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竜の神様と契約しますか?  作者: のん
竜の神様とお付き合い。
219/254

竜の神様、モノの神様修行をする。


オミさんと新しい家に引っ越しをして、シキさんと蛇神様とお蕎麦を食べ終え、まったりしていると‥、



「ルディオミ、お前さん神の修行をしておくか」

「はぁああ!?」

「まぁ、まだ神にはなってないが、その前にできる修行をしておけば、3月結婚早々に青葉と離れ離れにならなくてすむぞ?どうする?」



そ、そうだったの?

結婚早々、離れて修行!?

驚いたけど、夏休みにそういえばちょっと離れて修行に行った事を思い出して、隣に座るオミさんを見上げると、オミさんは私をチラッと見てから蛇神様を睨むように見る。



「‥すりゃいいんだろ‥」

「うむ!話が早くて助かる!!では明日から修行開始だ!!」

「早ぇ‥」

「あと簡単なモノが相談に来るかもしれんから、頑張れよ!」

「早いだろーが!!まだ神じゃねーってのに!!」

「うむ、精進しろよ!」



拒否権一切無しだな。

神様の世界って、結構強引なんだな‥。

驚いている私を横目に、蛇神様はサクッと修行の約束を取り付けると、シキさんと一緒に軽やかに帰って行った‥。勢いは完全に嵐だけど。



ポカーンとする私をオミさんがちょっとブスくれつつ私を見る。


「お前は?」

「へ?」

「‥今度、文化祭ってのがあるんだろ?」

「そ、そうだった!!明日から忙しくなるんだった!」

「‥じゃあ、ゆっくりできるのはお互い今日だけか?」

「た、多分?」


私がそういうと、オミさんはふうっとため息を吐いて、私の手をぎゅっと握る。え、えーと、ちょっと照れるかな?



「‥大学へは送ってく」

「は、はい」

「あと白の様子もついでに見てくる」

「‥オミさん、なんだかんだ言って面倒見いいですね」

「俺は神だぞ?」

「そうでした、そうでした」



いつもの調子で話していると、オミさんが私をジーーッと見ているので照れ臭くて顔がじわじわ赤くなる。やめてくれ、結婚するけどやめてくれ。恥ずかしいんだってば!そんな凝視されるの慣れてないから!!



「お、オミさん、注目しすぎかなって‥」

「お前は寂しくないのかよ‥」

「へ?」

「‥俺は、その、」



小さい声で「ちょっとつまんねーって言うか」ってボソボソと話すので、私の中の審判が思い切り「ストラーーーーーイク!!!」と叫んだ。いや、本当、なんなのこの神様は!!うっかり胸がキュンとしたではないか!!



「‥どーなんだよ」

「同じ‥ですよ?」

「ふーん、そうか‥」



今度はなんか嬉しそうに、ちょっと横を見てニヤニヤするので確実にツーストライクである。やばい、あともう一回ストライク入れられたら、バッター交代だ。いや、バッターは私しかいないけど‥。


「‥オミさんは本当に心臓に悪いです」

「そうなのか?」

「‥なので、シャボン玉しましょうか」

「お、いいな!やっておこうぜ!!」


パッと顔を輝かせてオミさんがいそいそとコタツから出る様子で、すでにスリーストライク‥いや!まだデッドボールか、ファールだ!!そう自分に言い聞かせて、私もコタツから出てシャボン玉を取りに行く。



オミさんは縁側でやろうぜ!と張り切るので、一緒に縁側に座る。

小さな芝生の庭を眺めつつ、シャボン玉なんて贅沢だなぁなんて思っていると、オミさんがシャボン玉を吹き口に浸けつつ、ウキウキした顔で私を見る。



「今日はどんだけ長く保つか勝負な!」

「良いですよ。何を賭けます?アイスですか?」



なんか本当に可愛いなぁ〜なんて思っていると、オミさんは途端に目を横に逸らす。



「‥俺が勝ったら、青葉からキスな」

「なっ!!!???」

「‥‥‥忙しくなるし、寂しいだろ」



あ、ダメだ。

スリーストライク入ったわ。

ズバン!!と胸にオミさんのデレが入った私は真っ赤な顔になって、横を急いで向く。バッター!!バッター交代だ!!ヨロヨロと自分の体制を立て直そうとしていると、



「お前が勝ったらどうする?」

「‥アイス買って下さい」

「じゃあ食べさせてやる」

「いやなんでそうなる!!??」

「神からのありがたい配慮だ」

「配慮という意味ーーーー!!!!!??」



シャボン玉の勝負は熾烈なものになった。

結局引き分けになり、オミさんの「どちらも採用!」って言うけど、それ全部オミさんがしたいだけじゃないか!!私の叫びが新居に響き渡った。




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