竜の神様、雨と傘。
傘デビューのオミさん、レインコートは次回の楽しみにするそうだ。
オミさんのは黒い傘だけど、内側が空模様だ。
ああ、雑誌で見た事あるなぁ〜なんて思ってたら、内側の雲が動いてる!!??なんか爽やかな風まで吹いてくる!
「え、すごい!!神様の傘っぽい!!」
「神だからな」
「オミさん、うっかり神様って忘れちゃうんですよね」
そう言ったら、ジトッと睨まれた。
だって口は悪いし、強引だし、肉ばっかり食べるし。
私もせっかくだから頂いた傘を広げようとすると、オミさんが私を見て、
「お前は俺の傘に入っていけばいいだろ」
「え〜〜〜、新しい傘、私も使ってみたいです。それにオミさんが見えないようにしなきゃいけない時、私がその傘を持つんですよね?重そうだから無理です」
きっぱり言い切って、頂いた傘を広げると透明の傘だけど虹色で、シャボン玉の中にいるみたいだ!
「オミさん、傘綺麗です!!シャボン玉みたい!!」
「‥‥そうかよ」
「今度晴れたら、シャボン玉勝負しましょうか。大きさ勝負がいいか、距離勝負がいいか」
私がそう言うと、オミさんはニヤッと笑って、
「大きさ勝負だな。次も俺が勝つ」
「初回は私にぼろ負けだったくせに‥」
「あれは、知らなかっただけだ!!」
「はいはい、行きましょうね〜」
雨の中の登校なんて憂鬱だったけど、虹色の傘はすごく気分が上がる。
ウキウキしながら歩いていくと、
紺色の傘を差した人が、道路脇にずっと立っている。
誰か待ってるのかな?
そう思っていると、オミさんが私の前に立って歩く。
「あっちは見るな」
「え?」
「そのまま前を向いて歩け」
「は、はい?」
言われるまま、前を見て歩いていくけど‥、何かあったのかな?
しばらく歩いてからオミさんが私を見る。
「さっきの傘のやつな、あんまりいい奴じゃねーから、今度見ても無視しておけよ」
「「え??あれ、人じゃなかったんですか??」」
「どう見てもそうだろ」
神様、私には分かりません‥。
でもあまりいい奴じゃないって言うなら気をつけておこう。
私が頷くとオミさんは、「おら行くぞ」ってズンズンといつものように学校へ歩いて行く。
傘は校内のロッカーにしまっておいた。
シャボン玉みたいな傘を差すのがまた楽しみだな〜。
「おら、授業始まるぞ」
「はいはい」
意外に時間に厳しいオミさん。
なんか面白い。
教室の空いている席に座って、教科書を出していると前の席の子達の会話が聞こえる。
「この間さ、コンビニに置いておいた傘、盗まれてさ〜!すっごいショック!」
「わかる!ああいうの本当許せない!!」
ああ、傘盗まれるよね‥。
特にビニール傘は、間違って持っていかれる事もある。
私の貰った傘はその点でいえば、虹色だからコンビニに持っていっても大丈夫かな?いや、あれは気に入ってるから、今まで使ってた傘にしよう。
そんなことを思っていると、女の子達はなおも会話を続けて、
「あと盗みだけじゃなくて、最近ここらで何もない所で急に誰かに後ろに引っ張られるらしいよ」
「やだ、変質者?」
「それが姿が見えないんだって!!」
ええ〜〜怖い〜〜!!
って会話が聞こえて、ふとさっき紺色の傘を持っていた人を思い出して、オミさんを見上げると、オミさんも思い当たったらしい。
「‥無視、だけで大丈夫ですかね?」
「俺といる時はな」
「‥私の行動の権利は何処に‥」
「んなもん、俺だってない」
「そっちは自業自得でしょうに」
ジトッと睨むと、オミさんは欠伸して「あー眠い」って言って入ってきた講義の先生の方を見る。
眠いなら一人で眠ればいいのに。
そう思いつつ、私も先生の方を見る。
ふと後ろで水音がしたような気がしたけど、先生が「小テストする」という声にすっかり気が逸れてしまった。まぁ、気のせいかな??




