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竜の神様と契約しますか?  作者: のん
竜の神様とお付き合い。
230/254

竜の神様、モノの神様修行をする。10


長谷君に中で友達が倒れているから、助けるのを手伝ってくれって言われて、一緒に大学の中へ入って行ったけど、黒いもやどころではない、霧のようなものが大学の中に充満している‥。



こ、これは、かつてないほどヤバイのでは?



私は長谷君と一緒にドキドキしつつも、構内の中へと歩いて行く。

長谷君は半妖だから大丈夫なのか?っていうか、この光景何も視えてないの??私はあちこちから、こちらを覗き込むように見ている黒い影にヒヤヒヤしっぱなしだ。


「長谷君、どこで友達が倒れてるの?」

「ああ、巨大迷路作ったろ?その一番奥だ」


よりによって一番奥〜〜〜!!!!

私は真っ青になりつつ、長谷君の後ろから迷路の部屋へと入って行く。



「な、なんで一番奥にいるの知ってたの?」

「ああ、古い屋敷が近くにあるだろ?あそこ、委員長の実家らしくてそこから人形を持ってきたんだよ。桐箱に入ってて、古めかしい金髪の人形なんだけど、なんか護符みたいなものが貼ってあってさ〜。それを一番奥に置いて「ちょっと驚かそう」なんて言ってたんだ」



護符!?

それって絶対ヤバイやつでは?!!

でもって、古い屋敷‥って、もしかして、あの悪食が暴れていたという手鏡のあった屋敷?



ここら辺では、屋敷なんて言われる場所はあそこしかない‥。



ゾクリとして、すぐにでもここから離れないとまずい!そう思った瞬間、どこからかすすり泣く声がする。長谷君も聞こえたのか、周囲を見回す。


「誰かいるのか?大丈夫か?」


すると、カサカサと何かが迷路を這うような音が聞こえる。

瞬間ゾクゾクしたものが背筋を這って、頭の中で逃げろと警報が鳴り始める。ダメ!!これは絶対危険な奴だ!!



「長谷君、逃げるよ!!」

「え?!」



長谷君の腕をグイッと引っ張って、元来た道を戻ろうと駆け出したその瞬間、金色の長い髪が迷路の壁の上から、そして床からものすごい勢いでこちらに襲いかかってきた。



「え?ええええ????」

「長谷君!!走って!!!」



驚いて髪を見る長谷君の腕を構わず引っ張って、必死に駆け出す。髪はまるで生き物のように私と長谷君を捕まえようとする。怖い!!怖すぎる〜〜!!!



と、目の前に今まさに迷路へ入って来た女の子が、驚いた顔をしてこちらを見て、



「え?どうしたの?」

「に、逃げて〜〜!!!!!」

「へ?」



そう叫んだ瞬間、女の子の真横から金髪が出てきたかと思うと、腰にグルリとものすごい勢いで巻きついたかと思うと、壁の中へ引っ張り込んでしまった。



私と長谷君は目の前で起きた一瞬の出来事に、体が固まってしまった。



「壁に‥!」

「青葉、危ない!!」



ドンと長谷君に突き飛ばされて、倒れた拍子に金髪が長谷君の体に巻きついて、またも壁の中へと引っ張り込んでしまった!は、長谷君まで!!と、金髪がこちらへまたも向かってきたのを、なんとか起き上がって避けた。


教室から出ると、金髪はそこで動きを止めた。



「教室からは出られないんだ‥」



ドクドクと、心臓が鳴る。

早くオミさんに知らせないと、危険だ。

震える手でスマホを取り出そうとして、不意にブレスレットの花を擦った。



その途端、



『出せ!!!ここから出せ!!!出さねば、人間を全部食う!!!』



大きな叫び声が聞こえて、体がビクッと跳ねた。

だ、誰の声???


シャラっとブレスレットが揺れて、物の声だと気付いたけど‥、ものすごい憎悪に満ちた声に私は足がガクガク震える。


『お前!!人間を全部食うぞ!!今すぐここから出せ!!!出せ!!!』

「ま、待って!!」


私が叫ぶと、声はピタリと止んだ。

そうして、今度はあれほど叫んでいた声が猫なで声になる。



『ああ、やはり聞こえたのか。お前、力があるな?ならば奥へと来い。ただの人間では来られないしな‥。そしてここから出せ。出なければ捉えた人間を今すぐ全部食うぞ?』



もう心臓がものすごい勢いで鳴っている。

オミさんを待つべき?

でも、少しでも早く行かないと間に合わないかもしれない。


ああ、せめて仲直りをちゃんとしてから学校へ来るべきだったな‥。そう思いつつ、迷路の奥を見る。



「出すから、友達を食べないと約束して」

『約束しよう‥』



ゴクリと唾を飲み込んで、教室へ一歩、足を踏み入れようとすると、教室の入り口にまるで埋め尽くすかのようにあった金髪の束は、すっと波が引くように奥へ、奥へと戻っていく。



まるで、「こっちへ来い」とばかりに金髪が私を誘うようだ。



オミさん早く来てね‥。

そう願いながら、私は巨大迷路の奥へと足を進めた。




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