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竜の神様と契約しますか?  作者: のん
竜の神様とお付き合い。
234/254

竜の神様、モノの神様修行をする。14


オミさんの炎の槍と、炎の力であっという間に悪食は倒され、周囲が元に戻った。


す、すごい!!

あんなにいた黒いもやも、霧もすっかり無くなっている!!

もしかして、修行の成果なの??


驚いて周囲を見渡し、長谷君も、周囲にいた他の子も静かに寝ている様子を見て、ぽかんとしていると‥隣に立っているベルミアさんが私を見てニッと笑う。



「もう大丈夫だ。よく頑張ったな」

「よ、良かった‥」



ベルミアさんの言葉を聞いて、ようやく体の力が抜けた。

良かった‥一時はどうなることかと思った。

と、教室の机の上に置いてあった桐箱をオミさんがこちらへ持ってくる。



「オミさん、それ‥」

「古い屋敷にあった。以前盗まれた手鏡も、この屋敷にあったらしい。こいつが周囲の物に悪食を取り憑かせてたんだ」



やっぱりそうだったんだ!

桐箱の中を見ると、金髪の髪に、青い瞳の古びた人形が今は静かに入っている。こんな人形だったんだ‥。そう思っていると、オミさんがやおらその人形を桐箱からわしっと掴んで出す。



「お、オミさん?!」

「テメーなにダンマリ決めこんでんだよ!!喋れるくせに黙ってんじゃねぇ!!このクソ人形が!!どんだけの事したのか分かってんのか!!!」



お、オミさんが人形に向かって怒鳴った?!!

驚いて目を見開くと、金髪の人形が目をくわっと見開いた!!



『うるっさいわねーーー!!こんなに可愛い人形を振り回すんじゃないわよ!!呪うわよ!!!』



しゃ、喋ったーーー!!!!!

あ、そっか、蛇神様のブレスレットの力のおかげか!分かっていても、実際に喋るとびっくりしてしまう。


オミさんは人形の顔をわしっと持って、ギロっと睨む。



「悪さしてたから封印されてたのに、更に悪さをしてどーすんだよ!!!お前がここに来るまでにも、あちこち悪い気を振りまいたおかげで、こっちはその後始末で大変だったんだからな!!テメーまじで言の葉の神様にボコられるからな。覚悟しておけ」



朝の仕事って、もしかしてその事だったの?

だから、ここに来るのがいつもより遅かったのか‥。金髪の人形に怒りの形相をオミさんを見てようやく納得していると、金髪の人形も負ける事なくオミさんを睨む。



『き〜〜〜〜〜!!!半端者のクセに生意気よ!!』



半端者。

その言葉にドキッとしてオミさんを見上げると、金髪の人形を持っているオミさんが私を見る。



「‥もしかして、聞いたのか?」



うまく言葉が出なくて黙って頷くと、オミさんがはーっと大きく息を吐くので、私はそれだけでドキッとして‥、またも涙が出そうになる。まずい、ベルミアさんの前で泣いちゃいそうだ。



「ちょ、ちょっとだけ?でも、あんまり詳しくは‥。それよりも長谷君達は大丈夫なんですか?」



慌てて話題を変えようと、オミさんを見上げると、

オミさんは何か言いたげな顔で私を見ていて、またも言葉が止まってしまう。


「‥もう少しすれば目が醒める‥」

「そ、そっか、良かったです」


いかん!!なんか空気!!空気が気まずい!!

オミさんに、私も謝らなきゃとか‥、半端者の私と一緒になっちゃっていいの?とか、黒いもや一つ祓えない私って本当に無力だわ‥とか、もう色々な感情が胸の中でごちゃごちゃになって俯いてしまうと、



ふわりと、暖かい風が私を包んだ。



「え?」



顔を上げると、横にいたベルミアさんが私を見てニッと笑う。



この風‥、前に私に絡んだ男の子の黒いもやを祓った風じゃない?



「もしかして、以前絡まれた時に助けて下さいました?」

「お?分かっちゃったか〜」

「‥は、はい。その節はありがとうございました」



オミさんに似ている笑顔でベルミアさんが微笑むと、私もようやく笑顔になった。ベルミアさんは目尻を下げて、「いや〜、やっぱりルディオミには勿体ねーな!」と話すと、オミさんがすかさずベルミアさんを睨む。



「前から事態を把握してるんなら、一言言えよな!!」

「お前、こっちに来る時何も言ってなかったじゃねーか!」

「それとこれとは別だ!青葉に何かあったらどーすんだよ!!」

「だから、俺が守ってたんだろ」

「アホか!!!その前に報告しろっての!!」

「うるせーな、自分だって報告なんかしねーくせに」



おいおい、親子ゲンカになってない?

私はオミさんとベルミアさんを交互に見ていると、オミさんは金髪の人形をベルミアさんに押し付けると、


「それ持ってろ!!」

『ちょっと!乱暴に扱わないでよ!!』

「うるせー!!あとで油性マジックでヒゲ描いてやるから覚悟しとけ!!」


な、なんということを言っているんだ‥、モノの神様。

思わず目眩がしそうになっていると、オミさんが私の手をギュッと握ったかと思うと迷路の奥へ進んで行く。



「え、お、オミさん‥お父さんは」

「ほっとけ!!」



そんな訳ある?!

慌てて後ろを振り向くと、面白そうに笑うベルミアさんが私に手を振ってくれて急いで会釈した。お、オミさん?




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