竜の神様とクリスマス。7
そうしてクリスマス当日である!
この日の為にオミさんは毎日、日夜駆け巡って仕事をしていたのだが、あまりにも疲れて連日倒れるように寝ていた‥。昨日も布団に入って私を抱えるなり爆睡していたという‥。ある意味涙ぐましいくらい頑張っていた。
そんなオミさん、朝起きるとベッドにいない。
「あれ?!いつもならぎゅうぎゅうの刑なのに‥」
不思議に思ってキョロキョロと部屋の周囲を見回すけれど、やっぱりいない‥。と、いうか今日はやけに冷えるなぁ‥。パーカーを羽織ってカーテンを開けると‥、
薄っすら積もった雪を丸めているオミさんが庭にいる!?
え、待って、雪!??昨日の夜に降るなんてニュースで言ってたっけ?
私が目を丸くして、雪景色とオミさんを見ていると、オミさんが私に気が付いてニカッと笑う。
「お、青葉起きたか!!」
「お、おはようございます。随分と積もりましたね」
「おー!早く外来いよ!遊ぼうぜ!!」
「‥いや、この寒いのに元気か!」
でも竜の国は暑い所だから、雪が珍しくて仕方ないんだろうな。
私も急いで身支度して、しっかり防寒してから庭へ出る。
オミさんは鼻の頭を赤くしながら、いつの間にかモコモコのダウンジャケットを着て雪だるまを作っている‥。
「見ろよ、あの雪だるまに似てねぇ?」
「確かに。眉の辺りが似てますね。っていうか、いよいよ今日は本番ですねぇあの子達‥。大丈夫かな?」
「大丈夫だろ。何せ言の葉の神様もいるんだし」
「そうですよね〜」
と、オミさんと話すけれど‥、なんだろうこの言い知れない不安感は。
横にいるオミさんは雪だるまの頭をポンと叩くと、満足したのか背伸びしてから私を見下ろす。
「よし!クリスマス!しよーぜ!」
「オミさんのクリスマスイメージってどうなってるんだろ‥」
「まず飯食ったら、ケーキ作ろうぜ」
「あ、そうですね。キットも届きましたし」
「それで昼はピザでも食って、夜はどっか食べに行くか〜」
「お、まさかの外食?!」
「‥モノ達が「食べに行くならここ!」って店を教えてくれた」
モノ達が??
私が目を丸くすると、オミさんがニンマリ笑う。
「まぁ、お楽しみにしてろ」
「は、はい‥」
「よし、じゃあまずは飯食おーぜ!飯!」
「はいはい」
ワクワクした顔のオミさんと一緒に部屋へ戻るけれど、朝からテンションすごいな。特大ブーツのお菓子詰め合わせをプレゼントしたらどうなってしまうんだろう。そんなことを思いつつ、パンケーキを焼いて、アイスを乗せてあげたらオミさんのテンションがいきなりぶち上がった‥。うーん、イベントのしがいがある神様だ。
「冬のアイスも上手いな!」
「そうですね。お休みの日で、しかも暖かい部屋限定ですけどね」
「これまたやりたい」
「そうですね、おやすみの日にでもまたしましょう」
なにせ思いつきとは言え、結構美味しかったし。
オミさんはぺろっと5枚くらい食べても、まだ足りなさそうだった‥。来た当初は「別に食べなくても平気」って言ってたくせに、めちゃくちゃ食べるなぁ。
家事を簡単に一緒に済ませてから、オミさんと雪景色を楽しみつつ散歩して、お昼の材料を買って一緒に帰った。暖かい部屋に戻るとホッとするな〜〜。
「は〜〜、やっぱり空気がキンと冷えますね」
「でも、これなら雪だるま達も大丈夫だろ」
「‥オミさん、なんだかんだで心配してるんですね」
「プレゼント、貰えないと可哀想だろ」
オミさんがコタツに入って、スマホで天気図を見ながらそう話す様子に小さく笑う。‥本当、面倒くさがっているけど、なんだかんだで気にかけてるんだよね。思わずニマニマと笑う私の視線に気がつくと、オミさんがちょって照れ臭そうに横を向く。
「‥ちょっと休んだらケーキ作ろうぜ」
「そうですね。ガトーショコラなら失敗しなそうだし‥」
「あ、混ぜるの俺やりたい」
「是非是非お願いします。片付けもして下さい」
「俺は神だぞ?」
「神様、あと片付けって大事ですよね?」
じとっと私がオミさんを見ると、オミさんはちょっと面倒くさそうな顔をする。‥まぁ、そんな顔をしてもきっちり片付けるの知ってますけどね。暖かいお茶と一緒にチョコを渡すと、すぐ笑顔になるオミさんにこっそり笑うのだった。




