竜の神様、経費落ちます。
赤い蛇のセキさんは、大変丁寧な方(?)で‥
「本当にルディオミ様がお世話になりますが、どうぞ一つよろしくお願い致します。大変遅くなりましたが、掛かったお金などは経費で落としますので、どうぞ領収書などはお渡し下さい。あ、その前の食費、雑費、光熱費などは竜王様からの加護で、きちんとお返しいたしますね」
「領収書‥、食費、雑費、加護‥」
なんか神様の世界と一番縁遠い言葉じゃない??
領収書、じゃあ取っておこうって思ったけど。
それにしても一番聞きなれない、加護とは???
オミさんを見上げて、説明を求めた。プリーズ詳細な説明。
一方のオミさんはと言うと、大変面倒くさそうな顔をして、「これから分かる」って言うけど、なんだよこれからって!!
セキさんは、私を見て申し訳なさそうに頭を下げて、
「加護は、良い出来事が訪れる‥ですかね」
「へぇ‥、そうなんだ」
「どうぞ楽しみにしていて下さい!!」
「は、はぁ‥」
うん、まぁ、もう今更神様の世界を追求しても仕方ない。
私が頷くと、セキさんはペコッと頭を下げると
「それではこれで失礼させて頂きます。ルディオミ様、青葉様にこれ以上ご迷惑を掛けないように気をつけて下さいね!!」
「ありがとうセキさん、もっと言ってやって」
「「おい、こら!!」」
セキさんは小さな目を瞬きしたかと思うと、静かに消えてしまった。
「‥‥消えちゃった」
「まったくアイツ、ずっと見てるとか暇すぎるだろ」
「え??そうだったんですか?あ、朝の視線って、セキさん??」
「悪いのではなかったろ」
「‥そういうの言って下さいよ〜〜」
思わず肩から力が抜けると、オミさんが私を見てニヤニヤしている。
「な、なんですか?」
「お前、蛇とかダメなんだな」
「「あ、当たり前じゃないですか!!いきなり現れたら驚きます!」」
でも、セキさんは別だけど。
ジトッと睨むとオミさんはいい事を知ったとばかりに、ニヤニヤしている。‥守るはずの存在が何か企んでる顔をして私を不安にさせるのってどうなんだろ。
「蛇は苦手ですけど、セキさんは別ですよ。いい人‥蛇さんですし」
「あぁ?!アイツのどこがいい奴だよ」
「オミさんを心配して来てくれたんでしょう?いい蛇さんです」
「はぁああ?頭は確かか?」
「オミさんより、ずーーーっといいです!!」
本当に口が悪いんだから!!
お弁当をサクサク食べて、ささっと片付けて校内に戻ろうとすると、オミさんにパーカーの裾を引っ張られた。
「‥なんですか?」
「もう少し外にいよーぜ」
「ええ〜〜‥」
「中、狭い」
「大学は割と広い建物ですよ」
竜のオミさんにとってはどこも狭いのかもしれないけど‥。
オミさんはそっと私のパーカーの裾を離して、「ダメならいいけど‥」って呟く。‥‥っく!!!そんな顔をされたら行けないだろうに!!!
「あと少しだけですよ?」
そう言って私が座ると、オミさんはちょっとニマッと笑って隣に座った私の髪を猫のようにじゃれて遊び始める。‥何をしているんだ、何を。
「オミさん、何してるんですか?」
「髪で遊んでる」
「自分ので遊んで下さいよ」
「嫌だ。つまらん」
まったく‥このマイペースな神様ときたら‥。
「オミさんの課題って何でしょうね」
「なんだろうな」
「‥自分の国に戻りたくないんですか?」
私がそういうと、オミさんはちょっと髪を触る手を止めて私をじっと見る。な、なんだよ???
「‥わかんねぇ」
「分からないとは???」
「戻っても、シャボン玉で勝負できねーしなぁ」
「そこかい!!」
呆れたように私がそういうと、オミさんは顔をくしゃっとさせて笑うけど‥。なんだかあんまりにも屈託なく笑うものだから、ストライクが入ったような気がしたけど、えーと‥これでストライクはいくつだっけ?
経費って大事だよね。
当然のように経理担当はセキです。




