竜の神様、手加減を知らぬ。
あれからセキさんが持ってきたお土産を、蛇神様と言の葉の神様、狐さんに分けてセキさんとシキさんに配って貰う事になり、私とオミさんは若干ヨロヨロしながら家に戻ってきた。
玄関の扉を開けると、目の前には箱がドンと置いてあって、
『コタツ一式、置いておく。蛇神』
と、蛇のマークと共にコタツセットが置かれていた。
すんごい、神様って本当にすんごい。
さっきまでクタクタだったオミさんは、コタツがあると分かると喜び勇んでいつも使っているローテーブルを片付け、長方形のコタツをセットして早速滑り込む。
「あったけぇ!!!」
「そうですね、コタツなんで‥」
目をキラキラさせてオミさんは感動している。
神様まで魅了するコタツすごいな。喜んでいるオミさんにうっかりキュンとしていると、オミさんは私を手招きする。
「お前も入れよ」
「えっと、じゃあ折角なんで‥」
隣に入ろうとすると、オミさんがちょっと体をずらして自分の前を指差す。
「へ?」
「ここに座ってあったまれ」
「いやいや、隣に普通に座りますよ」
「‥なんか、襟足が寒く感じるな〜」
「‥‥前、失礼いたしまーす」
おのれ、髪を切ったのをこんな時に限ってネタにするとは。
爺ちゃんや私だけでなく、龍神様まで助けてもらったし‥流石に今日は無下にはできない。ニマニマ笑うオミさんに照れ臭いので、目を逸らしつつオミさんのちょっとあけた足の間に座りこむと、オミさんがすかさず後ろから抱きしめてくる。
ものすっごい恥ずかしいんですけど?!!
そう思うものの、恥ずかしくて言葉にならないというか、嬉しそうに抱きしめるオミさんに抗えないというか?!!赤い顔でコタツに無言で座っていると、オミさんが私の耳をちょっとくすぐるように触れる。
「お、お、オミさん?!!!」
「耳まで赤いな」
「あ、当たり前ですからね!??コタツも温かいし??!」
「俺も後ろにいるから、ホカホカだろ?」
「‥‥暑いくらいです。だから、もう離して下さい」
「断る」
「神様!私の意思はどこへ?!」
「‥デートだってのに、色々邪魔が入るし、まさかお前の爺さんが来るとは思わなかったし‥」
それは確かに。
デートだっていうのに、結局蛇神様が合流するし、狐の嫁入りを見て参加しちゃうし、まさかの龍の神様が弱っているのを助けるとも思わなかったしなぁ。私はちょっとオミさんの方を振り返って、
「‥また、デートしましょう」
「おう」
「‥今度はどこ行きたいですか?」
「二人きりになれる場所だな」
オミさんがニヤッと笑う顔に、さらに顔が赤くなったと思う。
なんかオミさんの糖度、ぐっと増してない???好きになると、こんなに甘い顔になるとか聞いてないんですけど?!
「‥青葉」
オミさんがわざと耳元で名前を呼ぶので驚いて体が縮こまる。
「次は二人きりだぞ」
「わ、わかりました!分かりましたから、もう離して下さい!!」
「なんでだよ」
「恥ずかしいからです!!!」
「‥お前、結婚するのに大丈夫か?」
「た、多分。それまでには??」
オミさんは「ふ〜ん」と気の抜けた返事をしつつ、私のお腹に両腕を回してギュッと自分の体に引き寄せる。だぁあああ!!だから照れるから!!恥ずかしいから!!そういう距離感に全く慣れてないから!!
そう言いたいのに恥ずかしくて、オミさんを赤いであろう顔でチラッと振り返るといつものような澄ました顔だ。私はすんごい恥ずかしいのに!と、ジトッと見つめるとそんな私を見てオミさんがごくっと唾を飲む。
「なぁ‥」
「はい?」
「‥‥魂だけでも結ぼうぜ」
「無理ーーーーーー!!!まだ無理です!!!もうちょっと!!」
魂を結ぶって、体の方を意味してますよね?!
そんなのまだ抱きしめられて赤い顔をしている私が出来るわけないじゃないかぁああ!!オミさんに半分涙目で首を横に振ると、オミさんはハァッとため息を吐く。
「‥下手な修行よりよっぽどキツイ」
そういって、私の顎を持ち上げるとそのまま噛み付くようにキスをするので、一切逃げ場のない私は体が固まってしまうわ、オミさんは楽しげに何度もキスするわで、結局顔も体も茹るように真っ赤になってしまったのだった‥。神様、手加減って知ってる??!!
一旦終了に致しますが、実はまだまだ続く予定。
ただストックがもうない‥。
空っぽなので、ストック出来次第再開いたします!ここまでお読み頂き本当にありがとうございました!!!(気が付いたら300話だったーーー。短くするはずが今回も長編だったーーー(^^;))




