表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の神様と契約しますか?  作者: のん
竜の神様とお付き合い。
227/254

竜の神様、モノの神様修行をする。7


文化祭の準備を終えて、今日はシキさんがお迎えだ。

毎回何かあるとシキさんが来てくれて申し訳ないんだが、オミさんと蛇神様が心配しているから‥と、言ってくれるのでもう甘えてしまう事にした。


「シキさん、今日もすみません」

「いえ、本当ならばルディオミ様本人が来たい所でしょう。こちらは役得です」


何が役得なんだろう??

不思議に思いつつも、力を使ってあっという間に家の前に辿り着く。

いつもは狐や兎、タヌキの子も加わって、「結婚して!!」と言われているのに、今日に限って家が静かだな?首を傾げていると、シキさんが小さく笑う。



「今日は、言の葉の神様の所へ手鏡を受け取りに行きました。すぐに戻りますよ」

「鏡‥、あ、あれか!」

「ええ、なのでルディオミ様がお戻りになるまではこのシキ、青葉様をお守り致します」



ニコッと微笑んでくれるけど‥、いや、本当重ねがさねすみませんね。

しかし「モノ」の神様って、やる事が本当に多いんだな。なんだか本当にオミさんにおんぶに抱っこみたいで‥、何か手伝えたらいいのにな‥。



力は大してないのに、怖いのとか悪食に狙われるし‥、良い方法ないかなぁ〜。シキさんに家に入ってもらってお茶を飲みつつ悪食の話をすると、シキさんは少し考え込む。


「なるほど、悪食を祓う力ですか」

「シキさん、方法って知ってます?」

「そうですね‥」


「なんじゃ!!わしの出番か?!」


急に蛇神様がリビングに突入してきたので、思わずお茶を吹いた。きゅ、急に出てこないで?!!驚くから!!ゴホゴホとむせていると、シキさんが慌てて背中を撫でてくれた。す、すみません!!



そんなことを気にせず蛇神様はコタツにスルッと入って、



「まぁ、お主も祓えれば便利だけどのう。まだ人間だし、あやつのようには出来ない」



そ、そうなのか‥。

思わず俯くと、蛇神様が「だけど‥」と言葉を続ける。


「お主に、一つ「物」の声を聞こえるアイテムをやろう」

「物の?」

「そう。大概は力を持った「モノ」がここには来るが、力を持つ前の「物」の気持ちを解消出来れば、少しは助けになるかもしれんぞ?」


オミさんの助け‥。

いつも頼ってばかりのオミさんを助けられるなら、それは願ったり叶ったりだ。小さく頷くと、蛇神様はニマッと笑う。



「それじゃ、これをやろう」



蛇神様は、私の腕に細い銀色のブレスレットを留める。

真ん中にアクセントなのか薄いピンクの花が付いていて、なかなか可愛い。蛇神様はそのピンクの花を指差して、



「その花を指で擦ると、声が聞こえる。もう一度擦れば声が聞こえなくなる。ずーっと声を聞いていると疲れるからの。嫌な気配がしたら、擦ってみて周囲の声を聞いてみるといい」

「あ、ありがとうございます!」

「うむうむ、素直な反応がなんともいいのう」



私はもう一度手首のブレスレットを見つめる。

これがあれば大学の黒いもやの原因も分かるかな?

そうしたらオミさんを助けられるかな?そう思ったらちょっとワクワクしてしまう。私のそんな顔を見て、蛇神様は満足そうに笑う。


「そういえば、文化祭は明後日じゃったな?」

「はい。あ、そうだ‥これ招待状です」

「やったー!!シキ!当日はどデカイカメラを持っていくぞ!」

「ど、どデカイ‥」

「うむ、衣装はな、今日持ってきたぞ!これなら竜の子もうるさくないだろう!」


そう言って出してくれた衣装は、



猫耳のカチューシャに、ピンクのワンピース、ご丁寧に尻尾もついてる‥。



「えーと、もしやこれは猫ですか?」

「色々考えたんじゃよ?アリスの姿も可愛いなぁとか、兎の燕尾服をワンピース風なのもいいな!とか、やはりここは女王の華やかなドレスかな!?とか考えたんだがのう、せっかくだし何着かやはり送って‥」

「いえ、これで十分です!!ありがとうございます!!」



これ以上悩ませてしまったら、私はとんでもないことになりそうだ!!

力一杯止めて、冷蔵庫のプリンを渡すとようやく静かになってくれた‥。


よし!多分、蛇神様はこれできっと大丈夫?シキさんをチラッと横目で見ると、静かに頷いてくれたので、ホッと息を吐くとオミさんが帰ってきた。



「今帰った‥、あー疲れた」

「オミさんお帰りなさい」



オミさんに声を掛けると、私の腕の中の衣装を見て、ぎくっとした顔をする。


「そ、それ‥」

「あ、はい!蛇神様からの衣装です!今回は猫耳付きなんですよ」


そう言って、猫耳のカチューシャをつけてみせるとオミさんが目を丸くする。



「え、変ですか?」

「‥い、いや、その、」

「なんじゃ竜の子〜、素直に可愛いと言えんのか〜?」

「うっせぇ!!外野がいなけりゃ言うっつーの!!!」



オミさんの言葉に今度は私が目を丸くなるし、顔もついでに赤くなる。

そんな私の様子に蛇神様はニヤニヤするし、オミさんは「もう帰れ!」って怒鳴るのだった‥。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ