竜の神様、一緒に出かける。
オミさんが我が家へ来て、あっという間に二週間経った。
問題があるとすれば、ベッドでオミさんが寝入ったかと思って、寝袋で寝ても朝目が覚めると必ずベッドで一緒に寝てるくらいだ‥。冷静に考えればどんな神様だよ‥。
もうそろそろ諦めの境地だけど、ここを諦めたら乙女としてちょっとまずいと思うので、私は日々夜をどう乗り越えるかを考えている‥。いや、そもそも乙女として、こんなの悩むのどうなんだろう。
しかし修行って、何をするんだ。
普通に我が家で生活しているけど、これは修行じゃないと思うんだよ??滝に打たれたり、座禅を組むとかしないの?
オミさんに尋ねてみたら、「世俗的だな」って鼻で笑われた。人間なんだから分からないのは当たり前じゃないか!まったく失礼な神様だ。
そうはいっても、助けて貰ったし明日は休みだ。
バイトも学校も何もない。
たまには神様孝行でもしておこうと思って、オミさんを見ると大学から借りてきた図書室のレシピ本を真剣に見ている。
「オミさん、明日はお休みなんですけど、どこか行きたい所とかありますか?」
「休み?」
「はい、バイトも学校もない。休日です。ここに来てから大学とバイトとスーパーを行くだけだったんで、どこか行ってみたいとか、興味のある場所ってあります?」
オミさんは本を持ったまま、顔を輝かせる。
お、おお‥なんか分かりやすいな〜。
「「‥バイトも学校もないのか?」」
「はい」
「どこにでも行けるのか」
「どこにでもって‥、電車で行ける範囲なら」
「じゃあ、俺この店に行ってみたい!!」
そういってオミさんが、ベッドに置いてあるかなり読み込まれた雑誌を広げる。
バーンと大きな文字で『ガッツリ!胃袋を攻める!!ホットなランチ探検隊!!』と、デカデカと書いてある。見てるだけで胃袋にパンチされた気分だ。
オミさんは大きなグリルで焼かれたステーキを指差す。
「「肉、食いたい!!!」」
「毎日のように食べてるのに‥」
「昨日の鶏ハム、味気なかった」
「ヘルシーなの食べないと、オミさんと違って太るんですよ!!」
クワッと目を見開いて訴えたさ。
体重、最近やばいんだからね!??あの事件からようやく落ち着いて、美味しくご飯も食べられるようになっちゃって、体重がじわじわと増えててやばいって言うのに‥。
「葉月からバイト代貰ったし、食べたい」
「昨日貰いましたしね‥。まぁいつもと違うメニューもたまにはいいか」
私がそう言うと、オミさんはニマッと笑う。
嬉しそうだなぁ〜‥。
「明日、絶対行くからな!!」
「分かりましたよ。じゃあ、スマホのアラーム勝手に止めないで下さいね」
そう話しつつ、私は寝袋をゴソゴソと出して床に敷く。
オミさんは呆れたように私を見て、
「また寝袋で寝ようとしてるのか」
「当たり前です!!私は花の乙女なんですよ!?」
「どうせ俺がベッドに乗っけても起きないんだから、ここで今寝ても変わらねーじゃん」
「「そう言う問題じゃない!!!」」
頼む!神様!!!
そう何か問題が?みたいな顔をしないでくれ。
それでなくても、大雑把で口の悪い神様だけど、結構なイケメンなんだよ?私は安心して眠りたいんだ。そんなご尊顔を見て毎回起きる度に、息が止まりそうになるのに一緒に寝られるか。
ゴソゴソと寝袋に入って、ベッドで寝転がっているオミさんをギロっと睨む。
「‥今晩、私をベッドに乗せたら、絶対、ぜーーーーーったいお肉の美味しいお店に連れて行かないですよ!!分かりましたね!!」
「‥寝ぼけて乗せたら?」
「「ぶっ飛ばします」」
そう言って、私は目を瞑って眠ろうとすると、オミさんに頭を突かれる。
なんなのだ!!食べに行くんでしょう?!
ぱちっと目を開けてオミさんを見上げると、ニヤニヤしながら私を見ている。
「まだ起きてたか」
「「確認が雑!!!」」
この神様は〜〜!!
寝袋の中に顔を突っ込んで、絶対次何かしてきても起きるもんか!そう決心して目を瞑ったらあっという間に寝てしまう健康優良児の私。‥そして一回寝てしまうと、なかなか起きない私でもあり、やっぱり目を覚ましたらベッドにオミさんと一緒に寝ていた‥。




