竜の神様、プレゼント。
お肉をたらふく食べられて、大満足のオミさん。
顔がツヤツヤしてますね。
あんまりにも良い食べっぷりに、お店の店長さんがオマケして出してくれたお肉までぺろっと食べてしまった‥。これが全部筋肉にいってるのだろうか、羨ましい。
「ご馳走様でした」
お店にお礼を言って、出てくるとオミさんが私を不思議そうな顔で見ている。
「なんでご馳走様って、毎回言うんだ?」
「え、祖父母に用意してくれた事に感謝した気持ちを言うよう教えられたんで‥。あとは「美味しかったです」の意味も込めて言ってますね」
オミさんは私の言葉を聞いて、ふむ‥と頷いてから、
「じゃあ、俺が作ったら「ご馳走様」って言うか?」
「そりゃ言いますよ」
「ふーん、不味くても言うのか?」
「作ってくれた気持ちに感謝するんですから、味は二の次です」
とはいえ、作ってくれた物が美味しい物ならなおいいけど。
オミさんを見上げると、「ふーん」と気の無い返事が返ってくる。どうやら興味はもう無いらしい‥。
「お店、他に何か見て行きます?」
「肉食ったしなぁ‥」
「じゃ、そこの雑貨店にちょっと寄って良いですか?」
「迷子になるなよ」
「誰に言ってるんですか、大人ですよ私は」
「ガキだろ?」
「「ぶっ飛ばしますよ?」」
本当にちょっと見直すと、すぐこれだ!
買っておきたかった小物を買って、お店から出てくると、店の前で待っていてくれたオミさんの周りに綺麗なお姉さん達が話しかけていて、オミさんは適当に相槌を打ちつつ話をしている。
‥さっきの美女さんと言い、オミさんはやっぱりあっちの世界でも、こっちの世界でもモテるのでは?
照れ屋なのかと思ったら、普通に綺麗な人にも話せるし‥。
っていうか、なんで私の時にはあんな軽口を叩くくせに、普通に綺麗な人にはあんな風に穏やかに話すのだ。ちょっとイラっとしたけど、オミさんが私が店から出てきたのを見かけると、すぐにこちらにやって来る。
‥なんかそれだけで、ちょっとイラっとしてた気持ちが消えて、
ホッとしたのと同時に嬉しくなった。
なんだこれ。
オミさんはニヤニヤしながら、私の側ギリギリまで来る。
「迷わなかったか?」
「あの店で迷子になるって、どんだけ器用ですか」
「お前、変な所で器用そうだしなぁ」
「はっ倒しますよ?」
ちょっとだけ前言撤回。
嬉しくない。イライラ再燃だ。
電車が混む前に早めに帰ろうと、オミさんと電車に乗って「スーパー行きたい!」というオミさんと一緒にいつも寄るスーパーに行って買い物をしてから帰った。
「はぁ〜〜、久々のお出かけ疲れた!」
買った物を冷蔵庫に入れたり、買った物を片付けてからベッドに寄りかかると、オミさんもローテーブルの前に座る。
あ、そうだ。
オミさんが目の前にいるし、ちょうど良いや。
私は体を起こして、バッグからラッピングされた小箱をオミさんに渡す。
「はい、オミさんこれあげる!」
「は?なんだ?」
「まぁ、開けてみて下さいよ」
オミさんが片眉を上げて、ラッピングをバリバリと破いて小箱を開けると、中から出てきたのは折りたたみの黒い財布である。まぁ、あまり高くないのだけど‥。バイト代を紙袋から出しているのを見て、そういえば財布もないなって思って‥。
「これ‥」
「財布です。せっかくバイトしたお金をちゃんと仕舞える物があったら良いでしょ?ここにお札、こっちに小銭を入れるんですよ?ほら、紙袋出して!」
「お、おう‥」
オミさんはちょっと驚いた顔をして、バイト代の入った紙袋をローテーブルの上に出して、私に言われた通りにお金を仕舞う。うん、オミさんに似合うし、なかなか良いな。
私が満足げに微笑むと、オミさんは私の顔をじっと見て、それから財布を見る。
「‥金、ねぇくせに‥」
「それは‥、そうなんですけど。オミさんのが今は何もないじゃないですか。色々助けてくれたお礼って事で受け取って下さいよ」
まぁ、今月は切り詰めればなんとかなると思うし‥。
私が笑ってそう話すと、オミさんは嬉しそうに、でもなんだか我慢するような顔になる。‥それはどんな感情なんだ??
「あとシャボン玉買ったんですけど、一緒にやってみません?」
「シャボン玉?」
「公園で子供が飛ばしてたのです」
「!!あれか!」
案の定、食いついてきた。
私はニヤッと笑って、オミさんにシャボン玉を渡してからベランダを開ける。
「最後までシャボン玉を残したら、許してあげましょう!」
そういうと、オミさんは目を見開いて私を見たかと思うと、「俺は神だぞ?」って言うけど、私だってシャボン玉歴なら長いはずの人間だ。二人でベランダでひたすらシャボン玉を飛ばしていると、夕焼け空に溶け込むようなシャボン玉が綺麗でちょっと見惚れた私だった。




