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竜の神様と契約しますか?  作者: のん
竜の神様とお付き合い。
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竜の神様、モノの神様修行をする。9


ちょっと溜まっていた気持ちが噴き出してしまった夜。

私はいつの間にか眠ってしまって、オミさんがどんな顔をして寝室に来たかは気付けなかった。



翌朝、目を覚ますとベッドは空っぽで、オミさんになんて言おうとちょっと迷ったままリビングへ行くと、シンとしている。


「あれ‥?」


もしかしてお風呂?

そう思ってリビングを見回すと、コタツのテーブルの上にメモが一枚置いてある。



『昨日悪かった。仕事が入ったから、シキに大学まで頼んでおいた』



メモを見て、思わず胸が詰まる。

昨日のは完全に私のつまらないヤキモチだったのに‥。

オミさんに先に謝られてしまった‥。こういう時、サクッと謝れるオミさん大人だな。私はなんて言おうなんて、謝るのを迷っていたというのに‥。



メモにそっと触れると、蛇神様からも貰ったブレスレットがシャラッと音を立てる。何の気なしに、花をちょっと擦ってみると、メモ用紙がピクッと動く。


『メモ読みました?』

「へ?!」

『あ、やっぱり聞こえるんですね〜!何か力を感じたんで喋ってみたんです!』


え、す、すごい!!

蛇神様の道具って、物までその力を察知できるって事?!

改めて蛇神様ってすごいな〜〜って感心していると、メモ用紙は私を見上げて、



『これを書いた神様、すごーーく寂しそうに書いていたんですけど、何か悲しい事書いたんですか?私、辛そうなお顔だったので心配で‥』



寂しそう、

辛そう、

その言葉に私の胸がズキッと痛む。

確かに昨日のは私が一方的に言っちゃったし‥。


‥嫌な言葉には、両方刃があるって爺ちゃんが昔言ってたのを思い出した。言ってしまうと、どちらにも刺さるから‥言葉は気を付けなさいって言われたっけ。



オミさんが戻って来たら、私もちゃんと謝ろう。

そう思って、メモ用紙をそっと撫でる。


「心配してくれてありがとうございます。あとでちゃんとお話ししますね」

『ああ、それなら良かったです!』


メモ用紙さんは嬉しそうに話して、『あ、用が済んだら捨てて下さいね!』って言うので、ちょっと驚いた。す、捨てていいの?!!思わずメモ用紙に尋ねたら‥『諸行無常です!』って言われたんだけど‥。なんだか捨てるには忍びなくなって、私はそっと自分の手帳に挟んでおいた。



うっかり物の声を聞いたら、捨てるのが出来なさそう‥だから、ちょっと考えて使おう。



そんなことを考えつつ、朝食を食べて身支度を終えた頃にシキさんが我が家へ迎えに来た。‥シキさん、本当にスーパーすぎる。



「おはようございます!青葉様!」

「おはようございます。なんだか忙しいのにすみません」

「いえいえ、今日も幸先良くて嬉しいです」

「そう言って頂けて、有り難いです」



シキさんも大人だな〜〜。

こんな風に気遣って言ってくれるんだもんなぁ‥。しみじみとそう思っていると、昨日のオミさんのちょっとショックを受けたような顔を思い出して、胸がチクチクする。


大学に行ったらメールだけでもしよう。

そう思って、シキさんと一緒に大学まで力を使って一瞬で移動する。



「あれ‥?」



大学の門の前に着いた途端、私とシキさんは異変を感じた。

黒いもやが、昨日までは大学の構内をうろついていたのに、今日は外までウロウロと徘徊するように歩き回っている。



気のせいでなければ、小さくふわふわ飛ぶものだけでなく、人型のようなものまでいる‥。シキさんと私は顔を見合わせる。これは、ちょっと‥いや、かなりまずいかも!!



「青葉様、ルディオミ様に至急知らせて来ます!」

「は、はい」

「青葉様は、大学に入らず出来れば家へお戻り下さい」

「分かりました」



私が頷くと、シキさんは急いで力を使って一瞬で消えてしまった。

とにかく急いで大学から離れよう、そう思っていると、大学の中から長谷君がこちらへ走ってくる。



「青葉!携帯通じるか?!」

「え?」

「友達が中で倒れてるんだ!スマホで救急車を何度も呼んでも、繋がらなくて‥」



長谷君の焦る顔に私までドキドキしてしまう。

もしかして悪食に何かされた?

それともただ病気か何か?


「他の奴らも調子悪そうにうずくまってて‥、青葉助けるの手伝ってくれないか?」


一瞬、オミさんが心配するかも‥。

そう思ったけれど、私だけ無事でいる訳にはいかない。小さく頷くと、長谷君はホッとした顔をする。



「青葉に会うまで、皆うずくまって話も出来なかったから助かるよ」

「いや私も手伝いが出来るか分からないけど‥」



そう言いながら、構内へ一歩踏み入れた瞬間、普段は大して何も視えないはずなのに、黒い霧があちこち浮かんでいる光景に思わずゴクリと息を飲み込んだ。こ、これは相当やばいぞ!!冷や汗を掻きつつ、一歩足を進めた。




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