竜の神様、本契約致しました!(終)
オミさんと結婚した。
魂は、えーと、はい、無事に結びました‥。
‥いざ魂を結ぼうとしたら、いつもの言動と、行動から想像できないくらい優しくて、なんか驚きの方が大きかった気がする。いや、恥ずかしい気持ちもかなりあったけどね!!
‥とにかく昨夜の事を思い出すと、グラウンドを駆け巡って、穴にジャンプしながら飛び込みたくなるけど、それでもオミさんと結婚できた事は素直に嬉しい。私の世界に戻ったら、婚姻届は3月3日に出そうって言ってくれたのもかなり嬉しい。
で、昨日は金髪の人形に襲われたり、オミさんのお父さんに会ったり、まさかの家族が集まっての結婚式で、トドメのオミさんとの魂を結んで、私が起きた時には昼頃で‥
「文化祭!!!!!」
って慌てて飛び起きたさ。
まずい!!昨日も遅刻したのに!!よりによって当日大遅刻とか!!!
と、真っ青になっている私の横でオミさんは、呑気に腰掛けて雑誌を読んでいた‥。それ、うちから持ってきたの?驚いた顔をしてオミさんを見上げると、流れるように私の頬にキスをする。な、なななな!!??驚いて目を丸くすると、オミさんがぶっと吹き出す。
「こっちの世界と、あっちの世界の流れは違うから大丈夫だ。文化祭にはこっちであと2日滞在しても十分間に合う」
「は、早く言ってくださいよ‥」
「昨日の今日で言える暇あったか?」
ないですね。
昨日なんかは特に‥。
色々起きすぎて、私にはもうキャパオーバーです。
もそもそと体を起こすと、オミさんが嬉しそうに私を抱きしめる。
「あ、あの、オミさん‥恥ずかしいんですけど‥」
「そうかそうか、俺は嬉しい」
「〜〜〜そ、そうですか‥」
うう、オミさんがかつてないほどデレデレだ!!
私は顔がじわじわと赤くなっていくのが分かるので、すかさず悟られまいとオミさんの胸に顔を押し付ける。
「青葉?」
「いえ、ちょっと、深呼吸を?」
なんて誤魔化したけど、まだご機嫌なんだなぁ。
昨日も会食中、えっらい緊張してた私と違って終始嬉しそうにしていたオミさん。駆けつけてくれたパティアさんにも、笑顔だったのでパティアさん驚いてたなー‥。
そんな事を思い出して、自分の指で光る金色の指輪を見た。
これ、パティアさんからのプレゼントだったらしい。
指輪は親族から‥が習わしだそうだ。
急遽の結婚だったのに、よく用意できたなぁって思ったら、やはりオミさん前からちょっとずつ準備していたらしい‥。用意周到すぎないかい?
と、オミさんが私の額にキスをするので、驚いて顔を上げてしまった。
ニヤッと笑う嬉しそうなオミさんに、不覚にも胸がギュッとなる。
「‥青葉、」
「‥なんですか?」
「もうちょっとくっ付いていたいけど、とりあえず飯にしよーぜ」
「ううううう〜〜〜〜〜〜!!!」
「なんだ、その声‥」
「甘すぎて、ちょっともう困ってるんです!!」
もうやめて〜〜!!!
本当にこんなに甘くなっちゃうとか、最初の出会いからは想像できないんですが!?顔は赤いし、恥ずかしすぎて涙目になってしまって‥、オミさんをちょっと睨むと、オミさんはオミさんで言葉に詰まった様子で私を見る。
「‥‥やっぱもう少しベッドにいよう」
「なんで!??起きましょうってば!!」
「アホか!!んな事言われて、さっさと起きられるか!可愛いのが悪い!!」
「か、かわ???!どこにそんなポイントが?!!」
「全部だ、全部!!」
やめて!!!!本当やめて!!!
ものっすごいデレるオミさんに、私が真っ赤になると、オミさんがぎゅうっと更に隙間なく抱き寄せる。
「お、オミさん‥」
「青葉、好きだ」
「‥えっと、はい、私も、その‥」
好きです。
そう言おうとして、オミさんの唇にまたも塞がれてしまう。
ちゃんと言おうとしたのに!
そう思うけれど、じわじわと温かい気持ちを感じる。あ、もしかしてこれが「魂を結んだ」から分かる事なのかな?
ちょっと驚いたけど、その気持ちが心地良くて‥、ゆっくりオミさんの背中に腕を回そうとすると、
窓の向こうに、何かがキラキラと光りながらこちらへやってくる?!!
驚いてキスするオミさんの背中をバシバシ叩くと、
オミさんがちょっと眉間にしわを寄せる。
「‥なんだよ」
「な、何か外で飛んでいるんですけど!!」
「ああ、龍の神が祝いにきたのか」
「龍って、うちの神社の!??」
「こっちに来られるくらい元気になったんだな〜」
「ええええ!!!じゃ、じゃあ起きましょうよ!!」
「あぁ?!今、良いところなのに‥」
オミさんがちょっと拗ねた顔をして、私を見るので私は横に目を逸らした。
ああもう!!まぁ、今日は新婚初日ですしね!サービスあっても良いか?
視線だけオミさんに送る。
「‥‥また、後で続きすれば良いじゃないですか‥」
ボソッと呟くと、オミさんがすごい勢いで私を見る。
あ、ちょっと恥ずかしいので、そんなに見ないで頂きたい‥。
「青葉、今‥」
オミさんが驚いた拍子に腕の力が緩んだので、その隙を突いてサッと腕から脱出した。
「あ、ちょ!!青葉、約束だからな!!」
「わーー!!わーー!!!さて、着替えてこよう!!」
「青葉!!!!」
照れ臭くて、慌てて洗面所のある部屋へ駆け込んで行くけれど、なんだか必死に私を呼ぶオミさんが可愛くて、くすぐったくて、振り返って思い切り微笑んだ。
竜の神様と本契約を結んだ日に。
これにて完結です!
ここまで読んで頂いて、本当〜〜〜〜〜にありがとうございました!!
こちらの話、作品を全部読んでいる方はわかる設定でして、言の葉の神様も、まるさんも「いきなり異世界」から始まり、「夜と魔法使い」「白虎の神様」にもそろっと出てきております。
そんな神様の世界を一度しっかり書いてみたいなぁと思って書いたら、思いの外楽しくて‥、よろしければ他の作品も読んで頂けると嬉しいです!
(他の話も長いのですが‥ここか〜ってなるかな?(^^;))
いつか番外編も書いてみたいけれど、すでに他の作品のキャラにせっつかれている私。
今後とも楽しんで頂ければ幸いです。ささ、どうぞ、ブクマやいいね、拍手をば(笑)




