竜の神様、デートが楽しみ。
オミさんとデートする事が決まって、こっちではお付き合いする事になってから初めてのデートなのでそれはそれはオミさんは楽しみらしい。
なんとか蛇神様にバレないように‥と、デートの話をする度に小声で内緒話をするように話しかけるオミさんに私の中の乙女心に毎回ストライクが入るのでどうにかして欲しい。可愛い。すごく可愛い。
竜の国では、オミさんにあちこち案内してもらったし、今回はオミさんに喜んで貰えるように私も気合いが入る。早速、週末に行こう!!とオミさんが言うので頷いておいた。待っててね、オミさん!!最高のプランを考えとくわ!!オミさんがお風呂に入っている間にスマホで色々検索しておいて、色々メモっておく。
「こんな感じかな〜」
オミさんとのデートで、水族館の見所なんかもネットで調べたのでしっかり頭に叩き込んでおく。うん、こりゃ結構楽しいな。ニマニマしながらスマホを見ていると、オミさんが髪をバスタオルで乱暴に拭きつつお風呂から上がってきた。
「オミさん、ちゃんと髪乾かさないとですよ」
「面倒だ。ドライヤー頼む」
「力を使えば一瞬じゃないですか〜〜」
まったくなんてものぐさなんだ。
私が口を尖らせつつ抗議するも、オミさんは気にせず私にドライヤーを渡すと、私の座っているベッドの前にどかっと座る。そうして、ニヤッと笑ってオミさんは後ろを振り返ると‥、
「ずっと一緒だから、ずっと乾かすの青葉だな」
「っんな‥」
そういえば言ってましたね。
「ずっと一緒にいるわけじゃないのにどうするんだ」って‥。結婚するって事は、ずっと一緒‥だもんね。その事実は嬉しいんだけど、でもやっぱり自分の事は自分でして欲しい‥。
「‥今日だけですよ」
「嫌だ、明日もやってくれ」
「ダメです〜。髪を梳かすのならしますよ」
「すぐ終わるだろ‥それ」
オミさんの言葉に、もしかしてドライヤーして欲しいって、触れていて欲しいって事なのかな?って思った。それはそれでなんか照れ臭い理由だけど‥まさかね?
そう思いつつ、オミさんの髪をちょっと撫でてみると、オミさんの体が強張る。
「あ、青葉?」
「えーと‥、ちょっと先ずはタオルドライしましょっか?」
「お、おう‥」
オミさんはそう言うと、背中を向けてこちらを全然向かないし、気のせいでなければ耳がちょっと赤い。‥えーと、これはやっぱりちょっとでも触れていたいって事‥らしいな。
神様‥、すんごく不器用だなぁ‥。
小さく笑って、タオルでオミさんの髪を丁寧にそっと拭いてからドライヤーをかける。オミさんは、それだけで嬉しいのか、背筋をぴっと伸ばして鼻歌っぽいのを歌ってる。
か、可愛いか!!この神様!!
思わずにやけてしまいそうになるんだけど。
ドライヤーを止めて、いつもなら「はい!おしまい」って言うんだけど‥、ちょっとサラサラになった髪を優しく撫でてみた。
「‥青葉?」
「あ、ああ‥すみません、サラサラで気持ちいいなぁって‥。もう止めま「いい、もう少し撫でてろ」
食い気味で撫でろと言われた。
‥オミさんはちょっと私の方へ寄って、「ん」と言いつつ髪を触るように私の正面を向くのでちょっとドキドキするんですが?
そっと手を伸ばして、オミさんの髪をこめかみ辺りからそっと撫でる。
う、なぜ私がこんな恥ずかしい感じに??
そう思いつつも、オミさんは長い足で私の体をホールドするように挟んでしまったので、逃げられない‥。
赤い顔で、オミさんの髪を撫でていると‥
オミさんの体が震えている?
「オミさん?」
「‥すげ、超真っ赤」
オミさんは私の様子を見て、忍び笑いしていたようだ。
もうおかしくて堪らないんだろう。
隠す事なく笑い出すので、私はオミさんの脇腹をくすぐってやった。途端に驚いて、私の体を拘束していた両足が緩むのですかさず後ろへ下がろうとすると、オミさんに速攻で抱きしめられた。
「な、な、何するんですか!!!」
「‥甘えてる」
「あ、あま‥!!??」
オミさんのストレートな言葉に一気に顔が真っ赤になると、オミさんが私の肩口に顔を寄せつつ「真っ赤だぞ〜」って言うけど、オミさんだって耳が真っ赤だ。オミさん本当に負けず嫌いだな?




