竜の神様、ウキウキする。
恐怖のロシアンルーレット餃子に皆あえなく撃沈したけど、一番の被害者はいきなりやってきて、3個も口に突っ込まれたセキさんだろう。
私達の姿が無事に戻ると泣いて喜び、
「流石に中身が青葉様でも、ムキムキのルディオミ様のビジュアルでドレスはこのセキめも目が‥。あ、いや、でも見てくれでなく、人は中身ですよね!!!」
って言うので、オミさんに投げられそうな気配を察して、サッと膝に乗せて、セキさんの頭を撫でておいた。ギリギリと歯ぎしりしてセキさんを睨みつけるけど‥落ち着いてオミさん。
誰か一人くらい当たらないかな?って思ったけど‥。結局、みんなシキさん特製の恐怖の餃子を食べて全員仲良く倒れた。いや、本当「腕によりをかけました!」って笑顔で言うけど、シキさん怖いから!!あと最高にまずい!!
美味しい餃子も作れるけど、恐怖の餃子も作ってしまうシキさんのポテンシャルに、皆恐れ慄いた。蛇神様だけは「まずい!もう一個!!」って食べてたから、心底すごいと思う。
口直しのデザートで皆なんとか生き返り、ようやく落ち着いた頃にお開きになった。ヨークさん達はセキさんも連れて私を囲み、心配そうだったり、嬉しそうな顔をして、
「またこっち遊びに来るけど、なんかあったら連絡してくれな」
「結婚式、絶対行くから!余興は任せてくれ!」
「結婚式、何かわかんない事あったら相談してくれ」
「青葉様、このセキめも頼って下さいね!!」
ヨークさん達やセキさんは、暖かい言葉を掛けてくれて‥。
そんな気遣いに笑顔になった。ちなみにその横でエトラさんは、
「ラナ、結婚しよう!」
「はよ帰れ!」
‥うん、いつも通りだった。
元気に手を振って、皆と別れて家に着く。
お気に入りのクッションに座ると、一気に疲れがきて、
思わず脱力してしまう。
遊んだり、魂が入れ替わった事で、神様の目を通して見る世界が違うって知ったし、結婚の日取りまで決まったし‥。今日だけで、色々な事がありすぎたな?私がしみじみと考えていると、オミさんも私の横に座る。
んん??ち、近くない??
「お、オミさん、近くない‥ですか?」
「お前はすぐ離れようとするな‥」
だって恥ずかしいんだもん。
とはいえ、今日はまさか私が大学を卒業しても、結婚したとしても、戸惑うことがないようにオミさんがこちらに住む選択をしてくれていた事を知って、嬉しかったわけで‥。
うん、恥ずかしいけど、嬉しかったんだ‥お礼くらい言わないと。
そう思って、オミさんを見上げると、オミさんが驚いてちょっと目を丸くする。
「‥なんだよ?」
「‥こっちで、仕事探してくれてて‥、その、嬉しかったです」
「‥‥お、おう」
「でも、今度は相談して下さいね。その、オミさんだけが我慢するの嫌だし」
「別に我慢してねぇ」
「それならいいですけど‥」
「こっちはコンビニあるしなー」
「そこかい!!」
思わず突っ込むと、オミさんが静かに笑って、ちょっとオミさんの体温の高い手が私の頬を優しく撫でる。あ、あの、ドキドキするんですが??
「‥今度、お前の実家に行くか?」
「あ!そうだった!お母さんにメールしておきます」
「‥飛んで行くか?」
「お爺ちゃんびっくりして倒れますよ‥」
竜の姿なんて見たら、びっくりするでしょうに。
私が呆れたように話すと、オミさんが可笑しそうにクスクス笑う。ううう、いきなり二人きりになったら一気に空気が甘いな?私は目がウロウロしてしまうと、オミさんがこっち向けとばかりに私の顎を掴んで、オミさんの方へ向かせる。
「な、な、何‥!」
「ちっとくらい、こっち向け」
「む、向きますから!ちょ、ちょっと待って??」
恥ずかしいんだってば〜〜!!
慌てて目をギュッと瞑ると、オミさんがすかさず唇にキスをするので驚いて体が跳ねてしまった。真っ赤になった顔を見て、オミさんはニヤニヤしながら「赤りんご」って言うけど、犯人はオミさんです!!
「‥キスでこんなんで、結婚できんのか?」
「そ、それは、まぁ??」
「もう少し慣らしておくか?」
「きょ、今日は遠慮します!!!!」
今日は無理〜〜!!!
もういっぱい、いっぱいだからもう無理〜〜!!!
首を高速で横に振ったら、オミさんが可笑しそうに笑って、「今日は勘弁してやる」って言うけど、それ完全にチンピラです〜〜。
私も笑うと、オミさんがちょっと目元が赤くなって、
「‥早く来年にならねーかな」
って呟いたので、私の顔が一気に赤くなるので、悟られまいと慌てて横を向いた瞬間、またオミさんの方を向かせられた。頼む、ちょっと待ってくれ神様。




