竜の神様、最後はきっと幸せで終了。
皆でご飯を食べている間に、セキさんに促され別室に通される。
「あ、蛇神様!!」
「うむ、ようやくわしとベルミアによるドレスの番じゃな!!」
蛇神様がオミさんの部屋でドレスを用意してニンマリ笑って立っていて、なんだかいつもの光景に思わず笑ってしまうと、蛇神様が両腕を広げるので、迷わず抱きついた。
「‥青葉、とうとう捕まってしまったのう」
「ふふ、とうとう捕まってしまったようです」
「わし、青葉がずーっと大好きじゃ」
「私もです。相思相愛ですね!」
いつも、私とオミさんを心配して、応援してくれた蛇神様。
きっとオミさんを幼い時から知ってる蛇神様も、今日はすごく嬉しいんだろうな‥。二人でちょっと微笑みあっていると、
「‥おい、俺の嫁を取るな」
「なんじゃ、竜の子!本当にお主は狭小じゃのう〜〜!」
「アホか!!当たり前だろ!!青葉は俺の嫁だ!」
「まったく無粋な男じゃの!嫌になったらいつでもわしの所へ来るんじゃぞ?」
「行かねぇし、行かせねぇ!!!」
「オミさん、落ち着いて〜〜〜」
本当にこの二人はいつまでもこのノリなんだろうなぁ。
セキさんが「ほらほら蛇神様、ドレス!!ドレス!お色直しですよー」と言ってくれて、ようやく言い合いが終わった。
そうして、オミさんと一旦別れて、それぞれ着替える。
朱色の布地に、金色の草花の刺繍がしてある綺麗なワンピースに金色の帯を締めると、以前竜の国に来た時に着たワンピースに似ている事に気付いた。
「あ、これ、以前着たのに似てる‥」
私がボソッと呟くと、蛇神様がニンマリ笑う。
「あいつ、こっちにお前さんが来た時にちゃっかり結婚衣装の見本、着せてたんじゃよ〜」
そうだったの〜〜!!??
驚いて蛇神様を見ると、蛇神様がニマニマ笑って私を見つめる。
「‥‥お前が本当に好きなんじゃなぁ」
「う、そ、そうですね?」
「わしも負けんがな」
「‥それは存じております」
「ちゃんと心に留めておけよ?」
「もちろんですよ」
二人でまた微笑みあっていると、扉をノックする音が聞こえる。
セキさんが「ルディオミ様が待ちきれなくて、ウロウロしてます〜〜」って報告するので、二人で笑いあってから部屋を出ると、オミさんは黒い布地の長いシャツワンピースに金色の刺繍がしてある上着に、黒いパンツを履いている。
蛇神様がそれを見て、
「うっわ、青葉の色じゃな!!」
「う、うるせぇ!!そういうもんだろが!!わざと言うな!!」
オミさんが真っ赤な顔になって蛇神様に怒鳴るけど‥。
と、いうことは私は「オミさんの色」を着ている訳か‥。そう思って、顔が赤くなる。あああ、これで皆の前に行くの??恥ずかし過ぎない??
オミさんに視線だけ動かして、見つめると、ぱちっと目が合う。
不思議なオミさんの瞳の色が、嬉しそうに煌めいて‥、
大好きって、言っている気がする。
いや、これ確実に言ってると思う。
「青葉」
オミさんがちょっと照れ臭そうに私に手を差し出すので、私はそっと手を重ねる。
「‥あんまはしゃぎ過ぎるなよ」
「私はそんな子供じゃないですよ?」
「‥だといいけど‥」
失礼な、私はこれでも一応大人だぞ?
明日は文化祭もあるし!
そう思ってオミさんをじとっと見上げると、オミさんが私の耳元にそっと顔を寄せる。
「‥‥夜、一人でさっさと寝るなよ」
一人で寝る?
いつもオミさんと一緒に寝ているじゃないか。
不思議に思って、オミさんを見上げて‥、ハッとする。
つまり、今日は「魂を結ぶ」からな。
ってことですね‥。
えーと、それはつまり、そういう事になるんですよね???
ぶわりと熱が頬に集まって、今世紀一番顔が真っ赤になったと思う。
オミさんは私の反応に気を良くして、ニンマリ笑うとすかさず蛇神様が「うっわ、ドレスと同じ顔色にさせるでない!」って注意してくれたけど、もう遅いかもしれない‥。
えーと、お色直しが終わったら、皆とまた会食するんだよね?
これからどうなっちゃうの?私、集中できるのか???
ちょっと遠い目になっていると、オミさんが可笑しそうに笑って私を見る。
「‥もう、この性悪神様め」
「お褒めに預かり光栄です」
階段を一緒に手を繋いで、庭へと降りて行く。
絶対反省なんてしてないだろう言葉に私はオミさんをじろっと睨む。
「‥オミさん、ゲームしましょう」
「いいぜ、なんのゲームだ」
「愛してるゲームです。オミさん、愛‥」
言葉を繋げようとしたら、オミさんがその言葉を飲み込むように、私の唇を自分の唇で塞いだ。
「ん!」
ぺろっとオミさんが私の下唇を舐めてから、私を見つめる。
「愛してる」
オミさんの言葉に私は一瞬で真っ赤になった。
そうしてオミさんは、ニヤッと笑う。
「俺の勝ち」
「〜〜〜ずるいです!!今のなしです!!」
「分かった、分かった。愛してる」
「〜〜〜なぁああ!!」
オミさんが可笑しそうに声を上げて笑うと、私の手をぐいっと引っ張って一緒に階段を飛び降りた。そうして、私を見つめて、
「ずっとな」
‥オミさんの言葉に私は白旗をあげた。
そうして、また嬉しそうに微笑むオミさんのキスを受け止めるのだった。




