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竜の神様と契約しますか?  作者: のん
竜の神様出現。
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竜の神様、不満です。


まさか撮影現場に長谷(はせ)君がいるとは思わなかった。


なんでも役者志望で、今回はようやく得られた役らしい。そうかぁ〜、なんかチャラいとか密かに思っててごめん。しょっちゅう大学を休む理由もオーディションを受けていたと聞いて、見た目で判断していた私は反省した。



「やっと掴んだ役だけど、なんか思うように撮影が進まなくてさ〜」


「へ、そうなの??」

「やたらと機材が故障したり、人が怪我するんだよなぁ」



‥それは大丈夫なのか?

私は不思議そうにしている長谷君のメンタルがすごいって思う。私ならちょっと怖くて参加したくない。


あと、あっちでぶっ殺すみたいなオーラを出しているオミさんも怖い。どうしたらいいかなぁ‥。説明して納得してくれればいいんだけど‥。着々とセットやカメラの用意をされていて、セリフはないし大丈夫!なんて言われたけど不安しかないんだけど。



オミさんを見ると、まだ睨んでる‥。

まだ撮影が始まらないようなら、ちょっと声だけかけてこようかな‥そう思って、オミさんの方へ近付いた途端、



「「危ない!!!」」



どこからか声が聞こえた。

え?何が?

周囲を見回したその時、スローモーションで大きなセットがこちらへ落ちてくるのが見えた。



あ、ダメこれ。

ギュッと咄嗟に目を瞑って身構えると、何かに思い切り引っ張られた。



ドスン!!と、

重い音が後ろでして目を開けると、オミさんの長い赤い髪が目の前に見えた。いつの間にか体を抱きしめられていて、後ろを見ると、大きなセットの一部が落ちているのが見えた。…か、確実に死ぬ奴だったな!??ゴクリと唾を飲んでオミさんを見上げる。



「オミさ‥」

「野郎、やりやがった‥」


「え??」



野郎??

その途端、ものすごい甲高い悲鳴が聞こえる。

なに??オミさんが私をギュッと抱きしめて、前を睨みつけるので私もそちらを向くと、皆の動きが止まっている?!


長谷君がこちらに手を伸ばしている状態で、微動だにしていない。



「え、止まってる?!」

「時計だ」

「時計??」



大きな時計塔の針が、ギチッと音がしたかと思うと、ギリギリと針がめちゃくちゃに回り出す。な、何??なんなの?



「‥どうも、この映画の何かが気に入らねぇらしい。さっきからこっちをギロギロ睨んでた」



もしかして、それでオミさんも睨んでたの?

役どころに怒ってた訳じゃなくて?

ちょっとホッとしたけど‥さっき長谷君が撮影がなかなか進まないって言ってたのはもしかして、あの時計が原因??



「もしかして、時計が邪魔してた?!」

「どうもそれっぽいな」



時計塔から、ものすごい鐘の音がして慌てて耳を塞ぐ。

オミさんも顔をしかめながらあちこち周囲を見回す。


「あれだ!」

「え??」


オミさんは私を抱き上げたかと思うと、止まったままのスタッフさんの手に持っている時計の一部だろうか、金具をヒョイっと取り上げた。


「時計の一部、ですかね?」

「どうも勝手に拝借したらしいな。これ、結構金目のモノらしいけど、時計塔にとっちゃ大事なもんだ」


それは時計塔だって怒るわな。

私が呆れたようにスタッフさんの顔を見る。



「おら、これ返すから大人しくしろ!」



そう言って、オミさんが時計塔に金具を投げると、

金具は丸い光に包まれたかと思うと、時計塔の中へ静かに入っていった。



「‥え、入っていった」

「長い時間生きてた時計だから、魂が宿ったんだな」

「ああ、そういう‥」

「知ってるのか?」

「割と。うちの神社でもお祓いして欲しいって言われて色々持ち込まれてたんで」



オミさんがなるほどっと頷いて、周囲を見る。


「もう少ししたら、皆戻るからお前も橋の所へ‥」

「あ、あのオミさん、その前にですね、配役が変更される事になりまして」


私の言葉にオミさんの足がピタッと止まり、ジロリと私を睨むように見つめるオミさん。ああああ、もう嫌な予感しかしない。でも、言わないでいたらもっと大変そうだし〜〜〜。



「‥どんな役だよ」

「えーと、その、だ、抱き合う役‥‥?」


「帰るぞ」

「「わ、わーーー!!!!やっぱりそう言うと思ったけど、無理なんですって!!でも一瞬!!一瞬だから!!!」」



肉!!肉をバイト代で自腹で買うから!!

って言ったけど納得してもらえず、髪の毛を毎朝必ず結ぶって言ったら、ようやくぶすっとした顔のまま元の位置に戻してくれた‥。



その途端、周囲の皆が動き出した。

時計塔さん、もしかして空気読んでくれてた?

皆は記憶がなくなったのか、不思議そうな顔をしていたけど、私は抱き合う役をすると言ったが為に、今度こそ(?)私を睨むオミさんの視線を一身に受けるハメになった。ううううう、怖いよう。




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