竜の神様、大変驚く。
着付けを今度は自分でする!と、真っ赤だったオミさん。
そんなに嫌だったのか??とりあえず浴衣を受け取って、綺麗に畳んでおいた。神社の娘‥着物の着付けを習わされていて、こんな時は良かったなぁって思った。
浴衣をクローゼットにしまってから、オミさんが私を見る。
「‥お前は今、着ないのかよ」
「私は問題なく一人で着られますからねぇ」
「ああそうかよ」
オミさんがプイッと横を向いて、ベッドの上で雑誌を読み始める。
なんていうか、雑誌とかすっかり気に入って読んでいるけど、世俗に詳しくなっていいのか??そう思ったけど、蛇神様はめちゃくちゃ詳しそうだな。セキさんも詳しいって言ってたのは、元上司の蛇神様の影響もあるのかな?
そんなことを思いつつ、来たるべく試験の課題をやっておく。
オミさんの課題も考えておかないといけないのに、やる事多いよなぁ‥。
チラリとオミさんを見ると、オミさんはこっちを寝そべりつつジッと見ている。
「‥なんですか?」
「別に。課題まだ終わらないのか?」
「まだまだです‥。レポートもあるし‥、オミさん先に寝てていいですよ。明かり、落としておきますね」
もう疲れたのかな?
そう思って、明かりを消して私は手元にライトを持ってきて勉強する。試験が終わっても夏休みは実家に帰れないけど‥。思わずため息をつく。
神社に帰ったら、龍の神様に会えるかな?とか、
会えたら狙われない方法とか聞きたかったんだけどなぁ‥。
そんな事を思いつつ、勉強していたはずなのにいつの間にか寝てしまったらしい‥。
眼が覚めるとオミさんの腕の中だし、勉強道具がちゃんと片付けられていた。‥オミさん、いつの間に???朝陽がさす部屋の壁に掛けられている時計を見ると、いつもより早く起きたらしい。スマホのアラームもあと少しで鳴るなぁ。
ちょっと早いけどオミさんに声を掛けようと思ったら、腰に回されていた腕がギュッと力が込められる。
ちょ、ちょいと、ドキッとするんですけど?!
今日に限って、いつもは後ろから抱きしめられているのに、前に抱き合うようになっている。しかも足!!長い足まで絡まっているんですけど!!恥ずかしいんですけど!!!
声を掛けても恥ずかしいし、
このままでも恥ずかしいし、
花の乙女はどうすりゃいいんだ!?
視線だけ、オミさんの顔を見上げると赤いまつ毛に縁取られた瞳はまだ閉じられていて、気持ち良さそうに寝ている寝顔が見える。‥そういえば、いつもオミさんが先に起きていて私の顔を見ているなぁって思い出した。何気に寝顔初!??
そう思ったら、私もたまにはマジマジと見ておくか!!
顔を上げて、ここぞとばかりに顔を見る。
いつも大きいから、こんなに間近に見たことはない。綺麗に整った鼻も、ちょっとカサついている唇もジッと見る。
‥うん、すっごい美形だ。イケメンだ。
ニヤニヤと意地悪く笑う顔も、屈託無く笑う顔も格好いいなぁ〜と思うけど、本当にイケメンだ。
それでも、いつか課題をクリアすれば契約も解消だ。
それぞれの人生を歩き出すんだろう。
一緒にはずっとはいられない。
そう思ったら、胸がギュウッと痛くなる。
そんなの当たり前の事なのに。誰だって、ずっと一緒にいられないのに‥。お父さんが早くに亡くなったのもあって、いつかの別れを考えたら、なんだか苦しくなって、ふと、ほろっと涙が出てきた。
いかん、いかん、オミさんの自立の為にも私も寂しいなんて言ってられない。ちょっと自分の指で涙を拭いていると、オミさんが寝ぼけつつ私の背中を撫でる。
「オミさん、起きてる??」
「‥んん?」
思わず声を掛けたけど、無意識なのか???
なんだかおかしくて、小さく笑ってオミさんの胸の方へ顔を寄せる。
‥どうせスマホのアラームはあと3分くらいで鳴る。
それまで、ちょっとだけ。そう思って、目を瞑って眠ったふりをした。
3分後アラームが鳴った時、オミさんの体が驚いたのか、思い切りビクリと跳ねるので吹き出すのを我慢するのが大変だった。‥これ、またオミさんよりも先に起きたらやってみようって思った。
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