竜の神様、ちょっと不満。
まさかの団体様をご案内する事になった私。
「えーと、本日はボーリング場に行って、お昼は回転寿司の予定です。時間があればゲーセンもいいかなって思うんですけど、如何でしょう?」
って、言ってみたけど‥
皆、そもそもどんな場所か分からないよね?
だけど、目が皆してキラキラして「ものすごく楽しみ!!」って顔をしているので笑ってしまう。
オミさんは、私を心配そうに見て‥
「どんな場所なんだ?危なくないのか?」
「オミさんの大好きな勝負ができる場所ですよ」
そう言うと、オミさんの目もキラキラ光る。‥勝負好きだから、いいかな?って思ったんだけど、予想通りですね。
皆をすぐ近くのボーリング場に案内すると、目を見開いてボーリング場の中をまじまじと見る。
「建物の中にこんな施設があるとは‥!」
「ぼ、ボールを転がすのか??」
「靴を借りられるのか??」
「ラナ、好きだ!!」
若干一名違う事を言っている人がいるけど、無視だ無視。
ラナちゃんがお金は蛇神様が出してくれるそうで、カードで精算してくれた。‥蛇神様、すごくない??
靴をそれぞれ借りて、ゲームの仕方を説明しようとすると、
皆ボールを持ってすでに異様に張り切っている。
「あの!!皆さん、相当力が強いと思うので、こちらでは抑えめでお願いしますね!壊したら罰金なんで‥」
一応念を押しておく。
特にオミさん。だって目がキラキラから、メラメラになってるし。
オミさんにも、もう一回念を押しておかねば!!そう思って振り返った途端、いきなりボールを転がしてものすごい音を立ててガーターを出した。
「ん??青葉、これはなんだ?」
「は、話を聞いてーー!!!!」
ああもう叫んださ。でもガーターで良かった。
これでストライクでも出したら、ピンが全部大破するんでは?って勢いだった‥。オミさんやヨークさん達にゲームのルールを説明するとようやくガーターは避けるべきものだと分かったらしい。
「なるほど、真ん中に投げればいいんだな」
「とはいっても、真ん中だけ投げると、真ん中のピンしか倒れないんですよ」
そう説明すると、皆なるほど〜と声を揃えてピンを見る。
エトラさんはラナちゃんに少しでもいい所を見せようと思って、ボールに指を勢いよく突っ込んだら、指が出なくなったらしい。
「おい!!青葉とやら指がボールから出ないぞ!!」
「なぁあああ??!」
「青葉ちゃん〜、なぜかボールが隣のレーンに‥」
「ええええ???す、すみません!!お隣の方!!!」
「青葉ちゃん、なんかずっとガーターのレーンにボールが行く‥」
「ま、待って!最初はガーター防ぐようにしますから!!」
うん、これはもうあれだ。
思い切り手が掛かるな?!オミさんが私の方をチラチラ見ては、声を掛けたそうにしているけど、あっちで何か起こし、こっちで何かやらかすので、忙しい。ラナちゃんも手伝ってくれるけど、やらかし‥多くない??
ノルトさんがなぜかボールを後ろに転がして、一緒にボールを追いかけていると、オミさんが椅子に座ったまま手招きするので、何かあったのかな?と、慌てて駆け寄る。
「青葉」
「はい、オミさんどうしました?」
「隣に座ってろ」
「い、今は無理ーーー!!!」
どうやら皆に構いっぱなしの私に不満だったようだ‥。
ボールを無事に回収して、ようやくオミさんの方へ歩いていくと、オミさんの顔がパッと明るくなる。うう、分かりやすい!そして可愛い。思わずキュンとしてしまう‥が、
「青葉ちゃん〜〜!!なんかピンが隣に吹っ飛んだ〜〜!!!」
「ち、力加減〜〜〜!!!」
皆、力どーなってんの???
慌ててスタッフさんに声をかけると、にこやかな笑顔で対応してくれた。ちなみにエトラさんはそんな様子を爆笑してた。あ、ちょっと蹴り飛ばしたい。そう思ってラナちゃんを見ると「殴る?蹴る?」と言うので、止めておいた。
‥一応、助けに来てくれたしね?




