしょ?
せっかくなら美味しいって思って貰いたいしなぁって思っていたら、売り子のお姉さんに「俺、苺でアイスのせ。あとマンゴーアイスのせ一つ」って、あっさり注文するではないか!!
「「ああ、ちょ、ちょっとなんで注文しちゃうんですか!」」
「さっさと食いたい」
「‥全く初かき氷何がいいか考えてあげてたのに‥」
私が文句を言うと、オミさんはニヤッと笑って、
「どれも美味いんだろ?また今度別のを食いにくればいい」
「‥まぁ、それもそうか?」
苺と、マンゴーのかき氷を貰って二人で食べたけど、頭にキーーンと来る痛みにオミさんはグッと耐えた顔をしていたけど、なんか面白くて吹き出してしまった‥。




