竜の神様、結構照れ屋。
蛇神様から、意外にも普通のスカートを頂き、なおかつワンピースからスカート、シャツと夏の水着まで貰ってしまった‥。
せっかくだからと白のシャツワンピースを着たけどサイズピッタリなのはなぜ??そして、こんなに頂いて良いの??
私はどこかのハイブランドの紙袋に入っている洋服の山を見て驚いていると、シキさんがちょっと遠くを見つめつつ、
「蛇神様は、可愛い洋服が大好きでございまして‥、山のように服がございますから、遠慮せずどうぞお持ちください。実際まだまだまだまだあるので青葉様さえ良ければ、今後も定期的に貰って頂けると嬉しいです」
そんなにあるの???
驚いて目を丸くすると、御簾の向こうで蛇神様が「青葉、今度着せ替えでもしよう」と言うけど、本気でしょうか??オミさんがすっごい睨んでいるので、私はとりあえず黙ったまま頷いた。
ひとまずお茶も洋服も頂いたので、蛇神様とシキさんにお礼を言って、お暇する事にした。
立派な日本家屋から出てくると、オミさんはジーンズのポケットに両手を突っ込んで、「早く行くぞ!」って言うけど‥、ちょっと待ってくれ、どう帰るんだ。
「オミさん、どうやって帰るんですか?」
「手、貸せ」
「はい?」
手を出すと、オミさんが私の手を握る。
と、またも目の前が金色の光で一杯になって、あまりに眩しくてギュッと目を瞑る。
も、もう終わったかな??
そっと目を開けると、オミさんがじっと私を見ている??
「オミさん??ここ、大学?」
「お〜、屋上だな」
「あ、本当だ!!ええ、すごい!!これは蛇神様の力なんですか?」
「まぁな」
「へぇ〜〜、こんなのも出来るんだ!!」
しみじみと感心していると、オミさんが私が貰った洋服の紙袋をジッと見ている。
「何か、気になりました?」
「‥なんも。おら、授業行くぞ」
ズンズンと歩いて行くオミさんを不思議に思って、追いかける。
なんか気になるような服、入ってたかな?
全部は見てないので歩きつつ、ちょっと服をめくりつつ確認していると、オミさんが足を止めたのに気が付かなくて、背中に気持ちよくぶつかった!
「痛い‥。急に止まらないで下さいよ」
鼻を擦りつつ、オミさんをジトッと睨むと、オミさんも睨んでくる。
な、なんだよ!?やる気か??!私が身構えると、
「‥‥短いの、履くなよ」
「っへ???」
オミさんはそう言うと、プイッとまた前を向いてスタスタと歩いていく。
どうやら、相当ショートパンツは刺激的らしい。
なんかちょっと耳赤くない?
可笑しくなって、小さく笑いつつ後ろからついていくと、オミさんがチラッと私が付いて来ているか確認して前をまた歩いていくので、おかしくて堪らない。
同時に、この不器用な神様に何かあったらいつでも契約を終了出来るようにしておかないとだなぁって思った。
「青葉」
オミさんが私を呼ぶので、課題について考えていた私は思わずギクリとなる。
「は、はい???」
「お前、前見て歩け」
「へ?」
顔を上げると、壁にぶつかりそうな所をオミさんが手でぶつからないように防いでくれていた。
「あ、あれ??」
「お前、大丈夫か?頭」
「「言い方ぁあああ!!!」」
「うん、大丈夫だな」
くっそ〜〜。
誰のせいでこんなに悩んでいると思っているんだ。
口を尖らせると、オミさんが私の顔をジッと見て、トカゲのマークの付いている手の方をちょっと突く。
「あ、見えないようにします?」
「おう、手を出せ」
‥もうちょっと丁寧に言えないのだろうか?
手を差し出すと、オミさんは私の手の甲にあるトカゲのマークをそっと指の腹で撫でる。
なんていうか、いつもぶっきらぼうなくせに私にこうして触れる時は優しいというか、柔らかく触れるよなぁ。なんだか見た目とのギャップに戸惑うんだよね。
オミさんをチラッと視線だけ上げて見ると、私の手の甲のマークをジッと見ている。えーと、まだ終わらない?なんか気恥ずかしいんだけどなぁ。だんだん顔が赤くなっていくと、私の手を撫でているオミさんがちょっと震えてるのに気付く。
ん??震えてる??どうした!?
慌てて顔を上げると、オミさんが笑いを堪えるように私を見てニヤニヤしてる。
「‥赤リンゴになってる」
「「本当に、この性悪!!!!!」」
私が校内で叫んだっておかしくないよね!?睨んだっておかしくないよね!??脇腹に速攻でパンチしたよ!!ノーダメージだって知っててもパンチした!!!




