竜の神様、デート中に要求。
狐のお嫁さんのお祝いをして、まるさんに嬉しそうに「こちらで式を?」なんて言われて顔が赤くなる。
「あれ??なんでそういえば、まるさん結婚するのを知って‥」
「蛇神様に教えて頂きまして!このまる、あまりの嬉しさにでしゃばってしまいましたね‥」
まるさんはちょっと照れ臭そうに「まだまだ修行が足りませんね」なんて言うけど‥。へ、蛇神様!!!いや、もうプライバシーとかないけどさ?!
赤い顔の私をオミさんは面白そうに見てから、まるさんを見て、
「仕事を紹介して頂いて感謝しています。年明けの3月3日に式を挙げる予定なので、近いうち挨拶に行くと言の葉の神様にお伝え下さい」
「はい、お待ちしております!」
う、うわぁあああ。
そうハッキリ言われると照れるな。
まるさんは私を見て、ニコニコ笑いつつ「今度は遊びにいらして下さいね」そう言って社の木の格子の中へ入って行くと、静かに格子の扉が閉まる。
シンと静かになった神社を後にしつつ、私とオミさんは鳥居をくぐって外へと出る。気がついたら、オミさんは私の手をぎゅっと握ってて相変わらず体温が高いからか、手が熱いくらいだ。
「‥オミさん、ちょっと照れるんですけど」
「本当のことなんだし、問題ねーだろ」
「そうですけど‥」
かなり気恥ずかしいというか?
まるさんには特に私は、オミさんに告白するまで相当パニクった姿を見せているので恥ずかしいんだよな〜〜。そんなことを思っていると、オミさんは私をじとっと見つめる。
「‥結婚、今更嫌なんて言わせねーぞ‥」
「い、嫌じゃないですよ!嬉しいけど、恥ずかしいだけで‥」
あ、まずい。
嬉しいとか言ったら、オミさんニヤニヤするんじゃないか?
途端に静かになったオミさんの方をそ〜〜っと見る。
と、オミさんの顔が真っ赤だ。
私の赤りんご状態とほぼ同じだ。
「あれ?オミさん‥」
「何も言うな」
「でも、顔が‥」
「何も言うな」
私は思わずニマッと笑う。
「オミさんも嬉しいですか?」
「‥‥悪いか」
「‥いえ、嬉しいです」
私はそんな風に「嬉しい」って言ったら、顔が赤くなるくらい同じように「嬉しく」思ってくれるオミさんが嬉しい。ふふっと笑うと、オミさんは私を街中だと言うのにギュッと抱きしめてくるので慌ててしまう。
「お、オミさん??!ここは街中でして??」
「‥お前が可愛いのが悪い」
「か、かか可愛い??!!」
「‥可愛い」
ギュウっとオミさんに抱きしめられて、顔が見えないけど‥。これは多分、どちらも顔が赤いんだろうなぁ。両手をどうしたものかとちょっと悩んだけど、そっとオミさんの背中に回そうとしたその時‥、
「お〜〜、街中であっつあつじゃの!!!」
私とオミさんが面白いくらい、ピョンとお互い一歩離れた。
「‥蛇神様‥」
「いや〜〜、いつ声を掛けようかと思っていたんじゃが!!これでも耐えておったんだじゃよ?」
ニヤニヤ笑って、真っ赤な私とオミさんを見てジンベイザメのぬいぐるみを抱えていますけど‥。絶対、最初から見てたんだろうな〜〜。オミさんはジロッと睨んで、
「声なんざかけなくていい!!」
「ほうほう?そうか〜〜。それは悪いことをしたのう〜」
‥絶対悪いことしたなんて思ってないでしょうに。
そう思うけど、なんていうかもうこのお約束の流れに笑ってしまう。
「‥じゃあ、せっかくだしショッピングモールに行って、甘いスイーツでも食べましょうか」
「こいつ抜きでな!」
「なんじゃ、恋のキューピッド役をしてやったのに冷たいのう!」
「きゅぴっど?」
「あ、恋の橋渡し役って意味ですよ」
「恋!!???」
私の説明にオミさんがまた顔を赤くする。
オミさんって結構照れ屋?
私が可笑しそうに笑うと、オミさんが私の耳元に顔を寄せるので驚いて体が固まると‥、
「‥白無垢、見たい。あれにしよーぜ」
低い、甘い声に顔から湯気が出たと思う。
お互い赤い顔で小さく二人で笑い合う。そうして、蛇神様に「早くショッピングモール行こうぞ〜!」の声に手を繋いで歩き出す。
「‥オミさんの黒い羽織袴姿も見たいです」
「‥なんでも着てやる」
それは楽しみだなあ。
格好いいだろうな、そう思って手をギュッと握ると、オミさんも握り返してくれて‥。すっかり雨が上がった空の下、蛇神様といつの間にか加わっていたシキさんと一緒にショッピングモールで出かけたのだった。




